概要
中華民国(ちゅうかみんこく、正体字:中華民國)は、東アジアの民主共和制国家。現在は台湾島と周辺の島嶼群、南沙諸島の一部などを実効統治し、日本やフィリピン、中華人民共和国などと領海を接している。
台湾地域への主権を主張する中華人民共和国との関係上、中華民国を正式に国家として承認している国は少ないが、それ以外の多くの国とも事実上独立した地域として国交に準じた関係を結んでいる。
国家承認していない日本では、一般的に「台湾」と呼ばれている。
また、国際大会(オリンピックなど)に出場する際は「チャイニーズタイペイ」と称する場合もある。
地理
中華人民共和国のある大陸と台湾も含めてが領土だが実効支配しているのは台湾と少数の島々、特に金門島、馬祖島は大陸のすぐ隣にあり行政上は福建省に属している。実効支配をしている地域を中華民国政府は自由区としている。
環太平洋造山帯に位置し熱帯モンスーン気候なので地震と台風などの自然災害が多い。
台湾の中央部には山脈がある。
民族
人口の殆どが漢民族、その他の民族としては複数のグループからなる台湾原住民と海外からの移民であるインドネシア人とベトナム人で構成される。
漢民族は土着の台湾人、国共内戦で逃げ逃れてきた外省人と呼ばれるグループ、中国語のいち方言を話す客家からなる。また福建省に属する媽祖島、金門島ではその地域の方言が話されている。
民族によって日本の植民地時代の歴史認識や大陸との関係は違いがあり特に台湾本島から遠く僻地である福建省の島々は島の生活が大陸に依存していること、文化的な距離、歴史などから親中的な人々が多い。
歴史
中国大陸における北京政府時代、南京政府時代,台湾における国民政府独裁時代、総統民選時代で、中華民国の政体および統治地域は大きく変質している。
大陸統治時代
1912年1月1日:中華民国臨時政府が成立。孫文が臨時大総統職に就任。
1916年:袁世凱が中華帝国皇帝即位を宣言するが、内外の反対により断念。
間もなく、袁世凱の死去により、各地の軍閥による全面的な内乱状態になる。
対外的に中国を代表する中華民国政府はいわゆる北京政府として1928年まで存続。
1928年6月9日:蒋介石が中国国民党を支持基盤とする政府を樹立(南京政府)。
1937年7月7日:大日本帝国と南京政府との間で日中戦争が勃発。
国民政府は南京~武漢~重慶へ撤退。
1938年:大日本帝国政府の支援によって、汪兆銘を首班とする政府が南京に成立。
1943年:アメリカ合衆国とイギリスとの新条約を締結。これにより、約100年に及ぶ治外法権と租界が事実上解消。
中台両地域統治時代(国共内戦)
1945年9月2日:ポツダム宣言に調印。第二次世界大戦における中華民国の勝利と大日本帝国の敗北が決定し、汪兆銘政府が崩壊。
10月15日:GHQの一般命令第1号に基き、南京政府軍が台湾に進駐。
10月24日:南京政府が国際連合に「中国」代表として加盟し、安全保障理事会における常任理事国の地位を獲得。
蒋介石が毛沢東と会談(国共首脳会談)。
10月25日:台湾光復式典を開き台湾を正式に編入。
1946年:国共内戦が激化。南京政府が南京に復り、中華民国憲法を公布(翌年施行)。
1947年:モンゴルの独立を正式に承認(後に取り消し)。台湾で二・二八事件が発生。
1949年10月1日:ソ連政府からの間接支持を受けた共産党軍の反撃を受け、アメリカ政府の支援と援助を受けたにも拘らず、中華民国軍が敗退。南京政府が崩壊。
台湾国民政府時代
1949年12月7日:蒋介石、一旦崩壊した国民政府を台湾において再始動し、実効統治区域内で戒厳令を実施。
1950年1月:蒋介石、総統職に就任。台湾国民政府の活動が本格化。
1952年4月28日:サンフランシスコ平和条約と日華平和条約により、日本国は台湾の権利、権原及び請求権を保持しないことを宣言(但し、両条約とも台湾の帰属先を明言したものではない)。中華民国政府と日本国の国交が成立。
1958年:金門県で、中国人民解放軍との間に八二三砲戦が勃発。
1971年10月25日:国際連合総会にて、アルバニア提案の「国府追放、北京政府招請」案(アルバニア決議)が可決され、「中国」の代表権を喪失。同時に国際連合から脱退。
1972年:日本国と中華人民共和国の国交樹立により日華平和条約が失効。日本国との国交を断絶。
1975年4月5日:蒋介石総統死去。息子・蒋経国が跡を継ぎ総統となる。
1987年:台湾島で戒厳令を解除。その後、他の地域でも暫時解除。
台湾総統民選時代
1996年3月23日:国民の直接選挙による総統選出が実施され、現職の李登輝が当選。
2000年:総統に民主進歩党の陳水扁が選出され、中国国民党が初めて野党となる。
2002年:「台湾、澎湖、馬祖、金門」独立関税領域として、世界貿易機構に加盟。
2004年:陳水扁が総統職に民選で初めて再選される。
2005年:連戦国民党主席が中華人民共和国を訪問。胡錦濤共産党総書記と1945年以来60年ぶりの国共首脳会談を行なう。
2008年:総統選で中国国民党主席の馬英九が民進党の謝長廷を破って当選し、国民党が8年ぶりに政権を掌握。
2016年:総統選挙で民主進歩党の蔡英文が当選
2017年:戒厳令時代の真相究明や政治犯の名誉回復を求める法律が施行される
2018年:原住民の諸言語、客家語、ホーローと地位向上を定める法律が施行される
2019年:同性婚が合法化されアジア初となった。
領土問題
上記のように、中華民国は中国大陸(中華人民共和国の実効支配地域)、モンゴル、パミール、チベットなどを自国の領土であると主張している。中華人民共和国も、台湾及び福建省金門県、連江県の領有を主張している。日本の尖閣諸島についても、双方が自国の領土であると主張している(詳細は尖閣諸島を参照のこと)。
東沙諸島と南沙諸島については、中華人民共和国と実効支配を争い、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイと領有権を争っている。
中華民国国軍
かつては中華民国憲法第20条により徴兵制度が敷かれていた、2019年からは志願制へと移行したが4ヶ月の軍事訓練の義務は残っている。
良心的兵役拒否権が認められている。
徴兵制度廃止による削減分の予算の一部は兵器の充実に回す予定だが、野党などから国防費を急増させる中国との軍事格差がますます広がるとの懸念も出ている。
国軍である中華民國国民革命軍は、正規軍で約30万人、予備役で約165万人の兵力を擁しており、正規軍の内訳は陸軍20万人、海軍4万5000人、空軍4万5000人である。
なお、中華民国軍の最も重要な軍事基地は中国大陸沿岸の金門島であり、互いに大砲を撃ち合えるほどに距離が近い。
1949年以降の中華人民共和国との軍事的対立を背景として、中華民国の軍事施設には自国製のみならずフランス製やアメリカ製の兵器、軍用機、軍用船が装備されており、2005年度の国防関係予算は国家予算全体の約15%に相当する2,453億元(約7,400億円)となっているが、近年では国防関係予算の削減が行われており、政府は特別予算を組むなどして対応している。
1970年代の米中国交正常化以降は、最新鋭兵器の供与をアメリカが「中国の顔色をうかがって」渋っている状況が続いている。
例えば、アメリカ政府との協定「台湾関係法」や台湾海峡防衛を盾に政府に強くイージス艦導入を中華民国政府は前向きに検討してはいるものの実現には至っていない。
また、かつては米軍基地が台湾にもあったのだが、米中国交正常化の煽りをうけて撤退してしまい、台湾よりはるかに狭い沖縄が台湾防衛の裏支えを一方的に背負わされる結果となっている。
なのに誰も沖縄の米軍基地問題ではこのことに触れない。
また、アメリカは正式な国交が無いが、中華民国が軍事的脅威にさらされた場合は台湾関係法に基づき中華民国を助けることとなっており、事実上の同盟関係にある。実際に、1996年3月23日に行われた総統選挙の前後に、「独立派」と目される李登輝総統の再選を阻止しようとした中華人民共和国の人民解放軍が、台湾島近海に「実験」と称して弾道ミサイルを放ち軍事的恫喝を行なったことに対し、アメリカ軍は正規空母インディペンデンス (USS Independence, CV-62)とニミッツ(USS Nimitz, CVN-68) などを中心とした艦隊を派遣しこれに対抗した。
軍事情報機關
NSB:国家安全局(National Security Bureau)
MIB:軍事情報局(Military Intelligence Bureau)
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王貞治:国籍が大陸時代の中華民国。