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N700系の編集履歴

2020-09-26 22:57:31 バージョン

N700系

えぬななひゃくけい

N700系とは、JR東海及びJR西日本が共同開発した新幹線車両。

※ここでは、2007年に営業運転を開始したN700系新幹線について説明しております。2020年に営業運転を開始した後継車両のN700Sは完全な別形式であるため、当該記事をご覧下さい。


N700系新幹線電車

東海道・山陽新幹線のぞみ

JR東海JR西日本が共同開発した新幹線電車。

車両形式の「N」は「NEW」「NEXT」を表し、700系の次期車両を意味する。

2005年に先行試作車が登場し、2007年より量産開始。

2007年7月1日より東海道・山陽新幹線で主に「のぞみ」として営業運転に就いており、現在両社において増備が続けられている。また、九州新幹線全線開業に伴い2011年3月12日より山陽・九州新幹線直通列車「さくら」「みずほ」にも7000番台・8000番台が投入された。新幹線電車でJR3社が保有する車両は本形式が史上初である。

改良型「N700A」を含めると、2020年までに2976両が製造された。(※代替製造車両を除く)


先代の標準形である700系をベースに曲線通過速度・最高速度・加減速性能、乗客の快適性、環境対策の向上を狙って設計された。最高速度は300km/h(山陽新幹線区間)。営業用新幹線電車としては初となる車体傾斜システムの導入などで東海道新幹線においては300系投入時以来となる時間短縮を実現している。当初は東京~博多は最速4時間50分(基本停車駅のみ停車)、山陽新幹線内ほとんどの「のぞみ」が基本停車駅+姫路駅、福山駅、徳山駅、新山口駅のうち1駅追加停車していたこともあって大半の列車については従来同等~停車駅増加した分遅くなっていた……のだが、その後の山陽新幹線内ATC改良に伴い東京~博多間最速4時間46分となっており、ついに500系が出した記録である4時間49分が塗り替えられることとなった(当時品川駅は未開業で新横浜駅と新神戸駅は通過)。


編成価格は約46億円と700系の約36億円より高くなり、500系と同等。


2008年に鉄道友の会よりブルーリボン賞を受賞。他、グッドデザイン賞ブルネイ賞など多数の賞を受けている。


番台区分

すでに使用できる番号が枯渇するほど制約があるため、使用番号が複雑化している。

使用形式77X形、78X形(8両編成は766形、78X形)製造本数
0番台Z編成、JR東海所有の16両編成X編成へ改造
1000番台G編成、JR東海所有の16両編成51編成
2000番台X編成、0番台から改造80編成
3000番台N編成、JR西日本所有の16両編成K編成へ改造
4000番台F編成、JR西日本所有の16両編成24編成
5000番台K編成、3000番台から改造16編成
6000番台未使用
7000番台S編成、JR西日本所有の8両編成19編成
8000番台R編成、JR九州所有の8両編成11編成
9000番台JR東海所有の16両編成で試作車。X0編成1編成

合計201編成、2976両製造。(代替製造除く)

これは、0系の3216両に次いで新幹線車両では第2位の製造数である(ただし0系は同形式同士での置き換えがあった為、全編成が揃ったことはない)。

最終編成であるG51編成、F24編成が落成したのは2020年1月であり、2019年2月に廃車になった試作車のX0編成を含めると全編成揃ったことがない

量産車のみだと、全編成揃った期間はX12編成が廃車されるまでの2020年7月までの約半年間のみだった。



9000番台

X0編成

2005年に登場した先行試作車。JR東海所有の16両編成1本が在籍した。量産車とは喫煙ルームが無い等、客室形態が異なるため営業運転に就くことは最後までなく、新技術の実車試験やデータ収集などに用いられていた。1000番台・4000番台にあわせる改造工事を施行したが、番号は9000番台のままで、編成番号のみZ0編成→X0編成と変更した。

N700S9000番台に置き換えられる形で、N700系の廃車第1号として2019年2月6日に廃車となり、このうち1、8、14号車の3両はJR東海が運営する鉄道展示施設「リニア・鉄道館」にて同年7月17日より屋外にて静態保存。


0番台・3000番台→2000番台・5000番台

またおいでN700ロゴ

最初に登場したグループで16両編成。耐用年数を迎えた300系を置き換えるために製造された。JR東海所有のZ編成が0番台、JR西日本所有のN編成が3000番台として登場した。

Z(→X)編成が80本、N(→K)編成が16本製造された。

2007年〜2012年に亘って製造されており、製造時期によっては一部仕様変更がなされている。

Z43・N10編成以降は5・12号車の主変換装置が走行風冷却式に変更された。


のち1000番台・4000番台相当に機能を向上させる改造工事が行なわれた。主な改造内容は以下の通り。

  • 車輪ディスクブレーキのブレーキディスクのボルト締結方式を、内周締結式から中央締結式に変更しブレーキ性能を強化
  • 定速走行装置の搭載
  • 地震ブレーキの搭載
  • 車体傾斜装置の改良

車番が+2000され、全編成が2000番台・5000番台となった。編成記号も変更され、JR東海所有の2000番台がX編成、JR西日本所有の5000番台がK編成である。


2020年7月より、後継形式のN700Sへの置き換えを行っており、同年7月2日のX12編成を皮切りに、9月26日現在、X14編成までの3編成が編成順に廃車されている。

なお、廃車・解体された車両はリサイクルされ、N700Sの部品の材料に生まれ変わる予定。


7000番台・8000番台

山陽・九州新幹線さくらさくらよ未来へ吹雪け!!

2011年九州新幹線(鹿児島ルート)全線開業に伴う山陽・九州新幹線直通列車向けに製造された。8両編成。JR西日本所有のS編成が7000番台、JR九州所有のR編成が8000番台である。

S編成が19本、R編成が11本製造された。

S編成・R編成の相違点として、車内チャイムの違いや車体のJRマークの色が挙げられる。


座席は700系「ひかりレールスター」をベースに改良が施されており、指定席の座席は通路を挟んで2列ずつとされている。また、6号車がグリーン車・普通車の合造車という珍しい構成である。

九州新幹線内の急勾配に対応するべく、全電動車構成とされた。一方で、東海道区間とは異なり主要区間が線形の良い山陽新幹線でもあるため車体傾斜装置は未搭載であり、準備工事に留めている。


1000番台・4000番台

JR東海 N700系1000番代 ロゴ熊野 と N700A新幹線

2012年末から改良型の1000番台・4000番台が製造開始。

「Advanced」の意味を込めて「N700A」の通称が与えられたが、あくまでN700系の一員である。

主に耐用年数を迎える700系を置き換えるために製造された。16両編成。JR東海のG編成は1000番台、JR西日本のF編成は4000番台を名乗っている。車体側面のロゴマークには大きく「A」の文字がある。

G編成が51本、F編成が24本製造された。


従来車からの改良点は、概ね以下の通り。

  • ATCと連動した定速走行装置を搭載
  • 車輪ディスクブレーキのブレーキディスクのボルト締結方式を、内周締結式から中央締結式に変更することでブレーキ性能を強化
  • 台車振動検知システムの採用
  • 車体傾斜装置の改良
  • デッキ・洗面所・トイレの照明をLED化、2016年度落成分以降は客室部もLED照明化
  • ドア開閉警告灯を設置
  • 一部部材を変更
  • トイレに温水洗浄便座を装備(2014年度落成分以降)
  • ブレーキライニングを新型に変更し、制動距離を削減(2016年度落成分以降)

車両設計

車体

700系と同様の、アルミニウム合金によるダブルスキン構造の構体であるが、車体傾斜装置の搭載を前提として、車両限界に収まるよう車体幅が狭められている。車体幅を狭めた分、側構体を薄くすることにより、従来と同等の車内空間を実現している。

側構体を薄くした上で強度を維持するため、窓面積を小さくしている。その窓についても、従来の複合ガラス構造から、透明なポリカーボネート板に変更し、大幅に軽量化。

先頭部形状

700系のエアロストリームを発展させた、エアロ・ダブルウィングと呼ばれる形状を採用。

ノーズは700系よりも少し長い約11メートルで、運転室扉に干渉しており、またその直後の客用扉はプラグドアとなっている。

圧力波抑制にあまり寄与しないノーズの先端部の断面積変化率を大きくすることで、ノーズの長さを切り詰めることに成功した。また、トンネル突入時の圧力変化を抑えるため、先頭車は後ろのデッキ部を除いて屋根が低くなっている。さらに、左右に長い窪みを設け、前面ガラス周辺を盛り上がらせることで、気流の整流作用を向上させている。

これにより、300系と同じ座席配置を維持しつつ、300km/h走行時のトンネル微気圧波基準を満たせるようになった。

全周幌

700系では一部の号車に装備されていたセミアクティブ左右動ダンパを、N700系は全車両に搭載した。これにより、車体の横揺れが少なくなったので、車体の端部同士を繋げてしまう形で全周幌を搭載することが可能になった。

全周幌本体は四角いタイルのようなパーツとなっており、車体に1つずつねじ止めされ、連結部を跨いだ白いカバーの形態となっている。伸縮性のある特殊な素材でできており、高い強度と耐久性を持つ。

車両全体が平滑になるので、空気抵抗の削減が期待できる。

走行機器

300km/h運転を目的として、主電動機は連続定格出力を305kWに増強し、歯車比も2.79まで落とすことで、高速性能を確保。

主変換装置は従来よりも小型軽量化・信頼性向上を図った新型を採用。16両編成のうち中央寄りの6両には、走行風冷却方式の主変換装置を搭載している。1000番台・4000番台は全車両に走行風冷却方式の装置を採用し、さらなる小型軽量化を実現。

700系に引き続き、グリーン車の駆動装置にはTD継手を採用し、惰性走行時の床振動を無くしている。

台車は300系以来の円筒積層ゴム+コイルばね軸箱支持方式である。一方、九州新幹線直通用の7000・8000番台では、500系以来の軸梁式となっている。

パンタグラフは新形状のシングルアーム式を採用。下部のアームが極端に短くなった。

電動車比率を14M2Tに高め、車両制御伝送システムによる遅れ込め制御を導入したことで、常用ブレーキを全て電動車の回生ブレーキで賄うことが可能になり、よって渦電流ディスクブレーキを廃止。


700系では東海車と西日本車で走行機器に違いが見られたが、本系列では特に見られない。

車体傾斜装置

東海道新幹線内に多数点在する半径2500mの曲線を高速で通過するため、新幹線車両で初めて空気ばね圧力制御による車体傾斜機構を搭載する。半径2500mの曲線において、本則+15km/h、270km/hでの通過が可能であり、曲線通過時の加減速を不要とした。

車両の傾斜制御プログラムと地上設備の位置情報を元に、正確な車体傾斜を行い、乗り心地を向上させている。

N700Aでは車体傾斜の動作条件を半径5000m未満の曲線にまで拡大し、半径3000m以上の曲線において285km/hでの通過を可能とする。

なお、これら車体傾斜装置が故障した際は、700系と同じ運行ダイヤとなる。


山陽新幹線においては曲線通過速度の向上が必要ないため、車体を水平に保つ制御のみを行う。また、東海道区間での運用が無い7000・8000番台では準備工事措置とされている。

設備面

座席は、軽量化と座り心地を両立するため、座面クッションに金属のSバネと樹脂を合わせた複合バネを仕込んでいる。

グリーン車の座席は、リクライニングと共に座面後部が連動して沈むようになっており、包み込まれるような座り心地を実現。また、荷棚下には飾り照明が付いている。


受動喫煙防止の観点から、車内は完全禁煙とされた。ただし、喫煙需要にも応えるべく、16両編成では3・7・10・15号車に、8両編成では3・7号車に喫煙ルームを設置。


また、痴漢防止や犯罪抑止を図り、運転室と全ての客用ドア上部に防犯カメラが設置された。ドア上部のカメラは、デッキの出入口周辺を撮影する格好となる。

しかし、2015年の東海道新幹線火災事件を受け、更なる防犯措置としてデッキの通路を撮影するのに1台ずつ、さらに客室用として案内表示器の右側に1台ずつカメラが増設された。

センシティブな作品

性能

電動車比率の増加、車体傾斜装置など重量増加の要因が増えたため、700系よりも編成重量は増加しているものの、708tに対して715tとかなり抑制されている。


運行ダイヤの過密化が進む東海道新幹線において、後続列車からより素早く逃げるため、起動加速度は2.6km/h/sとかなり高めに設定。JR東海の313系と同等であり、しかも定格速度が100-120km/hであるため、並の在来線車両ではこの加速力に追いつくことは不可能である。

山陽新幹線内では、最高速度300km/h運転を行う。


車体傾斜装置によって曲線通過時の余計な加減速を無くしたことと、全周幌の採用による空気抵抗の削減により、東京〜新大阪間走行時の消費電力は700系比で19%カットとなった。


運用範囲

東海道・山陽新幹線用

JR東海所属車・JR西日本所属車が両者共通で16両編成の「のぞみ」「ひかり」「こだま」で運用されている。N700Sと共通運用。


山陽・九州新幹線用

JR西日本所属車・JR九州所属車が両者共通で8両編成の「みずほ」「さくら」「つばめ」「ひかり」「こだま」で運用されている。このほか、JR西日本所属の7000番台・S編成に関しては博多南線での定期運用があり、JR九州所属の8000番台・R編成はダイヤ乱れ時の突発的代走以外での運用はない。


その他

祝!九州縦断ウエーブ

モノクロでも伝わる派手な車両~九州新幹線N700系「祝!九州」

2011年2月20日、8000番台(R10編成)に、虹色の特別ラッピングを施し、沿線の住民に手を振ってもらうというCM撮影が行われた。

綺麗な映像を撮影するため、予定より速度を落とし走行、トンネル内等で回復運転をするなどの努力も行われた。

3月4日から放映されたが、東日本大震災の影響もあり、わずか6日で放映中止。後に大きな反響を呼ぶことになった。

CM映像

アニメ・映画への登場

新幹線変形ロボ_シンカリオン

シンカリオンのぞみ

1000番台がJR東海初のシンカリオンとして「N700Aのぞみ」が登場。

1号車と16号車の2両で変形するノーマルモードの他、5号車を強化合体させるアドバンスドモードがある。

アニメでは12話から登場。詳しくは当該記事参照。

シン・ゴジラ

BGM:宇宙大戦争マーチ

ゴジラを倒すヤシオリ作戦に登場。

無人新幹線爆弾として、N700系2編成(1編成は9000番台)がゴジラに突っ込んだ。

詳しくは無人在来線爆弾を参照。

ちなみに、東京方が1号車になっていた。(実際と逆)

君の名は。

主人公・立花瀧が、東京から岐阜へ行くシーンに登場。

ただし、車内の座席配置が海側が2列、山側3列と実際と逆の配列だった。

このシーンを印刷した記念toicaも発売された。


事件や事故など

東海道新幹線火災事件(放火事件)

2015年6月30日、X59編成(2000番台)がのぞみ225号として新横浜~小田原駅間を走行中、乗客がガソリンを撒き放火、1号車の車内が大きく損傷した。

事件後、当該編成は車掌の運転(※運転士は病気へ搬送)にて三島車両所へ低速にて回送され現場検証を行い、現場検証終了後の終電後に浜松工場へ回送された。事件から約1年になろうとしていた2016年6月29日未明に、代替新造のための新たな1号車が日本車輌から陸送された。

車体の修理扱いのため車番に変更はない。

因みに代替新造された車体、前照灯は1000番台と同様の形状だが側面の青帯やロゴマーク、車内設備等は2000番台のものとなっている。その為、編成の前後でライトの形状が微妙に異なる編成となる。

陸送

のぞみ34号重大インシデント

2017年12月11日、K5編成(5000番台)がのぞみ34号として走行中、乗務員が異常を感じ、名古屋駅にて車両点検を行ったところ、13号車の台車に破断寸前な亀裂が入っているのを係員が見つけた。

そのまま当該列車は運転を打ち切り、脱線の恐れがあることから回送も出来ず、現場付近で浜松工場から輸送した台車と交換する作業をクレーンを使って終電後におこなわれた。12月17日に、ようやく当該編成を名古屋車両所へ回送。それまでの期間、名古屋駅14番線が使用できなかった。

輸送中の事故による代替新造

2019年3月12日、博多中央ふ頭から博多総合車両所へトレーラーにて陸送中のF19編成の5号車が、交差点を曲がる際にマンション外壁に接触する事故が発生した

6月19日に同一番号にて代替製造された車両が搬入され、当該車両は車両メーカー(日車)へ返却された。


関連タグ

0系 100系 300系 500系 700系 N700S

のぞみ ひかり こだま みずほ さくら つばめ

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