ストライカーパックシステム
すとらいかーぱっくしすてむ
概要
C.E.においては原初の戦闘用MSであるジンの段階でマニピュレーターとハードポイントを用いた普遍的な換装システムが導入されていた。ヘリオポリスで開発された前期「GAT-X」シリーズ、とりわけその基本形となる100系列機種においてはフレームを共有し、外装や装備類、エクステリアを変更することで用途ごとに個別のMSを導入出来ただけでなく、後々の機体に前型機の技術をフィードバック、機体そのもののアップデートも容易な仕様となっていた。
その前期GAT-X中最後発の機体であった「ストライク」ではバックパックを外付け式とし、換装する事でマルチロールが可能なストライカーパックシステム(ストライカーウェポンシステムと記載されることもある)が導入された。
この措置は前期GAT-Xが部隊運用試験を前提としていたため、ストライクには状況に応じた装備変更で他機の戦闘レンジを相互補完する必要があったことと、同計画が後の制式機のトライアルを兼ねていたことから、ストライクには装備変更によって他機の性能を再現できる必要性があった事に起因する。その一方で、開発初期段階においてはストライカーパックそのもののコンペティションも行われ、P.M.P社が提出した万能型の統合兵装パック(IWSP)と、モルゲンレーテ社が提出した単機能型パック(エール、ソード、ランチャー)のうち後者が本採用となる。
P.M.P社案はパック単独での万能化を目指したものであったが、操縦性・整備性とエネルギー消費の問題を解決できず、モルゲンレーテ社案は刻一刻と変化する戦況に対応するサポートに負担が発生したものの、装備が限定されているゆえの軽量さや、前線で電力の再供給を行いやすい利点が存在したのだ。以後、万能型と単機能型のパックは姿を変えて幾度も開発されていく事となる。
本システムを運用する上でサポートするスカイグラスパーやコスモグラスパーと言った支援機も登場している。
元々は地球連合軍(大西洋連邦)によって開発された機構であるが、後に技術漏洩によってザフトでは「テスタメント」が開発され、ウィザードシステムやシルエットシステムへと発展。また、前期GAT-Xの技術をもとに開発されたオーブ軍におけるプロトタイプ・アストレイシリーズではアプローチの異なった換装機構が導入されたほか、アカツキはストライカーパックとの互換性を有している。
ストライカーパックの多くは型式番号が割り振られており、地球連合軍が開発した物(初期型にはモルゲンレーテ社も参加)は「AQM/E」で統一されている(例外はライトニングストライカー、アナザートライアルシリーズ、マルチストライカー)。他は連合軍以外で製造された物となる。
初期型ストライカーパック
ストライクに採用された初期型のストライカーシステムでは、バックパックはもとより肩部や腕部のハードポイントをも利用した編制をとっている。このタイプは105ダガーまで標準対応していた。しかし、それ以後の機体ではバックパックのみの接続に対応した機種が主流となりつつある(後続の機体でも肩アーマー等を装備する事は可能であるが、その場合はアダプター等が必要とされた)。
初期型パックも、新型機の開発と同時期に肩部の装備をストライカー側の搭載や他のオプション化にするアナザートライアルシリーズとして改良する計画も行われている。
AQM/E-X01 エールストライカー
巨大なスラスターと主翼が目を引く、ストライクがおそらく、最も使用したであろうストライカーパック。 また、ストライク以外の機体でも使用されたストライカーという意味でも最も使用されている。
そのコンセプトはメビウスやイージスで培われた可変式スラスターバインダーの技術が導入されており、大推力による直線的機動能力はMS本体の持つ姿勢制御能力と合わさり高い運動性をもたらす。
詳細は該当記事を参照
AQM/E-X02 ソードストライカー
アンカー付きの小型シールズとストライク本体の身長に匹敵する大剣を装備した、白兵戦用ストライカーパック。
ブリッツの装備構成をもとに、対艦戦闘能力やMS同士の白兵戦を想定を重視した構成をとる。
AQM/E-X03 ランチャーストライカー
バスターの流れをくむ砲撃戦用のストライカーパックで、重武装故に機動力は低下するが(重量はエールよりは軽いが、その重量を動かすだけの推力を持ち合わせていないために機動力が低い)、ストライカーパックの中でも屈指の大火力を誇る。
アナザートライアルシリーズ
ストライクEの開発と並行して製作された、初期型ストライカーパックの仕様変更品。何れも肩部に有していた装備を腕部やバックパックに集約する方式をとっている。
「アナザーストライカー」とも呼ばれる。
ストライクEと並行で開発
詳細はストライクEを参照。
アナザートライアルソードストライカー
両腕にマイダスメッサーを移植したパンツァーアイゼンを装備したもの。
アナザートライアルランチャーストライカー
コンボウェポンポッドを背部ランチャーストライカー基部に移植、肩部ブースタへの干渉を避けた。
ライゴウガンダムと並行されて開発
詳細はライゴウガンダムを参照。
スペキュラムストライカー
高機動戦闘用ストライカーパック。エールストライカーの発展系にあたるもの。
キャリバーンストライカー
格闘戦用ストライカーパック。こちらはソードストライカーの発展系にあたる。
サムブリットストライカー
砲撃、後方支援用ストライカーパック。ランチャーストライカーの発展系にあたる。
統合兵装ストライカーパック
AQM/E-M1(P202QX) I.W.S.P.
統合兵装ストライカーパック(Integrated Weapons Striker Pack)。ストライク初期開発時に作られた万能型パックで、エール・ソード・ランチャーのコンセプトを一纏めにしている。重量の増加による機体バランスの悪化、火器管制の複雑化、消費電力、コストなどの問題をクリアできず、お蔵入りとなった幻のストライカーパック。その後、オーブ連合首長国に流出したが、複雑な火器管制から実戦投入が見送られている。
C.E.73年(DESTINYの時代)には連合軍側で諸々の問題がクリア、少数が生産された。だが、装備の充実に反比例してそのバランスの悪さから実戦での評価は芳しくなかった。一方で万能型のパックというコンセプトそのものは利便性もあるため、オオトリやノワールストライカーといった改良型が個別に開発されている。
武装は115mmレールガン、単装砲、試製9.1m対艦刀、さらにはコンバインシールドにガトリング砲とビームブーメランを搭載した、贅沢な仕様になっている。
だが、先に言った通り重心が大きなバックパックと左腕に装備したコンバインシールドの影響で左後ろに偏るため非常に扱いづらい。
AQM/E-YM-1 マルチプルアサルトストライカー
エール、ソード、ランチャーの3つのストライカーパックの機能の同時運用を取った統合兵装型ストライカーパック。
エールユニットの後部には電力不足を補うための白いバッテリーが増設されている。
詳細はパーフェクトストライクガンダムを参照。
AQM/E-X09S ノワールストライカー
本機を象徴する黒い翼のストライカーパック。
AQM/E-M1 I.W.S.P.から発展した装備であり、元に比べてコンパクトな作りとなっている。
詳細はストライクノワールを参照。
EW454F オオトリ
製造開発はモルゲンレーテ社が担当。PMP社から開発を引き継いだP202QX I.W.S.P.をベースとして、ストライカー本体はシンプルなX字可変翼による素体構造に改変し、ストライカーパックの各種装備を積載可能な分散構造をとった。
詳細はストライクルージュを参照。
その他の地球連合軍製ストライカーパック
P204QX ライトニングストライカー
I.W.S.P.と同様に要求されたスペックを満たせずにお蔵入りとなった幻のストライカーパック。武装は70-31式電磁加農砲(レールガン)のみだが、大型のパワーパックを搭載しており、他のストライカーパックよりも長期間の作戦行動が可能であることに加え、友軍機にエネルギーを供給することも出来る。
詳細はライトニングストライクガンダムを参照。
AQM/E-M11 ドッペルホルン連装無反動砲
2門の大型の実弾砲塔を備えた対艦攻撃用のストライカーパック。ランチャーストライカーとは異なりマニピュレーターを用いない装備であるが、地上では増加した重量と大幅に傾く重心を維持するのが難しい。一応だが南アメリカ独立戦争では地上で使用されている。
AQM/E-A4E1 ジェットストライカー
大気圏内用の高機動空戦型のストライカーパックであり、大気圏内での高い飛行能力をMSに与える。
エールストライカーとは異なり、装着する事で戦闘機の様に自在の飛行が可能。
マルチランチャー
大型のミサイルケース2基を搭載したシンプルなストライカーパック。
ケース内には様々な弾種のミサイルを装填する事ができる。
アニメ本編では連合が核攻撃を行った際の、核ミサイル搭載型のみが確認されている。
機動力が大幅に低下するらしく、劇中では完全な宇宙用の兵装として描かれていた。
ゲーム作品や各メディアによっては「マルチストライカー」とも記載される。
AQM/E-X05 ディバインストライカー
テスタメントが装備するストライカーパック。鹵獲された後に地球連合軍で追加装備されたもの。
通常は高機動スラスターやフライト・ユニットとして機能するが、巨大な隠し腕に変形する機能を持っており、敵機の一部や武器を掴むなど格闘戦に威力を発揮する。
詳細はテスタメントガンダムを参照。
ドッキングが可能な装備・機体
フライトユニット
アストレイレッドフレーム用の飛行装備(基礎はM1アストレイのバックパック)にストライカーシステム用のプラグを増設した改良型。詳細は不明。
その他の換装システム
プロトアストレイ
前期GAT-Xの技術を取り入れて開発されたプロトアストレイ(MBF-P01~05)においてもバックパック換装システムが導入されている。ストライカーとは接続規格が異なるもので、最大の相違点はバックパックのスライド機構によって他のパックを装着している際であっても元の基本型パック(ビームサーベルとスラスターからなる)を携行できる点にある。ただし、後続の換装・改造機ではパーツ干渉の問題からこの基本パックを取り外すケースもみられた。
プロトアストレイと背面構造を共有するシビリアンアストレイにも同様の機構が引き継がれている。
ジャスティス
ジャスティスには装備換装機構が採用されたものの、ファトゥム-00とミーティアを除いて追加装備が製作されることは無かった。また、ミーティアは他のファーストステージシリーズと共用するオプション装備となった。
ドレッドノート
ドレッドノートのバックパックは円筒形のスラスターユニットに装備を挿入できる方式をとっているものの、ザフトで設計された純正品はドラグーンシステム対応型のχユニットのみとなる。後に同規格の対応装備として、ジャンク屋の独自製造品であるΗユニットも製作された。
ウィザードシステム
テスタメントによって検証されたストライカーパックの技術を踏襲した、ザフトにおける換装システム。C.E.73年の主力機であるザクシリーズや一部機体(バクゥハウンド、ドムトルーパー等)に導入されたもので、その構成は装備変更において多様な戦況に対応したストライクのものに類似する。
シルエットシステム
ウィザードシステム同様にザフトで検証されたストライカーパックの流れをくむが、こちらの直系の前駆はファーストステージシリーズの追加装備であったミーティアとなる。ユニウス条約の締結によって技術に制約が発生した事から、高機動・格闘戦・砲撃能力の特化機能を分割することでこれを補完する形となった。後にはそれらを統合したパックも作られている。
グフシリーズ
ザクウォーリアの競合機であったグフシリーズ(グフイグナイテッド)にも手足を換装する機構が導入されている。バックパック一元化のウィザードよりもきめ細かに対応できるウリがあったものの、パーツ点数増加に伴うコスト高から、現状では閉所戦闘用のクラッシャー以外の交換装備が確認されていない。