概要
作品は独特の世界観を持ったハードSF・サイバーパンクが多く、舞台として宇宙規模の超巨大建造物がよく登場する。
建築系高校で学んだ後、現場監督や建築家のまねごと(本人の弁による)を経験。遊学のために一年間ニューヨークに渡り、帰国後から漫画を描き始める。特に師事はせずに趣味で描いていたが、友人の勧めで投稿をするようになる。一年ほど投稿を続けた結果、『BLAME』がアフタヌーン四季賞で谷口ジロー特別賞を受賞。その後高橋ツトムの専属アシスタントを5ヶ月ほど務めた後、1997年より月刊アフタヌーンで『BLAME!』の連載を開始。
作風
巨大な建築物と人物を対比させることにより、スケール感を表現する手法を多用する。通常ではあり得ないような遠近感を正確に表現できるのは、建築家としての経験が大きく役立っているのではないかと言われる。
海外での評価も高く、映画監督でバンド・デシネの大家「エンキ・ビラル」などから賞賛を受けている。ポップアーティスト「村上隆」によるアート展『「SUPER FLAT」at 渋谷パルコギャラリー』(2000年)にもイラストを出品した。
かつては過剰ともいえる綿密な描き込み(おもに背景)によりページが真っ黒で、「連載を読むと指がインクで黒くなる」とすら言われていた。
(余談ながら、「バイオメガ」1巻(講談社版)カバーにはその旨が<CAUTION!!! Your finger dyes black.>と、作品の世界観に合わせたデザインの警告表記がなされている)
現在発売されているコミックスでは、インクが移ることは無い。
年代によって画風が変わるのは漫画家にとっては珍しくも無いことだが、弐瓶勉はがらっと変わる方である。初期はAKIRAを彷彿とさせるような綿密でダイナミックな画風であったが、作品事に描き方が変わっており、パソコン作画による厚塗りを多用した手法や、対照的に塗りを少なくした淡い作画も手がけている。アシスタントを雇わず作画を全部一人で済ませており、あれだけの描き込みをしながら締め切りを破ったこともほとんど無いという脅威の作家である。
ハードボイルドで硬派な作品が多いが、逆にスラップスティックなギャグや可愛らしい萌え絵柄なども得意であり、氏の出世作BLAME!のセルフパロディであるブラム学園!などはある意味伝説を作った怪作である。この学園ラブコメ要素はシドニアの騎士に形を変えて活かされている。
また、東亜重工を初めとした、いくつかの武器や物質などの存在をスターシステムなガジェットとして使用している。
おもな作品
連載
- BLAME! 1997年 - 2003年、『月刊アフタヌーン』掲載
- NoiSE 『アフタヌーンシーズン増刊』第2号-第7号掲載
- ブラム学園!
- ABARA 2005年 - 2006年、『ウルトラジャンプ』掲載
- BIOMEGA 2004年 - 2009年、『週刊ヤングマガジン』掲載、→『ウルトラジャンプ』掲載
- シドニアの騎士 2009年 - 2015年、『月刊アフタヌーン』掲載
- 人形の国 2017年 - 2021年、『月刊少年シリウス』掲載
- 大雪海のカイナ 2022年 - 、『月刊少年シリウス』掲載、原作担当。
- タワーダンジョン 2023年 - 、『月刊少年シリウス』掲載