概要
ゆでたまごが手がけたプロレス漫画作品『キン肉マン』を題材とし、1985年11月8日にバンダイ(現・バンダイナムコゲームス)から発売されたファミリーコンピュータ用アクションゲーム。
正式名称は『キン肉マン マッスルタッグマッチ』、国外で販売されたNES版での名称は『M.U.S.C.L.E.』。
構成
登録されている8名の超人の中から2名を選択してタッグチームを結成し、パンチやキック、バックドロップなどを駆使して3ラウンド制の試合を勝ち抜き、ゲーム終了時点の踏破面数と獲得点数に挑戦するスコアゲーム。制限時間内にライフポイントが0になるKO、または制限時間後に残ったライフポイント残量の判定で勝敗を決し、先に2勝するとステージクリア、2敗するとゲームオーバーとなる。
試合中、リングサイドに現れるミートが放つ光球『命の玉』を取るとキャラクターが光り輝き、全能力値の上昇、ライフポイントの回復、電気リングでの感電無効化に加え、支援効果が続く限りは各キャラクターに設定された強力な必殺技を使えるようになる。
ステージは3種類のリングを順番に85回ループする全255面で、一定の面数に到達すると徐々に試合時間が短縮されて攻略難易度が上昇する。エンディングは存在せず、255面をクリアすると0面(=256面)が、さらに0面をクリアすると2周目の1面(=257面)が始まる。
リングの種類
- ノーマルリング:第1ステージ(1+3n面)に登場する、何の変哲も無い普通のリング。
- 氷リング:第2ステージ(2+3n面)に登場する、足が滑りやすい全面氷張りのリング。
- 電気リング:第3ステージ(3+3n面)に登場する、触れると感電する高圧電線を張ったリング。
※電気リングに限っては、表現上の都合で黄色と黒の明滅が激しく行われているため、近年では光過敏性発作の危険性がある。
登場キャラクター
名称 | 出身国 | 必殺技 |
---|---|---|
キン肉マン | 日本 | キン肉ドライバー |
テリーマン | アメリカ | ブルドッキングヘッドロック |
ラーメンマン | 中国 | 空手殺法 |
ロビンマスク | イギリス | タワーブリッジ |
バッファローマン | スペイン | ハリケーンミキサー |
ウォーズマン | ソ連 | ベアークロー |
ブロッケンJr. | 西ドイツ | ナチスガス殺法 |
アシュラマン | 魔界 | 阿修羅バスター |
※1.NES普及圏の欧米では、ブロッケンJr.はナチスを連想させる表現規制対象であったためにジェロニモに差し替えられた。
※2.ブロッケンJr.をベースとしたジェロニモの必殺技は、一見するとトマホークを投げているように見えるが、説明書では『Apache War Cry』(アパッチのおたけび)と記載されている。
余談
特別仕様版
本作には、市販品とは別に2種類の懸賞用カセットが存在する。
グリーンカセット
正式名称は『集英社児童図書お楽しみプレゼント版』。集英社が出版していた児童向け書籍キャンペーン用の景品で、内容は市販品と同一だが緑色のROMケースに専用のラベルが貼られている。
ゴールドカセット
正式名称は『ゴールデンタッグカートリッジ』。本作の発売当時に全国8地区で開催された最終到達面数を競うハイスコアコンテスト『宇宙一ゲーム超人コンテスト』の景品で、各地区の優勝者は既存の超人1名を自身の希望する超人のグラフィックに差し替える権利を与えられ、優勝賞品である証拠としてゴールドメッキを施したROMケースを用いている。
各地区優勝者8名の第一位が記録した最終到達面数は2269面(=約8.8周)であり、現在までに下記の超人が登場する4バージョンが確認されている。
名称 | 出身国 | 必殺技 | 差し替え元 |
---|---|---|---|
モンゴルマン | モンゴル | レッグラリアート | ラーメンマン |
ペンタゴン | アメリカ | ペンタバスター | アシュラマン |
ブラックホール | 英領バミューダ諸島 | ブラックホール | バッファローマン |
ザ・ニンジャ | 日本 | 焦熱地獄 | ブロッケンJr. |
同様のプレミアムソフトでは、『ロックマン4』の開発に際して行われた『ボスデザインコンテスト』の入選者8名に送られたゴールドメッキROMケースバージョンに59万円の取引価格が付けられたことで話題となったが、「8本それぞれで内容が違う可能性が高い」という抜群の希少性を持つマッスルタッグマッチのそれについてはいずれも75万円(ブラックホール版)、85万1000円(モンゴルマン版)、92万1000円(ザ・ニンジャ版)、100万100円(ペンタゴン版)という破格の取引価格が確認されており、名実共に『ファミコン史上最高のプレミアムソフト』として広く認知されている。
※ただし、NESも含めたファミコン全体の歴史で見た場合には『Stadium Events』(北米版『ファミリートレーナー ランニングスタジアム』)が2010年3月に記録した41300USドル(当時のレートで約367万円)がファミコン史上最高取引価格の頂点に君臨する。
ブロッケン禁止令
ブロッケンJr.の必殺技であるナチスガス殺法はゲーム中唯一の飛び道具であり、超長距離の射程範囲と起き上がり攻めの絶対的な強さが群を抜いていたために「ブロッケンJr.=卑怯」の構図が成り立ち、2人用での対戦時はブロッケンJr.の選択を禁止する暗黙のルールとして「ブロッケン禁止令」が広く提唱されていた。
プレイヤーによっては、大多数を占めるブロッケン禁止令とは異なるものが幾つか存在し、キャラクターでは命中率と接触判定の強さに秀でたブルドッキングヘッドロックを持つ「テリー禁止令」、必殺技では上級者が行うハメ戦法を絡めた一撃必滅の「バスター禁止令」が代表例として挙げられる。
移植作品
- 『キン肉マンⅡ世 ドリームタッグマッチ』
ワンダースワンカラー用の対戦アクションゲーム。基本的なゲームシステムは本作を踏襲している。
- 『キン肉マン マッスルグランプリ2 特盛』
おまけ作品として本作に加え、ディスクシステム用アクションゲーム『キン肉星王位争奪戦』が同時収録されている。
関連イラスト
- キン肉星王位争奪戦出場メンバー
- 旧世代伝説超人(シニア・レジェンド)