概要
SNKが開発・販売していた16ビットの家庭用ゲーム機「AES」と、
同じくSNKが開発・販売していた業務用ゲーム基板「MVS」の総称。
但し、単に「ネオジオ」と言った場合、基本的には「AES」の方を指す。
AES(家庭用ネオジオ)
据え置きゲーム機「Advanced Entertainment System」の略称。
ただ、ほとんどの場合は「ネオジオ」と呼ばれることの方が多く、「AES」という呼称は浸透していない。
当時はアーケードゲームを家庭用ゲーム機に移植すると画質や音質が劣化していたり、一部のステージやムービー等が省略されたりしているのが常だったが、ネオジオは他機種とは違って、アーケード版そのままのクオリティのゲームをプレイすることができた。
1990年からゲーム機本体とネオジオ用ゲームソフトのレンタル事業を開始し成功を収めたため、1991年7月1日より一般販売を開始した。
(ちなみに日本初のメーカー公認ゲームレンタルを行ったのはSNKのネオジオである)
キャッチコピーは「凄いゲームを連れて帰ろう」。アーケードと同等のクオリティを家庭で楽しめる、ということをアピールしたコピーだった。
1992年に『龍虎の拳』が100メガビットという衝撃的な大容量でリリースされ、「100メガショック」というキャッチコピーが用いられた。「凄いゲームを~」よりこちらの方が有名かも。
同年発売のスーパーファミコン版『ストリートファイターII』は16メガビットであり、まさに桁違いの高性能だった。
その分販売価格もお高く、58,000円という当時としては最高価格であり(もっとも同年12月に更に高いPCエンジンLTが発売された)、更にソフト価格も3万円以上したため、極一部のマニアしか購入できない高嶺の花だった。ただし、本体購入の初期投資がそれだけかかる点・アーケード基板を自宅で遊ぶ基板ゲーマーにしてみればソフト導入は物凄く安いと考えるとまた捉え方は違ってくる(後述・MVS)。
当初レンタル事業のみ行われていたのもこの高価格が理由である。
ソフトのROMカセットは容量に比例して大きく重く、各所で「鈍器」或いは「凶器」と評された(ソフト保管も兼ねたパッケージもプラスチックであり大きい)。なお、カートリッジコネクタは一体型であるがスロットが二つあり、基板も内部では二つになっている。
後期タイトルになると家庭用ROMカセットは受注生産販売に変わっている。
なお、後述のMVSとの違いは家庭用の場合はゲーム開始前に難易度選択できるものがあり、例えば「EASY」「NORMAL」「HARD」そしてアーケード版と同じ難易度設定の「MVS」があったりする。
コアなアーケードゲーマー向けのゲーム機であるため、コントローラーも所謂アケコンを強く意識した形状になっており、左手側には方向キーの代わりにジョイスティックが付いている。
セーブデータはPCカードタイプのメモリーカードに記録される。
北米では高価格が災いし失敗してしまうが、日本ではコアゲーマーの支持を集めて約100万台を売り上げ、ソフト供給も2004年まで続けられた。旧SNK倒産後もネオジオCDと異なり修理を請け負う業者があった為にサポートはしばらくあったが部品調達の関係等で公式では終了している。
MVS(業務用ネオジオ)
1990年より発売されたアーケードゲーム基板「Multi Video System」の略称。こちらもれっきとした「ネオジオ」なのだが、ほとんどの場合ネオジオとは呼ばれず、「MVS」と呼称される。
それまではゲームセンター等でアーケード筐体のゲーム内容を差し替えるには筐体の内部基板を交換する必要があったのだが、基板は大きいため気軽に交換することができず、基板自体非常に高価だったため小規模なゲームセンターにとっては経済的な負担も大きかった。
これらの問題を解決するためにSNKが発売したのがMVSである。MVS基板(筐体)を一台購入すれば、あとは家庭用ゲーム機のようにROMカートリッジを交換することで手軽にゲーム内容を差し替えることができるのだ。
MVSカートリッジはAES(家庭用)用カートリッジよりもやや小さいが内部はほとんど同一であり、価格もAES用と同じく3万円程度に設定されていた。家庭用ゲームソフトとしては高価だがアーケードゲームとしては格段に安価であり、小規模ゲーセンにとってはこれだけでも助けになった。筐体価格もバカにならない為リース形式も行われていた。
それだけでなく、MVS筐体には複数のカートリッジスロットが付いており、一台の筐体で複数のゲームをプレイすることが可能だった。スペースに限りのある場所でも充分な数のゲームを提供できるため、駄菓子屋のちょっとしたスペースにMVS筐体が置かれていることも多かった。特に小型筐体はキャスター付きであった為に小規模スペースに特に向いていた。
加えてタイトル毎のインカム(売上)を別々に集計する機能が搭載されており、不人気なタイトルをすぐに特定してカートリッジを差し替えることができた。
一部のMVS筐体には家庭用ネオジオのメモリーカードを差し込めるPCカードスロットが付いており、セーブデータを共有することができた。
簡単に言ってしまえば家庭用ネオジオでラスボスまで進めてメモリーカードにセーブした場合、アーケード筐体にメモリーカードを持って行けば同じ所から開始が可能となる。
しかし一つのゲームにつき一つのセーブデータしか作成できない為、違うキャラクターや構成を変えたものを用意することはできなかった。このメモリーカードはMVS設置店で大抵購入できた(特に設置店がゲームショップだとほぼ確実)。
なお、ヘッドホン端子が付いていた珍しい筐体でもある。
家庭用ネオジオとは違い、MVSは海外でも大成功を収めた。
MVSコンバーター
まず家庭用ネオジオとMVSはソフトのカートリッジ形状が異なる為、物理的な相互互換性がない。しかし、内部はほとんど同じである為、ゲタ(変換カートリッジ)をかますと家庭用でもアーケード版カートリッジが動く。ちなみにMVSカートリッジは家庭用で起動させると家庭用モードに変化する。
この「ゲタ」は家庭用にリリースされなかったタイトルを動かす為にネオジオファン御用達でもあった。
なお、この「ゲタ」は非ライセンス品である(ただし、旧SNKには開発者用の「ゲタ」が存在したようだ)。故にバージョンによっては正常に動作しないこともある。
マジコン
上記の「ゲタ」を作るだけでもかなりの大がかりな同人サークルが必要とされたため、ネオジオにはマジコンは作られないと考えられていたが、スペインのハッカー(解析者)によって『NEOSD』が開発された。これにて、海外で販売されている同人ゲームのロムイメージをエミュレータを介さず直接ネオジオ実機で楽しめるようになった。
その他の「ネオジオ」
SNKの公式ホームページのURLは「neogeo.co.jp」だった。元々は「snk.co.jp」にする予定だったが、既に別の会社にこのURLが使われていたことが理由である。
しかしSNKがこの「ネオジオ」ブランドを主軸に据えるつもりだったことには変わりなく、格ゲーブームと共に急成長を遂げた同社はその後事業拡大し続け、それらの事業には必ずと言って良い程「ネオジオ」の名前を使っていた。
初代ネオジオの派生機種としてネオジオCDを、そして携帯ゲーム機のネオジオポケットを発売し、MVSの後継機としてより高性能なアーケード基板「ハイパーネオジオ64」を発売。
直営ゲームセンター「ネオジオランド」も展開し、テーマパーク「ネオジオワールド」の経営にも着手した。
しかし、これらの事業はいずれも成功したとは言い難く、中でもネオジオワールドは数十億円単位の大赤字を出し、SNK倒産の一因となってしまった。
関連項目
NESiCAxLive:ユーザー側で複数ゲームを切り替えられる為、タイトー版MVSとも。過去のNEOGEO作品も配信
関連タグ
ネオジオ SNK アーケードゲーム ゲーム機 据え置きゲーム機 筐体
ネオジオCD ネオジオポケット ハイパーネオジオ64 ネオジオランド ネオジオミニ
別な用法
小林誠の作品に登場する、機動戦士Zガンダムのジ・Oのデザインを発展させた機動兵器(画像は「アート・オブ・迷宮都市」版)。
正式な表記は「Neo-Geo(ネオ・ジオ)」でとある芸術運動に由来する。
外部リンク
NEOGEO 誕生25 周年記念! てきとうにブログ - 25周年を記念し、期間限定でネオジオ各タイトルが販売されていた。現在は終了。