「判断が遅い」
「妹が人を喰った時やることは二つ 妹を殺す お前は腹を切って死ぬ
「鬼になった妹を連れて行くというのはそういうことだ」
CV:大塚芳忠
演:高木トモユキ
概要
常に天狗の仮面をかぶった老人で、主人公・竈門炭治郎や現水柱・冨岡義勇の師匠。
鬼殺隊の隊員の育成を担う『育手(そだて)』の一人であり、かつて鬼殺隊士として活動していた頃は、自身も当時の「水柱」に位列された程の熟練剣士である。
年齢は不詳だが、47年前に鬼を退治している為に還暦を超えていると考えられる。
人物
天狗の面をいつ何時も外す事は無く、現役時代から同じ面を身に付けていた。
その理由は「顔立ちが優しすぎる為に鬼にバカにされたから」との事。
現役時代には柱の一角を務めていただけあって実力は確かで、剣を持った炭治郎に対して彼は丸腰という圧倒的に不利な条件でも難なく勝てる程。高い実力の片鱗がうかがえる。
また炭治郎と同じように嗅覚が優れており、匂いから相手の感情などを理解する事ができるという特技も持つ。
厳しい物言いが目立つが、その本心は相手を思うからこそ。
その為に炭治郎や義勇は元より、その兄弟弟子の錆兎や真菰らも未だに鱗滝の事を強く慕っており、彼が住む狭霧(さぎり)山は炭治郎ら弟子達にとっては第二の故郷となる。
炭治郎への指導
冨岡義勇からの推薦文により炭治郎の元に向かうが、思いやりがあまりにも強く、鬼にさえも同情心を持つ炭治郎の優しい匂いを嗅ぎ取り、トドメを刺す事ができない彼が鬼殺隊に入隊するのは無理だと判断していた(この時退治した鬼は朝日を浴びて消滅)。
また、「もし鬼となった妹が食人行動をした際にはどうするか」と尋ねるが、動揺して即座に答える事ができなかった炭治郎の頬を張り、覚悟の甘さと判断の遅さを叱りつけた。
修行は厳しく炭治郎が死を覚える程のものであり、上達具合によって罠の難易度が上昇していく。また、剣士として命とも言える刀の大切さを説き、「刀を折った場合はお前の骨を折る」と低めに脅した場面も。
修行開始から一年後、自分の教えを昇華できているか確かめる為に、最終選別に行く事を許可する最終課題として、背丈よりも高い岩を斬る事を命じ、以後の指導を一切止めている。
ちなみにこの条件を指定したのには深い理由がある。
過去の最終選別において、炭治郎よりも前に弟子としていた錆兎や真菰を含む、13人の弟子が誰一人と帰って来なかったのだ。その為に、実は炭治郎を最終選別に行かせるつもりは最初から無く、もう"子供"が死ぬのを見たくないと炭治郎に無理難題を突き付ける事で、最終選別を諦めさせようとした(前述の炭治郎の思いやりの深さ故に、炭治郎に鬼殺隊士は無理だと判断していたのもある)。
もちろん彼を信じていない訳ではなかったが、過去の体験ゆえの「お前まで死なないでくれ」という意味も込められていたのであった。
最終課題の提示から1年を越えた頃、炭治郎が岩を斬る事に成功したので、当初の約束通り最終選別を許可して見送り、満身創痍ながら生還した際は面の下から涙を流し、禰豆子ごと炭治郎を抱きしめた。
その後は、炭治郎に家族の敵である鬼舞辻無惨の名を教え、炭治郎が危機的な状況に陥った際は度々回想に登場し助言する。
その際には、何故かひょっとこの面を付けた刀鍛冶・鋼鐵塚と共に登場する事が多い。
補足
最終戦別で鱗滝に強い恨みを抱いていた鬼に遭遇した炭治郎は、これまでの兄(姉)弟子たちが報復の標的として優先的に狙われていたのだと知らされる。
藤襲(ふじかさね)山には、鬼殺の剣士が生け捕りにした鬼が複数閉じ込められ、件の鬼も鱗滝が対峙した47年前の回想時とは外見がまるで異なっており、また情報網の未発達な時代背景や後述の「厄除の面」から鑑みても、鱗滝自身はこの事実を知らずにいるようである。
禰豆子への暗示
禰豆子が人を襲わないようにする為に、あくまで気休めと前置きをした上で禰豆子が眠っている間に暗示をかけている。内容は「人間は皆家族であり、家族を守り、家族を傷つける鬼を許すな」といったものである。
この為に、禰豆子は人間を家族の誰かとして見ており、彼等を守る為に戦うようになっており、同時にこれは禰豆子が人を襲わない事を証明する保険の一つでもあった(炭治郎自身は当初、禰豆子の自由意思を阻害している事を危惧して、その必要性を理解しながらも内心では嫌がっていた)。
しかし、後に本人の意思もちゃんと反映されている事が判明し、実際に鬼である珠世や愈史郎も家族として判断して守っている。
産屋敷耀哉への書簡
柱合会議前に読み上げられた耀哉宛ての書簡。
これがいつ届けられたかは不明だが、時系列的に見ると炭治郎が初の任務に赴いた頃に送られた物と推察される。禰豆子の事が鬼殺隊内部で問題視された時の事を見越して先手を打ち、産屋敷耀哉に竈門兄妹の詳細を知らせていたのだろう。
実際、耀哉は那田蜘蛛山の一件まで義勇以外の柱が殆ど知らなかった彼らの事を把握しており(しかも、義勇でさえ二人が共に行動してるとは思ってなかった模様)、耀哉の方でトップシークレット扱いにしていた様である。
厄除の面
鱗滝が作った狐の面、天狗の面と同じ彫り方である。
所有者となる人物の特徴を捉えた模様が刻まれている(炭治郎は額の傷、錆兎の口元の傷など)。
最終選別へと赴く弟子達にお守りとして与えていたがそれが仇となり、自身に恨みを持つ「手鬼」にとっては格好の目印であった。
炭治郎によって討たれるまで13人もの弟子が恨みをぶつける対象として惨殺されてきた。
ただし、炭治郎が戦った際は相手の攻撃を受けて失神した際に面が割れ、身代わりになったような描写もある。
日輪刀
詳細はこちらを参照。
“育手”は、弟子を最終選別に送り出す際、自身の日輪刀を貸し与える。
鱗滝の刃の色は流麗な水色。“水の呼吸”を極めた剣士に相応しい輝きを放つ。
背負い箱
鬼となった禰豆子を日光から護りながら運び、炭治郎が禰豆子とともに行動する為に、箱を製作している。頑丈だが非常に軽い霧雲杉(きりくもすぎ)という木で作られており、さらに「岩漆」を塗って強度が上がっている。
※霧雲杉・岩漆とも本作オリジナルで、実在しないアイテム
炭治郎が危機に瀕した際、禰豆子は自らの意思で箱を開け(彼に身の危険が迫っている際は、即座に飛び出す為に蹴り開け)助ける事ができる。
彼の弟子達
上述の通り、鱗滝の弟子達は最終選別で手鬼の犠牲になっている。
手鬼がこれまで食べた鱗滝の弟子たちを指で数えた時、「4」、「1」、「5」、「2」、「1」とそれぞれの指で表していた事から、過去五回弟子たちを最終選別に送り出し、複数人で選別に臨んだ時もあったと推察できる。
彼の生存している弟子は、錆兎と同期で手鬼と遭遇しなかった現水柱・冨岡義勇と、彼を介して弟子入りして最終的に手鬼を倒した竈門炭治郎の2名のみ。
炭治郎は狭霧山で会った真菰の言動から彼らの鱗滝への強い思いを察し、手鬼を倒した後に13人全員の魂が敬愛する鱗滝の元へ帰ると確信している。
鬼滅の刃公式スピンオフ「きめつのあいま!」において錆兎、真菰らの師匠大好きぶりが強調されている他、二人を含んだ亡くなった13人の兄弟子、姉弟子たちが手鬼と戦う弟弟子・炭治郎の奮闘ぶりを彼の家族と共にライブビューイングで応援していることからも鱗滝の弟子たちの結束力の強さが窺える。
キメツ学園
3巻にて設定が明かされた。
校務員を務めている。厳めしい天狗面はそのままである。
余談
上弦の参の鬼が、50年前に当時の水柱を殺したと発言している。
水の呼吸は多くの鬼殺隊員が使う流派である為に、この殺された50年前の水柱が鱗滝を継子としていた柱なのか、または同じ育手の下で研鑽した兄弟子ないし姉弟子、同期なのか、はたまた赤の他人なのかは不明である。しかし、鱗滝と何らかの繋がりがある人物だった可能性は高い。
また元鳴柱・桑島慈悟郎とは、彼の現役時代の年齢的に、同時期に同僚として活動していた可能性が高い。
元柱の育手として、お館様からそれなりの給料は貰っているのだが、普段は使わずに貯金しており、日々の生活は自給自足している。貯金している金は弟子の修業の為の罠の設置を友人の猟師に頼んだ時などに、手間賃として使っているらしい。
未だに独身なのだが、現在良い関係の女性はいるとの事。ただし、なかなか関係は進展しない模様。
2020年の映画「無限列車編」の大ヒットと共に本作の知名度が爆発的に上がり、それに併せてネット各所で鱗滝の「判断が遅い」のセリフとその場面のコラ画像が流行したため「ビンタ天狗」なるアダ名で呼ばれることも。
関連イラスト
関連動画
関連タグ
弟子
一緒に回想される事が多い人物
同じく元柱の育手
他作品の類似キャラクター
オビ=ワン・ケノービ…「主人公の師匠の老人」、「かつて組織の最高位の剣士だった」、「防御重視の剣術の使い手」、「刀身が青い剣」、「催眠暗示が得意」などの共通点がある。
自来也(NARUTO)…「主人公の師匠」、「同じくジャンプ掲載の漫画」、「中の人つながり」などの共通点がある。
ハクロウ…「剣術の指南役にして鬼教官」、「中の人が同じ」、「水を冠する剣術の使い手」であるなどこちらも共通点が多い。ちなみに彼は本物の鬼である。
『無限城決戦編』にて(以下、ネタバレ注意)
元炎柱・煉獄槇寿郎、元音柱・宇髄天元らと共に、父親の死に伴い新たな当主となった産屋敷輝利哉のいる拠点防衛を担当する。
特に戦いの鍵となる太陽を克服した鬼であり、珠世と胡蝶しのぶの開発した人間に戻る薬を投与され寝込んでしまった禰豆子の護衛も担当している。
その最中、この長い戦いが終わる瞬間に自分が生きて立ち合う事になるとは思ってもいなかった為に、さしもの彼と言えど緊張を抑えきれない様子が描かれていた。更に炭治郎と禰豆子の事を、停滞していた状況をここまで一気に動かした小さな歯車だと考えていた事も明らかになっている。
薬の投与後に目が覚めた禰豆子が炭治郎の危機を察し拠点から飛び出して行った時は、追い付けずそのまま見失ってしまう。
無惨が死に全てが終わった後は人間へと戻れた炭治郎と禰豆子と再会。その際に禰豆子に抱き付かれて戸惑う様子が見られた。
最終回では彼の生まれ変わりと思しき人物が、元鳴柱・桑島慈悟郎に酷似した人物と将棋を指している場面が見られる。
流石に天狗の面は着けていなかったが、こちら側を向いていない状態で描かれていた為に、結局素顔は判明しないままだった。