「 I am Iron Man 」(私がアイアンマンだ)
概要(原作コミック)
本名はアンソニー・エドワード・スターク(Anthony Edward Stark)。
軍事企業であるスターク・インダストリーの社長であり、天才的な発明家でもある。父であり前社長のハワード・スタークと、母のマリア・スタークとの間に生まれた。
20歳を迎えた時、両親が事故で他界する(映画(MCU)版では、この事故の真相が思わぬ形では明かされることになる……)。このことによって、思わぬ形で莫大な遺産と会社の経営権を一気に得る事になるが、その頭脳を生かして新技術を次々と生み出し、一躍時の人として財界の著名人となった。
しかし、アフガニスタン(原作コミックでは時代に合わせ、オリジン・ストーリーで視察に来た地域が何回か変更されている)で新兵器のテストを目的とした視察に来たトニーは、誤って地雷を踏んだことによる重傷を負う。その上、自らの頭脳に目を付けたゲリラに拉致されてしまい、負った怪我の治療(手術)を受けることの引き換えとして、協力する事をゲリラの首領から強要される事になる。
心臓近くに破片が突き刺さってしまい、その事によって余命が幾許も無い状況に陥ってしまったトニーは、生きる為に止む無く要求を受け入れる。だが、その天才的頭脳を駆使した結果、共に拉致されていた物理学者のインセン教授の協力もあって、心臓のペースメーカーも兼ねたパワードスーツの開発に成功する。自身を庇ったインセン教授は殺害されてしまうものの、パワードスーツの起動に成功したトニーはゲリラ達を一蹴する形で脱出に成功し、母国・アメリカへと帰国する。
帰国後、自身のこれまでの過去を振り返ったトニーは、軍需産業からの撤退を決定し、パワードスーツを身に纏ったヒーロー「アイアンマン」としての活動を始める。
ヒーローとして活動し始めた当初は、あくまでもスターク・インダストリーのボディガードとしてヒーロー活動をこなしていたが、後に自らがアイアンマンである事を自ら公表する(映画(MCU)版でも、このシーンが『1』のクライマックス兼ハイライトとなっている)。現在は大手企業の社長とヒーローの二束草鞋をこなす存在として、世界的にも有名な存在となっている。
人物(原作コミック)
自身家かつナルシスト、目立ちたがり屋で高慢な態度が目立つが、それらはパブリックイメージであり、本来は真面目で心優しく、社会的な性質が強い。
言動の面でも表向きはユーモラスで飄々としたものが目立つが、仲間や親しい者を気遣い金銭的な面での支援を絶やさないなど、社会的責任感が強い。
地球上ではトップレベルの頭脳を持つが、メンタル面では超人ではないため(一般人よりは強靭とはいえ)繊細な面も多く持ち、それにより傷ついた者に歩み寄ることができる反面、責任感の強さと相まって自身を追い込んでしまうことも多い。
幼少期は父親との不和や虐待、また高い知能や飛び級などが原因で友人が少なく、内向的な少年時代を過ごす。
その点は映画版にも取り入れられているのか、映画のアイアンマン2コミカライズで描かれた映画トニーの少年時代ではハワードとの不和が描かれていた。(映画版ではハワードからトニーへの虐待は現時点では描かれていないため、お互いの不器用さなどによるものとされる)
スターク社を経営していた時代には、アイアンマンが社長のボディガードであるということ(トニーがアイアンマンであることを隠していたため)と、スターク社自体がヴィランにとって魅力的な技術や知識の宝庫であったため会社へのヴィラン襲撃が多く、それを憂えたトニーが社員全員を特別な保険に加入させたり、会社に緊急時の避難所を設けたりしている。
イルミナティの秘密会議では、ラスベガスを破壊してしまったハルクを、ハルクのためにも彼が安心して生活できる宇宙へ追放するしかないという決定を下したが、事故と不時着により不幸な結末となり、それに激怒した彼が復讐に出て「ワールド・ウォー・ハルク」の出来事が巻き起こってしまう。自身もハルク・バスターで撃退しようとするも敵わなかった。
「シビル・ウォー」の際は、スタンフォードで若手ヒーローが起こした事故により子供を始め多くの人間が犠牲になったことを受け、ヒーローへの懐疑的な視点が強くなる世論に対し責任を果たすため「スーパーヒーロー登録法」への登録派につく。
キャプテン・アメリカを中心として「スーパーヒーロー登録法」の反対派はレジスタンスとして別の道を歩み、多くのすれ違いや第三者の介入によって最終的に戦いあうという悲劇の内戦に加わることになる。
シビルウォーの最中もトニーの社会的責任への慎重さは多く描写されており、スタンフォード事件の被害者に対する賠償を含め向き合ったり、世論に対してヒーローが認められるよう努力を行っている。
反対派に対しては政府側が過激な措置を行い、登録派であるトニー側は政府と仲間であった反対派の板ばさみとなった状態で、仲間に裏切り者と罵られながらも彼らを政府に殺されないよう説得を続けるという辛い立場で活動を続けた。
また、登録法の旗頭として活動しながらも狙撃されたメイおばさん(反対派のピーターの身内)のためにジャービスを通じて治療費を送ったり、ハッピーが襲撃された際はそれを反対派が関わってないか確認だけして逮捕しないなど、彼なりに登録法が全てではないという考えが見て取れる。
己の行動で市民を傷つけたことを自覚したキャプテンアメリカ(スティーブ・ロジャース)の投降によりシビルウォーが終結したが、彼は裁判前に暗殺されてしまう。
その際スティーブ・ロジャースの遺体を前に泣きながら己の心の内を吐き出すシーンがある。
スティーブ死亡後はバッキーに新しいキャプテンアメリカを託し、盾だけではなく新しいコスチュームを作って送り、登録せずに新しいキャプテンとして活動するバッキーの正体を隠し通した。
映画(MCU)版
専らの話し相手は、自らが設計した人工知能のJ.A.R.V.I.S.。
また、ダミー(Dum-E、字幕での表記である「不器用」、及び吹き替えでの「ぶきっちょ」は同じ発音の「Dummy」の意味に由来している)と名づけたアームロボには愛着があるようで、文句を言いながらもずっと側に置いている。またダミーの他にユー(U、こちらは「You」に由来している)というアームロボがいる。
どうしようもない女好きだが、秘書であるペッパー・ポッツ嬢にはたいへん一途な純愛を寄せている。
『1』でのオリジンで強い責任感が芽生えるものの、責任感とその手にもつ多くの技術や才能ゆえ、厄介な問題に頭を悩ませることが多い。
特に『アベンジャーズ』でのチタウリとの戦いは酷く尾を引き、『エイジ・オブ・ウルトロン』において垣間見たヴィジョンが元で自分が果たすべき役割を遂行せずに仲間たちを失うことを非常に恐れるようになるが、一方では地球を守るために仲間にも内緒でキューブを研究したことが結果的にウルトロンを生む手助けをしてしまい新たな騒動を生む。
しかし、『シビル・ウォー』ではアベンジャーズを失わないために政府や世論とメンバーの間で板ばさみになりながら奔走する一方で、次々と仲間たちが離反していく。
事件の真相を知ってからはキャプテン・アメリカと和解するものの、その結末は……。
大富豪だがドーナツ(『アイアンマン2』ではしょっちゅう食べていた)、ピザ、ハンバーガー(『アイアンマン』でアフガニスタンから帰国したとき、チーズバーガーを真っ先に食べた)、ツナサンドといったファストフードが大好物。
テーマ曲はAC/DCの「Back in Black」、ブラック・サバスの「Iron Man」。また、『アベンジャーズ』ではブラック・サバスのTシャツを着用している。
なお、トニーに扮するRDJことロバート・ダウニー・Jr.のはまり役ぶりも有名で、
「アイアンマンは映画なんかじゃない!あれはRDJのドキュメンタリーだ!」
と熱心に主張するファンも海外にはいるぐらいであり、現在は「トニー=RDJ」のイメージが世界中で定着しているため、pixivでも「トニーといえばRDJだよね」のイメージで描かれているファンアートが圧倒的に多い。
ちなみに、上述のTシャツなど、作中でトニーが着ている普段着はRDJの私服である。そして、RDJ本人も、世間から求められているイメージそのまんまの仕事を近年よくこなしている。
シネマティック・ユニバースの第1作目を務め、以降シリーズでは度々登場するため、作中・現実世界で名実ともにMCUの顔と言えるだろう。
日本語吹替は(アニメ版、レゴゲーム版も含めて)藤原啓治が担当。(日曜洋画劇場版は池田秀一が吹き替えを担当している。)
- 映画(MCU)版である『アイアンマン』シリーズの第1作目(そして、MCUの第1作目でもある)である『アイアンマン』(2008年)は、日本公開時のキャッチコピーが「装着せよ、強き自分」であった。
- 『アイアンマン』シリーズの第2作目である『アイアンマン2』(2010年)のキャッチコピーは、「ヒーローになった男、トニー・スターク。次なる試練。」であった。
- 『アイアンマン』シリーズの第3作目、かつ最終作である『アイアンマン3』(2013年)のキャッチコピーは、「さらば――アイアンマン。」であった。
作品の特徴やストーリーといった映画(MCU)版での詳しい内容は、アイアンマンの『アイアンマン』シリーズの項を参照されたい。
また、『アベンジャーズ』の日本公開時のキャッチコピーは、「ありえないほど《天才》」であった。