概要
古怒田健志による『仮面ライダーキバ』のノベライズ。原作であるTV版『キバ』のメインライターを担当した井上敏樹が監修を行っている。
いわばリメイクであり、原作を再構成してよりコンパクトにまとめたような作品で、紅渡と野村静香の出会いや「素晴らしき青空の会」の設立経緯など、本編では語られなかった補完要素を多く取り入れており、小説仮面ライダーシリーズでも中々評価は高い。ちなみにシリーズの中では二番目にページ数が多い。
本編との差異
TV本編でのギャグ要素や昼ドラ要素は一切なく、登場人物の成長、人間とファンガイアの関わりに紙面を割いている。小説版の龍騎やファイズに比べればハードな描写は控えめで、バランスが良い。
人間のライフエナジーを餌にしているという点は原作とあまり変わらないが、過去編で取り逃がしたファンガイアが現代編でも暴れるという事例はなく、現代編と過去編で登場する個体がきちんと分かれている。
チェックメイトフォーの設定はない。
本作の仮面ライダー
本作には、なんとキバットバットⅢ世が登場しない(なのでフエッスルもフォームチェンジもない)。
変身の時は渡が心の中で変身の意思を念じる事でキバの鎧が召喚・装着されるというZOのようなプロセスを取る。
登場するツールもマシンキバーのみ。タツロットやキャッスルドラン、ブロンブースターもない。
フォームチェンジがない代わりに戦闘力はかなり高く、小説では苦戦するシーンはほとんどない。作中のファンガイア側の言動を見る限り、原作と違って王の鎧はこの一着しか存在しないらしく、同時に王の証として見られている。なので、真の姿であるエンペラーフォームがあるかは不明。
素晴らしき青空の会が開発した対ファンガイア用のパワードスーツ。装着者は本編同様名護啓介。
だが、こちらもフエッスルがない。さらには『異形の花々』における仮面ライダーカイザのように量産されている。
人間に擬態しているファンガイアを見抜けるサーチ機能が搭載されており(量産型にはない)、最初からバーストモード。ちなみに過去編には登場しない。
終盤では名護さんの暴走により……。
一切登場しない。
登場人物
基本的なキャラ設定は本編とあまり変化はないが、本小説に登場しないキャラもチラホラいる。
本作の主人公。性格は原作より逞しくなっている。ちなみにキバの鎧を初めて使ったのは16歳の時。
原作第1話で触れられた「この世アレルギー」の詳細についても明確に書かれている。
ご存じ我らが753。性格は原作の前半を踏襲した歪んだ正義感の持ち主になっている。本編以上にその暴走っぷりが披露されている。その結果、恐らくTV本編と最も結末が変わった人物。(ネタバレ防止の為、真相は名護啓介にて)
原作同様過去編に登場。性格は原作と同様だが、音也の天才性、ゆりを巡った次狼との対立と友情、そして真夜との出会いなどが原作以上にきっちり描写されている。ただしイクサには変身しない。
原作では活躍する機会が少なかったが、小説では前半の実質的な主人公。彼女の家系や渡との出会いなどが明確に書かれている。性格は原作と特に変化はないが、学年は本編と違い高校2年生。
ご存じ青空の会のファンガイアハンター。本編よりも身体能力が高くなっており、一対一ならファンガイアを倒す事も可能。
イクサシステムの登場により、ファンガイア殲滅にこだわる名護と青空の会の方針に疑問を抱き始める。
過去編のヒロイン。原作序盤同様音也に付きまとわれるが、音也の天才っぷりのせいか原作ほど邪魔者扱いはしていない。後に音也との間に愛情が芽生える。
魔族・ウルフェン族最後の生き残り。原作同様ゆりを巡って最初は音也と対立するが、後に友情が芽生える。
残念ながら登場しない。
- ゴートファンガイア
本作オリジナルのファンガイア。ヤギがモチーフであるため、ビーストクラスに属するものと思われる。鳥モチーフと真名は明かされていない。
人間体はエリート企業に勤務するサラリーマンの男で、かつては人間を襲っていたが、「金さえあれば一通りの欲求は満たせる以上、むやみに人間を襲ってハンターに目を付けられたくない」という合理的な考えから、人間を襲わなくなった珍しいタイプのファンガイアである。
ヤギよろしく、優れた跳躍力を活かして10メートルもの高さまでジャンプできる他、角で刺突する能力を備えている。
最期は名護に一方的に襲われ、逃げ出したものの、待ち伏せていたハンターたちの一斉掃射を受け、何もしていないのにファンガイアであるというだけで殺される絶望に凍り付いたまま粉々に砕け散った。
ついでに言えば「カフェ・マル・ダムール」のマスターが女性に変更されている。