セイバー(strangeFake)
しししんおう
盟約は為された。今は互いの言葉を鬨合わせとしーーー俺も、侵攻を開始する
概要
セイバー以外の六騎しか存在しないはずの「偽りの聖杯戦争」に召喚された「七騎目」のサーヴァント。
「偽りの聖杯戦争」最後のサーヴァントにして「真なる聖杯戦争」最初のサーヴァント兼、他のクラスの呼び水としての存在であり、「偽り」と「真実」を併せ持つ橋渡しとなる英雄らしい。
スノーフィールドのオペラハウスで、アヤカ・サジョウの前に姿を表した謎のサーヴァント。
彼女に自分のマスターかを問いかけるが、彼女からは激しく拒絶されて困惑する。しかし理由は不明ながら彼女と魔力供給のパスが繋がった為、マスターでなくとも一方的に保護対象とする宣言をした。
人物
容姿はまだ若く、10代後半から20代前半ほどの青年。金髪に赤毛混じりの髪で、「古い西洋の貴族、ないし王族」とわかる荘厳な装束に身を包み、瞳は獣のように爛々と輝いている。
人の上に立つカリスマ性と包容力を持ちながらも、悪童めいた稚気と悪戯心も同時に併せ持っている。故国の祖王たるアーサー・ペンドラゴンを敬愛しており、騎士道を重んじる騎士でもある。
彼の「アーサー王伝説」への敬愛っぷりは異常なほどであり、なにかにつけて騎士王と円卓の騎士たちを讃えるため、読者はおろか遭遇した敵対勢力にも真名を看破された。
ちなみに音楽も大好きで、現代の音楽や楽器、映画などを鑑賞した際は「受肉して数々の音楽を座に持ち帰ろうか」とまで言うほど。特にロックミュージックがお気に入りらしい。
騎士道を重んじながらも破天荒な性格が災いし、2巻では警察に逮捕され、集まった野次馬の前で堂堂々たる演説を行い、挙句その姿がテレビで生中継されるという暴挙をしでかし、他のマスターやサーヴァント、読者の度肝を抜いた。
また、彼の正体を知らない第三者の仕業ではあるが、エレキギターを演奏している姿を動画共有サイトにアップロードされ、海を越えた時計塔の魔術師たちも仰天させている(ちなみにロード・エルメロイⅡ世からはギターの腕前を評価された)。
真名
「獅子心王(ライオンハート)」の異名で讃えられた中世イングランド王、リチャード1世。
生涯のほとんどを戦争と冒険に費やし在位中も6カ月しかイングランドにいなかったとされ、それゆえに「彷徨える王」という異名も持つ。その勇敢さ、冒険譚は敵味方とわず畏敬の念を抱かせ中世騎士の規範とされた。
一方で、その度重なる遠征はイングランドの経済をむしばんだ。王位を継承した弟、ジョン欠地王は暗君として悪名高いがこうした兄のツケを支払わされた面も否めない。
冒険の目的は精霊や魔術の知識の探求であり、後の世でその逸話を知った偽キャスターには「神代の神秘に片足突っ込んだ最後の王」「神話と歴史の境界を彷徨う王」と評されている。この人物評も「偽りと真実の橋渡し」という立場に妙に符合する。
幼少の頃から文武両道で何でもできたという天才ではあるが、本人曰く「イングランド王なのに英語だけが苦手だった」とのこと。
真名が判明したのは3巻だったが、容姿や宝具、発言など2巻の時点でかなりの数のヒントが出されていたため、読者にはほぼ看破されていた。
『Fate/GrandOrder』では、第六特異点にて『獅子王』の名前が出た際、異名の似通いからなのか彼の名前が出された。
更に、前日譚にて名前の似た外見が一致しない存在がいたが、本人かは不明である。
能力
ステータス
マスター? | 筋力 | 耐久 | 敏捷 | 魔力 | 幸運 | 宝具 |
---|---|---|---|---|---|---|
アヤカ・サジョウ | B | B | EX(B~A++) | B | C | A |
Fateシリーズにおいて、ステータスが判明しているサーヴァントでは初めての「敏捷EX」保有者。
韋駄天と称されるギリシャの大英雄や、狂化によって底上げされたクランの猛犬、NOUMINでさえA+であり、それ以上となると剣術無双のA++がこれまで最上であった。
リチャードの速さは彼等とは性質が違っており、平時ではB相当とそこまで速いわけでもないが、戦闘を継続すればするほどスキル「神速」の効果によって際限なく速度が上がっていくという特性を持っている。
ただ、加速していくには何らかの条件を満たす必要性がある描写がされており、加速の度合いも本当に上限がないのか、また戦闘が中断された場合は加速がリセットされるのかどうか、まだ不明な点が多い。
また、「驥足百般」のおかげで学習速度が速く、ライブハウスに潜伏していたたった1日の間だけで現代式の拳闘術とギターの演奏をマスターしている。
保有スキル
騎乗(A) | 乗り物を操る技術と才能。幻獣・神獣ランクを除くすべての獣、乗り物を自在に操ることが出来る。 |
---|---|
対魔力(B) | 魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等をもってしても傷つけるのは難しい。 |
神速(A) | その行軍の速さ、戦場での電光石火ぶりより霊基に刻まれた技能。戦闘を継続すればするほどに敏捷のステータスが上昇する。 |
獅子心(A) | ライオンハートを体現したスキル。その何者も恐れぬ勇猛さがスキル化したもの。敵には恐怖や警戒心を呼び起こさせ。味方の士気を上昇させる。 |
驥足百般(A) | 武術、芸術、色事など様々な分野に才能を見せた逸話から。生前に嗜んだ物はBランク以上、新しく始めた事柄は通常よりも早い速度で習熟する。 |
永久に遠き勝利の剣(エクスカリバー)
- ランク:D〜A+
- 種別:対軍宝具
- レンジ:1〜99
- 最大捕捉:1〜1000
手にした得物に「聖剣エクスカリバー」の概念を付与し、雷撃の如き光の斬撃を繰り出す。
生前アーサー王に憧れるあまり身の回りの手に持って戦えるものすべてに「エクスカリバー」と名付けていたという逸話が昇華した宝具で、作中で本人が言及しているように、ランスロットの「騎士は徒手にて死せず」と性質の似た、「具体的な武器」ではない能力としての宝具。
基本的に剣を使うものだが、木の棒や丸めた羊皮紙でも効力が及ぶ。
作中では紛失や破損などで得物を次々に変えており、現界時に所持していた装飾剣に始まり、森に落ちていた木の枝、刃引きされた装飾剣、果ては英雄王からパクった宝剣などを扱っている。
また、コミカライズ版第2巻の表紙を参考にすると、最初に所持していた装飾剣ならびにそれを収める鞘の意匠は、青を基調とした本家のエクスカリバーとアヴァロンを赤色基調にしたものであり、自作の可能性もある。
ただし、「エクスカリバー」として使用された物体が脆ければ、使用後または使用中に即崩れ落ちてしまうのが欠点であり、全力で振るう場合はそれなりの得物が必要になる。
逆に言えば、使用する武具がその威力に耐え得るもので、魔力供給が充分ならば連発も可能であり、作中では最低でも20撃以上連発している描写もある。
なお本質的には"模倣"である為、威力はいずれも本物の『星の聖剣』には及ばない。たとえ本物の聖剣を握れたとしても、所有者と同等の威力を引き出す事は出来ない模様。
ちなみに、月の聖杯戦争で似たような表記の宝具があるが、あれは本家に近い模造宝具であり、読み方も違う。
円き十字に獅子を奏でよ(ラウンズ・オブ・レオンハート)
- ランク:A
- 種別:対軍宝具
- レンジ:-
- 最大補足:-
生前に縁のある者の魂を従者として自らに同行させる。直訳すると「獅子心王の円卓」、すなわち「リチャードにとっての円卓の騎士たち」を意味する。
同行者はリチャード自身が現界する際に選ぶが、同行するか否かは選ばれた側が決める。
人数の上限は召喚時の状況によって異なり、今回の現界では7人が付き従っており、それぞれ基本7クラスに対応している模様。なお、対象が座にいるかどうかは関係なく、英霊に至った者、そうでない者のどちらも従者になりうる。
彼らを実体化させる事は魔力を膨大に必要とする為通常は無理であるが、代わりにリチャードの魔力を介して「技」や「魔術」を使ってサポートする。額面通りに捉えると、裏を返せば魔力さえあれば現界可能という事であり一時的にだが数名を現界させることができる。
簡潔に言うとスキル限定の王の軍勢や誠の旗のようなもの。もしくは格ゲーの援護キャラ。
リチャードは彼らと自由に会話することができるが、他人からは独り言を言っているようにしか見えない。リチャードに魔力を供給しているアヤカは魔力供給量を高めることで彼らを認識できる。
ロバート・ロクスレイ
暗殺者。ロビンフッドの異名の一つ。「ロビンフッド」は特定の個人名ではなく、様々な人物の伝承が一つになったもので、ここでの彼もまた数多く存在するロビンフッドの1人と思われる。
ロクスレイは主にリチャードも登場する小説「アイヴァンホー」に登場するロビンフッドである。
故に某緑茶とは恐らく別人なのだが、毒矢を使用してアサシンの襲撃からリチャードを守った事からイメージを重ねる読者も少なくない。
弓兵。家族の敵討ちとしてリチャードを狙撃、死の切っ掛けを作った人物。リチャード自身は彼の行為を正当なものと評し報奨金まで与え放免するも、死後に反故にされ全身の皮を剥がれ処刑される(その状態を引きずって座に入ったらしく、かなりキツい見た目となった模様)。
そのような事がありながらもリチャードは彼を同行者として選び、ピエールもまたそれに応じた事からリチャードのカリスマの高さが窺える。
ウィリアム
騎兵。明言はされていないが、リチャードを含む5代の王に仕えた重臣「ウィリアム・マーシャル」と思われる。魔力を消費すれば馬を出してくれる模様。武器は騎兵槍。
セイバー
剣士。無数の剣を背負った騎士。リチャードがギルガメッシュと対峙した際でも無関心だった。
宝具の特性上剣を消耗しやすいリチャードに剣を提供する。
キャスター
魔術師。宙に浮く水球を操る魔術を使い水球から光を出して光源とする、魔術でリチャードの身体能力を強化する等様々な支援を行う。
魔術を使用する際アルケイデスが水妖に似た気配を感じていたこと、狂信者が従者たちの中に人ならざる者の気配を感じていたことから人外の可能性が高い。
また従者の剣士が現界した際に水球が寄り添うように浮かんでいたことから、彼の関係者の可能性がある。
関連人物
正確にはマスターでは無いが、彼女から魔力を供給されている為、保護対象としている。
尊敬する偉大なる騎士王。祖国の英雄として何かに付けて讃える大ファンであり、生前は騎士王の遺産を求めて冒険したほど。
史実では王の聖剣を発見したと伝えられているが、Fate世界では伝説上で失われた筈の聖剣の鞘を探し出し、鞘と同じ装飾の箱を用意し収めたのち、王に所縁のあるコーンウォールの地へと埋葬した。
それこそが後年、アインツベルン家によって発掘され、第四次聖杯戦争で用いられた騎士王の触媒であり、いつか理想郷にたどり着く自分ではない誰かと王の縁を繋いだことを彼は知らない。
生前遭遇した奇妙な男。不可解で意味深な言動が多い道化師。
彼を知り詐欺師と宣う者たちとの話題に上がった際、「あいつは詐欺師じゃなくグランド奇天烈木っ端貴族だ」と称している。
本来は宮廷魔術師のような立ち位置であり、恐らくは騎士王にとっての花の魔術師に当たると思われる。
今回の召喚では同行者として呼びかけたものの返事がなかったとのこと(伝説では不老不死であり、様々な時代に現れて、各地の王侯貴族にも会ったことがあるという話にも関係があるのだろうか?)。
リチャードがなり得たであろう剪定事象について何か知っているようだが...?
シャルルマーニュ十二勇士の一人で、同じく円卓ファン。ただし生前の縁はなし。
生前の面識はないが、似た宝具を有するもの同士。(オリジナルに類する力を贋作で振るう)
かつてを振り返って自己嫌悪から陰キャになった彼に対して、リチャードは根っからの陽キャである。
幼い頃から何でもできてしまうがゆえの悩みを抱えていたリチャードを諭し、後の人格形成に大きく関わった。記憶を垣間見たアヤカ曰く美人だが、怒ると非常に怖くリチャードも頭が上がらなかった模様。
円卓の騎士を筆頭に数々の英雄譚をリチャードに読み聞かせ、彼を英雄ファンに育てた元凶ともいえる。
血を分けた兄弟だが、リチャードを奸計に掛け王座簒奪を企むなど仲は良好では無かった様子。
セイバー自身は自身の負の側面を彼の治世に押し付けてしまった形になった事を反省している。
6巻では無茶をするリチャードがアヤカからの静止を受けて回想する形で、「自分と違って貴方は英雄なのだから、兄の代わりに石を投げられる愚かな私を笑えばいい。」と兄の光に隠れる様を嘆く姿が描かれた。
警官のジョンの名を聞いた際にはその名に縁があるみたいだと口にしていた。
余談
誕生秘話
『Fateシリーズ』にはいわゆる「セイバー顔」のヒロインが多く登場し、本作作者・成田良悟もセイバーをこよなく愛する武内崇社長から「女性化してセイバー顔にしないか」と熱のこもった提案をされたが、相席していた奈須きのこ氏の「断るならきっちり断わるべきですよ」との助言を聞いて、さすがの成田氏も断ったという。そこまでにしておけよ武内。
「リチャード」とロック
まさかのロックスター適性を発揮したリチャードであるが、そのロックの世界にも多数の「リチャード」が存在している。ここでは『strange Fake』とも繋がりのありそうな人物を二人紹介しておく。
一人はリッチー・ブラックモア。ディープ・パープル脱退後に結成したレインボーの代表曲、その名も「Gates Of Babylon」(公式な邦題は「バビロンの城門」)の作曲者の一人でもある。
もう一人はリック・ウェイクマン。『ジョジョの奇妙な冒険』1期ED曲、イエス「Roundabout」でキーボードを担当した人物だが、自身名義ではアーサー王伝説をモチーフとしたアルバムを発表、その名もずばり「アーサー王と円卓の騎士たち」。