概要
旧日本海軍の重巡洋艦の艦型の一つ、最上・三隈・鈴谷・熊野の4隻から成る。
また、これらを擬人化した『艦隊これくしょん』に登場する重巡洋艦娘の最上、三隈、鈴谷、熊野に付けられるグループタグ。
「最上&三隈」と「鈴谷&熊野」ではそれぞれ制服に違いがあるが、これは「第四艦隊事件」で最上型に強度不良が見つかったため、途中で設計変更されたという史実ネタを盛り込んだものである(そのため、担当している絵師も最上&三隈はしばふ氏、鈴谷&熊野はコニシ氏と別々になっている)。
CVは最上が洲崎綾、三隈が中島愛、鈴谷&熊野がブリドカットセーラ恵美。
史実について
ワシントン軍縮条約によって戦艦と航空母艦の、更にロンドン軍縮条約によって重巡洋艦以下の補助艦艇の保有トン数が制限されたてしまった。軍備増強を図りたい日本海軍だったが、前級の高雄型で重巡洋艦の保有枠いっぱいとなってしまっため、旧式化した天龍型軽巡洋艦「天龍」、「龍田」、同じく旧式化した5500トン型軽巡洋艦のうち「球磨」、「多摩」計4隻の代艦として、新開発の15.5cm三連装砲を搭載した「軽巡洋艦」という名目で利根型と共に建造された。
艦名が軽巡洋艦と同じ河川の名前に由来してるのはそのためである。
ただしこれは一種の隠れ蓑でもあり、ロンドン海軍軍縮条約失効時には主砲を20.3cm連装砲へと換装し、重巡洋艦になれるように予め設計されていたのだ。そのためか、前線では無線符丁で重巡を「甲巡」・軽巡を「乙巡」と呼んでおり、最上型・利根型ともに甲巡として扱われていた。
以上のような経緯から重巡洋艦としては少し小柄な基準排水量8,500トン(重巡の平均は約10,000トン)の軽巡洋艦として昭和6年度の「第1次補充計画」にて建造開始。一番艦「最上」と二番艦「三熊」が相次いで起工するが、直後の昭和9年に有名な友鶴事件が発生。現状の最上型では復元力が不足していることが判明した。それを受けて設計段階だった3、4番艦の「鈴谷」、「熊野」は船体設計の線図を一部改めた上で工事が開始された。
お陰ですでに起工済みだった「最上」、「三隈」とは船体形状に違いが生じた。
そこで後期2艦は鈴谷型と分類されることもあった。また前期2艦のボイラーは重油専焼罐大型8基小型2基の計10基であったが、鈴谷型では重油専焼罐大型8基に変更されている。このため前期2艦には第3砲塔と艦橋構造物の間に大型の吸気トランクが設けられたが、鈴谷型にはそれがない。一番煙突も鈴谷型ではボイラー減少の分だけ径が細くなっているといった違いが生まれた。
なんとか昭和10年に一番艦「最上」が進水するも、完成前公試によって脆弱な溶接技術による問題点が次々と発覚。改正工事へと着手された。更に竣工直後に参加した昭和10年度艦隊大演習では台風による波浪により各艦に被害が続出。俗にいう「第四艦隊事件」によって日本海軍所属の多くの艦艇に船体強度の不足が露呈した。最上型各艦もそれに含まれ、船体強度強化の工事が再度なされた。
結果、工事が完了し最上型4艦が艦隊にそろったのは計画より2年遅い昭和13年度になってからだった。
また昭和11年にロンドン条約がすでに失効していたため、軍縮の制約を逃れた海軍は完成間もない最上型を早速昭和14年から15年にかけて主砲の換装工事を(利根型と共に)開始した。
元々15.5cm3連装砲は重巡洋艦の20.3cm連装砲よりも重量が大きいため、排水量が基準を超えてしまうという問題点を抱えていたのだが、いざ20.3cm連装砲に換装すると、今度は砲身が長くなってしまったために切り詰めた砲塔配置では各砲の間隔が狭すぎ、3番砲塔が2番砲塔と艦橋にはさまれる形となり、射角が非常に小さくなってしまう問題も残った。
さらに言うと、15.5cm三連装砲は、砲弾一発あたりの威力では劣るものの、単位時間あたりの投射砲弾重量では20.3cm連装砲より勝っており、用兵側の評判が極めて良かったといった、本末転倒な話もあった。
ちなみに換装された時、余った15.5cm三連装砲のうちいくつかは、大和型戦艦の副砲および大淀型軽巡洋艦の主砲として再利用された。更には陸上砲台としても使われたという。
本型4隻は第七戦隊を形成し、太平洋戦争へと参加。米重巡洋艦「ヒューストン」や豪軽巡洋艦「パース」の撃沈や通商破壊作戦で数々の戦果を上げている。
ミッドウェー海戦では退避中に最上と三隈が衝突し、最上は艦首を失い、その後の空襲で最上大破、三隈沈没という被害を受けた。三隈は日本重巡洋艦初の喪失であった。その後最上は損傷修理の際に後部砲塔を撤去し飛行甲板を延長、水偵11機搭載可能な航空巡洋艦となった。
その後も様々な戦闘に参加したが、最上はレイテ沖海戦で、鈴谷はサマール沖海戦でそれぞれ沈んでしまった。
残った熊野も同サマール沖海戦で損傷し、本土回航中に度重なる追撃を受け、昭和19年にサンタクルーズ湾において転覆沈没。
最上型は全て戦没した。
戦後の海上自衛隊には受け継がれた艦は次の通り。(すべて退役)
最上・・・いすず型護衛艦(DE)「もがみ」
三隈、熊野・・・ちくご型護衛艦(DE)「みくま」、「くまの」
ちなみに鈴谷の建造計画時、最上と三隈の2艦を防空巡洋艦へ改装する計画もあった。
改装の内容については断片的な情報しか無く、試案の図面すら残されていないが、福井静夫技術科士官の記述によれば主砲塔を一部又は全て撤去し、12.7cm連装高角砲を主とした装備案が検討されたという。 それ以外にも友鶴事件の影響で鈴谷以降を改設計する際、鈴谷と熊野を防空巡洋艦に改装する計画や、最上型全てを防空巡洋艦へ改装する計画があったとされる。
No | 艦名 | 工廠 | 起工 | 進水 | 竣工 | 戦没 |
一番艦 | 最上 | 呉 | 1931/10/27 | 1934/03/14 | 1935/07/28 | 1944/10/25 |
二番艦 | 三隈 | 長崎 | 1931/12/24 | 1934/05/31 | 1935/08/29 | 1942/06/05 |
三番艦 | 鈴谷 | 横須賀 | 1933/12/11 | 1934/11/20 | 1937/10/31 | 1944/10/25 |
四番艦 | 熊野 | 神戸川崎 | 1934/04/05 | 1936/10/15 | 1937/10/31 | 1944/11/25 |
『艦これ』における最上型
最上型の最大の特徴は利根型共々航空巡洋艦に改造できるという点である(改造に必要なレベルは最上がLv10、三隈がLv30、鈴谷&熊野がLv35)。
ただし、史実において航空巡洋艦に改造されたのは最上のみである点に注意。
性能
改造前は最大値が一回り以上低く、重巡では低性能側になる。だが改造することにとって各種最大値が大幅に引き上げられるため、他の重巡に負けず劣らずのものとなる。
改造後に装備できる艦載機は水上機に限定されるものの、索敵・航空戦・砲撃戦(含む対潜攻撃)・雷撃戦・夜戦をこなす事ができる(できないのは開幕雷撃だけ)。
また弾着観測射撃システムにおいては、瑞雲が水偵としても使えるため、敵艦隊に空母がいなければ、味方空母に頼ることなく単艦で制空権を確保、特殊射撃を発動させることができる。
この特性を活かして、2-5海域(夜戦ルート)などの攻略で重宝されるようになったようだ。
しかし、色々とできる反面器用貧乏になりやすいため装備の見極めが重要である。
また、艦載機以外では「ドラム缶」や熟練艦載機整備員も装備する事ができる。
マップ5-4「東京急行」では、艦隊全体でドラム缶4つを持っていく(&空母2隻を含み、艦隊全体を高速艦で統一する)と、ボスまでの戦闘回数が一番少なく済み、尚且つ渦潮の被害を受けず、資材獲得エリアを通るルートに固定(&資材獲得量増加)させる事ができるため、ドラム缶4つを航空巡洋艦にガン積みして出撃させる提督が続出しているようだ。
また熟練艦載機整備員によって射程が重巡最長になるほか、火力+10によって高雄をも超える火力+夜戦戦闘力を手に入れることもできる。(ただし純粋な総火力では利根型に劣る)
以上のように標準的な基本性能を持ちながらも、高い拡張性と汎用性を有する。
ただしそれらを活かすには充実した装備が必須であるため、ある意味熟練提督向け、あるいはある程度装備が揃う後半で活躍できる大器晩成型と言える。
レア度
もうひとつの特徴は「入手の難易度」である。
初期から実装されている最上はともかく、アップデートで追加された三隈・鈴谷・熊野の3人は極めて入手しづらく、三隈だけいないとか、ヘタすれば最上しか持っていないという提督も多い。
特に三隈は現在4-3と5-2のボスでしかドロップしない上、「大型艦建造」でのみ建造可能という最上位クラスの難易度を誇る。
大型艦建造では最低限の資材量(1500/1500/2000/1000と開発資材1)での入手も報告されているが、狙って建造できるものではないため、やはり入手は困難を極める。
特に大型艦建造では資材を大量に消費するため、レア艦の入手に躍起になるあまり通常の艦隊運営に支障をきたしている提督も続出している模様。
戦力的には持っていなくても特に問題無いのだが、航空巡洋艦が2隻必要となるクエストがあるため、その点がややネックとなっている(利根型は入手が容易な反面、航空巡洋艦への改装には勲章と引き換えに入手可能な「改装設計図」が必要であり、改造可能レベルも70と最上型に比べてかなり高い)。
ただし、最近では鈴谷・熊野は比較的難易度の低い5-4ボスからもドロップ出来るようになったため、こちらを狙うのもいい。
その場合はドラム缶担当として最上改あるいは夕張改が活躍する事になるだろう。
艦娘
- 一番艦「最上」
ボーイッシュな僕っ娘の長女。衝突ネタ持ち。あまり長女っぽい威厳はない。
一番入手が容易であり、改造も簡単など、新米提督にやさしい重巡。
- 二番艦「三隈」
おっとりお嬢様気質な次女。「くまりんこ♪」が口癖。最上とは衝突ネタで因縁がある。
通称「三隈砲」と呼ばれる強力な20.3cm(3号)連装砲を改になると持ってくるありがたい存在。同時に入手難易度は四人の中で最難。
姉の最上とはコンビネタが多い。
- 三番艦「鈴谷」
ギャルっぽい三女。プレイヤーを性的に挑発するような発言が目を引く。しかし二次創作では処女ビッチネタで人気。
妹の熊野とはコンビネタが多い。
- 四番艦「熊野」
高飛車お嬢様気質な四女。世間知らずな面もあり、戦闘時の奇声がよくネタにされている。
姉の鈴谷とはコンビネタが多い。
関連タグ
最上(艦隊これくしょん) 三隈 鈴谷 熊野(艦隊これくしょん)