バハト
ばはと
概要
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』の登場人物。
仮面ライダーファルシオンに変身する不死身の剣士。劇場では封印されていた影響で、右頬に不死鳥の羽が硬化した傷跡に加えて右目だけが灰色がかったオッドアイという不気味な相貌だったが、本編で登場した際は完全な復活を遂げたことで傷跡が消え目の色も本来のものに戻っている。
タッセルによると非常に危険な存在故に封印されていたらしいが、何故か復活したらしい。
変身の際には抜刀と共に無音となった後、刀身を掴むように持ち替えて高笑いを上げる、狂気を感じさせるものとなっている。
人物像
一人称は映画短編では「私」、TV本編では「俺」。
世界を滅ぼす理由については「争いがなくならないから」と繰り返しており、阻止しようと叫ぶ剣士達に対し、争いを無くして見せると言いながら、今こうして自分と争っているというヒーローにとって痛い正論を叩きつけている。
守るための争いすら苦言を呈する、過剰なまでの争いの否定派らしい言動で争いがなくならないなら世界を滅ぼしてしまえばいいという過激かつ暴走した平和主義を掲げている。
また、彼にとって聖剣を扱う剣士は誰であろうと例外なく滅ぼすべき敵であり、TVシリーズ本編で登場した際に対峙した新堂倫太郎(仮面ライダーブレイズ)のみならず、本来なら(形式上とはいえ)味方であるはずの神代凌牙(仮面ライダーデュランダル)にも躊躇なく襲いかかっている。
その暴走ぶりは側から見れば狂戦士そのものでしかなく、普段から冷徹な態度を取る凌牙ですら襲われた直後に「猟犬どころか狂犬」と戦慄するかのように吐き捨てている。
初登場の劇場短編では短い時間で力づくで封印されてしまったため、復活した経緯や正体等はこの時は謎のままだった。
封印前に「また逢う日も遠くない」と言い残しており、尚も主張を曲げない意志を見せていた。
なおTV本編の第33章の終盤で彼の復活にはとある人物が関わっている事が示唆されており、次回予告ではある人物と顔見知りである事が発覚している。
素性
元々はユーリと同じ「聖剣の騎士団」の一員で、ともに世界を守ることを誓い合っていた。しかし、力に魅入られた仲間の裏切りで家族を殺されたことで豹変。
人間そのものを憎んだ末に無銘剣虚無と破滅の本を手にし、その力で世界そのものを消滅させんとしたが、当時既に聖剣を手にしていたユーリに敗れ、破滅の本に封印されることになった。公式サイトでは『「光剛剣最光」と「闇黒剣月闇」によって封印された』と記載されている。
この経験から「人は裏切るもの」だという諦観と絶望に取りつかれており、争いを否定する平和主義はこれが高じたもの。
本編での活躍
- 第34章「目を覚ます、不死の剣士。」
マスターロゴスによって「猟犬」として破滅の本から解放され、その物腰から「今までのマスターとは違うようだな」と興味を示している。
その後、マスターロゴスとの戦いの状況を再現するべく決闘を行っていたセイバーと最光のもとに出現、ファルシオンに変身して襲い掛かった。
「聖剣の能力を無効化する」無銘剣虚無の力で有利に立つが、火炎剣烈火の力を引き出した飛羽真を見て「貴様が選ばれた者だったのか……」と変身を解除、いったんその場を去る。
その後、今度はブレイズとデュランダルが戦っているところに乱入、両方に襲い掛かった。
不利を悟ったデュランダルが時間抹消で逃走したためにブレイズとの一騎打ちに。タテガミ氷獣戦記によって倒されるもエターナルフェニックスの能力で瞬時に復活、背後からの不意打ちによる一撃で変身解除に追い込んだ。
飛羽真に対してもユーリ同様何かを知っているらしく、「いずれ大きな力を手にし、飲み込まれる」と警告していた。
そこに現れた賢人がカリバーに変身して乱入、さらに飛羽真がユーリに加勢したことで乱戦となる。
その後、セイバーを吹き飛ばして必殺黙読で止めを刺さんとするが、割り込んできたカリバーに妨害され、2対1に突入。
聖剣3つの鍔迫り合いで押し切られるも、世界の狭間から帰還したルナを見て「とうとう現れたようだな……!」と楽しげに呟いて撤退した。
- 第35章「そして私は、神になる。」
マスターロゴスが全知全能の書の力を手にいれるための儀式の場に乱入し、剣斬を敗るも、エモーショナルドラゴンに敗れる。その後、自身の不死の根源であるエターナルフェニックスワンダーライドブックがマスターロゴスの手に渡り、狂ったように笑いながら消滅するというあっけない末路であった(しかしながら、本当に死んでしまったかどうかについては定かではない)。
マスターロゴスからすればバハトは自分が手を下さずとも剣士を倒してくれる駒であり、用が済めばただでさえ厄介な能力を持つ彼を飛羽真を倒させて儀式に必要な無銘剣虚無とエターナルフェニックスワンダーライドブックと手に入れる為の算段だったようである。
- 第36章「開かれる、全知全能の力。」
ライドブックと聖剣が戻ったためかユーリと同様に復活しており、無銘剣虚無を手にしながら「世界を破滅へ導く…か…」と言っていた。
- 第37章「未来を変えるのは、誰だ。」
マスターロゴスに計画の一端を聞かされ、恐怖の余り、争い合うのが人間の本質だと評しつつも、その割に世界が静かな事に疑問を感じていた。
埠頭で黄昏ていた所、ユーリが仲介役として連れてきた須藤芽依からバハトの生きていた戦乱の世とは異なり、人と人は繋がりやすくなった時代になった事を伝えられ、友達がいないのなら友達になってあげるとまで言われた。現代の良さアピールにはあまりの興味なさに欠伸まで漏らした始末だが、何かを感じたのか笑みを浮かべながら去っていった。
- 第38章「聖剣を束ねる、銀河の剣。」
「争いを巻き起こす」という自分とは真逆の思想を持つとはいえ、結果として世界を破滅に導いてくれるマスターロゴスの計画を阻止しようとする剣士たちの前に現れた。
1000年間を死ねない身体で過ごした事で人間の可能性を信じる事ができなくなっているほど絶望していた彼だが、遅れて到着した飛羽真からは自ら諦める事を選択しておいて周囲の人間の所為にして来た自分の無責任さ、剣士としては申し分ない強さがありながら自分を変えようとしない心の弱さを指摘される(※)。
飛羽真「全てを、自分以外の…人の力のせいにするな!」
「俺の1000年を、お前如きの思いに覆されてたまるか!!」
ソロモンに敗れても尚、信念の為に立ち上がり、仲間を信じようとする剣士たちの姿を見て激昂するが、飛羽真の振るう思いが込められた火炎剣烈火の一撃を喰らい、初めて大きなダメージを負う。
「ずっと、傷つかなかったこの身体が…!!? うぉぉぉぉぉっ!! これが人の思い…人の力…!」
不死身の肉体が傷つくほどの一撃で人の思いの力を思い知り、ふと以前に遭遇した芽依の姿を見て大きく高笑いするバハト。
「お前がこの先の未来に何をもたらすのか…俺が見届けてやる…」
飛羽真にそう呟きながら、聖剣を残して消滅した。
(※)その一方で、大切なものを失い、寿命のある人間では到底知りようのない絶望を経験して来た境遇そのものは飛羽真は理解しており、飛羽真からも剣を通して思いが伝わってきたと語るほど。一方で、ただ暇潰しに世界を滅ぼし楽しみたいだけのソロモンの振るう剣はそんな彼の1000年間の思いを下回るあまりにも薄っぺらく軽い剣に感じたようだ。
なお彼は知ることが無かったが、後に全知全能の書が人の生み出した全ての物を創造、記録したという点から考える(兵器や物で人間の争いが生まれたり拡大した現実的な背景から)と、皮肉にも「争いがなくならないから世界を滅ぼす(人が争うのはこの世界があるから)」というのは世界の真相の根幹に片足を入れていたとは言える。
- 最終章「終わる世界、生まれる物語。」
本編最終回にて、新しいワンダーワールドにいることが明かされた。飛羽真との戦いで思うところがあったのか、今までと違いすっきりとした表情を見せている。
ルナやタッセル、初代マスターロゴス達と共に現れ1年間ワンダーワールドに留まり物語を描き終えた飛羽真に「お前が居るべき場所は…ここじゃないだろ?」と現実世界への帰還を促した。
余談
演者の谷口氏は、『仮面ライダーアマゾンズ』の鷹山仁/仮面ライダーアマゾンアルファ役から4年ぶりの仮面ライダーシリーズ出演となる。
また谷口氏は『救急戦隊ゴーゴーファイブ』の巽流水/ゴーブルー役でも知られるが、同じ名前を持つ聖剣(「流水」の読みまでも一緒)が登場する本作に出演することになったのは何の因果だろうか(ちなみにゴーゴーファイブに登場した死神戦士サイマ獣タナトスを演じたのは本作のナレーションを務める大塚明夫氏である。)。
舞台挨拶では谷口氏が過去に演じた鷹山仁に言及し、役名をアマゾンアルファ役と間違える、映画とはいえニチアサのライダーに出られる興奮を語る、衣装について「また上半身裸、東映は僕に服を着せる気が無い」とクレームを入れるなど、鷹山/バハトどちらの役柄とも程遠いコミカルな受け答えをしている。
関連タグ
劇場版限定ライダー:映画登場時はそうだったのだが、後に本編に登場したため「劇場版限定」ではなくなっている。
デザスト:もう一人のファルシオン変身者。
仮面ライダーセイバー(楽曲):第38章の展開はまさしくこの楽曲の歌詞にマッチしたものとなっている。
イーリス・ゼッペリン:似たようなセリフを言った悪役繫がり、封印されるという末路も同じ。
不死鳥の騎士団、ラインハルト・ヴァン・アストレア:「不死鳥」と「騎士団」が共通する。
ホウオウアマゾン:同日にTwitterにてトレンド入りしてたがあくまで無関係。(中の人までも反応している)
エス←バハト→???