解説
東京都交通局が運営する地下鉄。正式には「『東京都地下高速電車』の東京都運行路線(※1)」であり、この名称の中にある「高速」とは、都電と比較して速いという意味である。
同じく東京を走る地下鉄東京メトロ(東京都も出資している)とは別組織で、両方の路線を乗り継いだ際は割引はあるものの、別運賃で合算されるため距離に比して割高となる。ただし、それでも他の日本の都市の地下鉄よりも距離あたりは低廉。
注釈について
※1:勘違いされがちだが、この名称は東京メトロ・東京都交通局問わず東京の(法制度上の)地下鉄は全てこれに当てはまる。
他に特に特記すべき記事がないためここに書いてしまうと、この計画は東京都と国が共同で実施しているもので1号線浅草線から13号線副都心線まで営団→東京メトロと都営地下鉄の両方の通し番号が振られている。4本しかないはずの都営地下鉄で大江戸線の計画番号時代の呼称が「12号線」だったのはその名残。同様に南北線は「9号線」、副都心線が「13号線」である。
ちなみにこの『東京都地下高速電車』計画が始まる前に免許を受けている銀座線と丸ノ内線は整備計画としてナンバリングに入っているが、本来最も旧いはずの銀座線は「3号線」となっている。
統合問題
上記にある通り、両社の経営統合は帝都高速度交通営団時代からの昔からの懸案だが、下記の通り意見の食い違いであまり進んでいない。
東京メトロ側の言い分
- 車両と軌道の規格の組み合わせが全線違う上に三田線以外は現在の(銀座線と丸ノ内線を除く)東京メトロ線と異なるのが困る。
- 大江戸線にまだ償却しなければならない借金が残っており、名目上の単年度収益が赤字。
- そもそも営団時代にしゃしゃり出てきて浅草線の免許かっさらっていったのはお前らの方だろ。
東京都交通局側の言い分
- 路線運賃系統の一体化により乗客の利便性が向上する。
- 大江戸線の償却分は2030年までには確実になくなる。
- だから高い額で引き取ってね
ユーザーの言い分
- 都営メトロ乗り換えで初乗りを取られて高い。金返せ。
- 営団からメトロになってサービス悪くなったし遅延も多くなった。都交を見習え。
その他
ぶっちゃけた話大江戸線の赤字は返せる見込みのある減価償却費(建設費の借金)なので経営としては不健全な状態ではない。むしろ、都交は不採算のバス路線をも抱えていることを考えると安易に地下鉄を手放すのは果たして得策だろうか、という話もある。
路線
(※は鉄道要覧における東京都の都市計画上の地下鉄路線番号で東京メトロと共通)
記号 | 路線名 | 区間 | 営業キロ | 相互直通運転 | ※ |
---|---|---|---|---|---|
A | 浅草線 | 西馬込(東京都大田区)~押上(東京都墨田区) | 18.3km | 京急本線・空港線・久里浜線・逗子線・京成本線・押上線・北総鉄道・芝山鉄道 | 1 |
I | 三田線 | 目黒(東京都品川区)~西高島平(東京都板橋区) | 26.5km | 東急目黒線 | 6 |
S | 新宿線 | 新宿(東京都新宿区)~本八幡(千葉県市川市) | 23.5km | 京王新線・京王線・京王相模原線 | 10 |
E | 大江戸線 | 都庁前(東京都新宿区)~光が丘(東京都練馬区) | 40.7km | なし | 12 |
電化方式はすべて架空線・直流1,500V。かつ車輪式リニア・ミニ地下鉄である大江戸線以外の3線は、基本的に剛体架線ではなく、地上線と同じカテナリ式架線を用いているという特徴がある。これは最初に開業した浅草線時代まだ剛体架線の実績がなかったこと(営団の日比谷線が最初)や、その後の開業区間に於いても、都営地下鉄では長期間におよぶカテナリ式架線の運用実績が出来ているため、剛体架線を使う必然性が薄かったためと推測される。
三田線については後年になって剛体架線区間が書類上出現したが、これはメトロの南北線を共用している第2種事業免許区間であり、東京都交通局が自前で保守をする部分ではない。
運賃
区間 | キロ数 | 運賃 |
---|---|---|
1区 | 1km - 4km | 180円 |
2区 | 5km - 9km | 220円 |
3区 | 10km - 15km | 270円 |
4区 | 16km - 21km | 320円 |
5区 | 22km - 27km | 370円 |
6区 | 28km - 46km | 430円 |
こぼれ話
- 都営地下鉄は全路線ともシステムが別々で、互換性がない(電化方式は同じだが、軌間が三田線は1,067mm、新宿線は1,372mm、浅草線と大江戸線は1,435mmだが大江戸線は車両限界が小さくリニアモーター式)。そのため原則として路線間で車両を融通することが出来ない。新宿線は都営地下鉄としては標準軌にしたかったが、乗り入れ先である京王線に改軌を求めるには、時期が遅すぎた。1970年代のラッシュはそのような作業が不可能になっていた。
- 現在の路線マークは東京メトロと同じく「ラインカラーの輪」だが、かつては「ラインカラーの正方形の中に白い円」であった。その後も駅のサインプレートなどでは長い間その表記が残っていた場所もあったが、東京オリンピックに向けて外国人観光客の案内のため路線記号を導入してからは急速に交換が進んでいる。
- 東京都交通局のマークもかつては丸で囲んだ東京都章を用いていたが、東京都が公式にイチョウ葉型のシンボルマークを使うことが増えてからはイチョウ葉マークへ変更している(東京都章はその後も廃止されていないが、東京都交通局のマークは正式に変更されている)。
- 新宿線の車両が運行キロの辻褄合わせ(車両使用料相殺)のために、京王相模原線や京王競馬場線を往復する場合がある。この場合、『都営相模原線』やら『都営競馬場線』と揶揄される場合がある。
- ごくわずかだが、新宿線の車両が多摩動物公園や高尾山口まで乗り入れる。
- 浅草線を除いて全線乗り通しは1日乗車券の方が安い。特に新宿線を本八幡から利用する場合に有効。消費税が8%になっても据置なのでかえって安い始末。
- 1日乗車券は局扱いのものは4種類あり、都営地下鉄のみ利用可能なもの、都営地下鉄と東京メトロで利用可能なもの、東京都交通局運営の交通機関全て(江東区コミュニティバスを除く)で利用可能なもの、東京都交通局の交通機関全てと東京メトロ全線、さらにJR線の都区内区間全てで利用できるものがある。ただし都営地下鉄内専用のものは期間限定不定期発売である。
- 特に都営まるごときっぷは700円で都営地下鉄の他に都電、都バス、日暮里舎人ライナーに乗れるので前述での地下鉄の運賃表を見る限りで5区以上の区間を往復する場合や5区未満でも都電や都バスを乗り継いで往復するだけでも元が取れるので実用性は高いともいえる。
- 1日乗車券は局扱いのものは4種類あり、都営地下鉄のみ利用可能なもの、都営地下鉄と東京メトロで利用可能なもの、東京都交通局運営の交通機関全て(江東区コミュニティバスを除く)で利用可能なもの、東京都交通局の交通機関全てと東京メトロ全線、さらにJR線の都区内区間全てで利用できるものがある。ただし都営地下鉄内専用のものは期間限定不定期発売である。
- 2009年頃から都営地下鉄の管理駅の出入口には青い螺旋模様が描かれた回転する下向きの白い円錐が設置されている(「くるくるシンボル」といい、夜になると光る)。これはかつて東京都知事だった石原慎太郎が都営地下鉄の出入口を目立たせようと取り付けさせたもので、デザインは公募によるものだが、地下鉄と何ら関連性のないデザインで大きさも小さく、理髪店のポールサインを連想した人がほとんどで、認知度が高いとはいえない。
- かつて発売されていた首都圏の私鉄各社共同磁気券式プリペイドカード(パスネット)を都営地下鉄各駅でも発売していたが、そのカードの名称が「Tカード」という某ポイントカードと紛らわしい物であった。
- 機械翻訳するとよく「東映地下鉄」という仮面ライダー専用みたいな誤変換をする。
- メトロがリニューアルなどを始めたため相対的に駅のボロさが際立ちつつあり、同じ駅でもメトロの区間は床がリニューアルされているのに都営の区間は昭和なタイルという状況が散見される。
- 都営地下鉄単独の萌えキャラは存在しないが、そのかわり東京都交通局協力会は売店「メアリー」のキャラとして毎シーズンごとに「メルシーフェアリー」を登場させている。