カタログスペック
頭頂高 | 18.0m |
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本体重量 | 39.8t |
全備重量 | 56.3t |
ジェネレーター出力 | 1,420kw |
装甲材質 | チタン合金セラミック複合材 |
スラスター総推力 | 61,480kg |
概要
型式番号RGM-79Q。
地球連邦軍のジオン残党軍掃討部隊『ティターンズ』最初期の主力量産型モビルスーツ。
機体名称の「Quel」には「鎮圧する」(英:quell)という意味と共に「地球の法と権限を行使する」 (Qualified to Use Earthly Law 又は QUalified to Enforce the (Earth) Law) という意味が込められているとされる。
ジム・カスタムのマイナーチェンジモデルであり、主にスペースコロニー内での暴徒鎮圧・治安維持活動を主任務とする。
外観上、ジム・カスタムからの変化はほとんど見られないが、各部へのセンサーの増設やコロニー内戦闘に適した調整が加えられている。
また、量産性や稼働率を向上させつつ、信頼性を失わない程度の新規技術が投入されており、特に比較的加重の負担が少ない腕部構造にムーバブルフレームの前身的機構を試験的に採用。ガンダムMk-Ⅱがジム・クゥエルをベースに開発されている事もあり、細部の意匠に技術的な繋がりを見ることが出来る。
開発・生産はルナツー工廠に於いて行われたが、その一方で戦後接収したジオン側の技術はティターンズ側の思想面から来る事情により徹底的に排除されたため、性能は早々に陳腐化。生産コストもジム・カスタムと大差が無かった事もあり、以降の主力機はジムⅡやハイザックに置き換わっていった。
しかし、一部の部隊ではバックパックをガンダムMk-Ⅱと同型の物に換装するなどの近代化改修を施しグリプス戦役で使用しており、その信頼性の高さが窺える。
主なパイロットはアルファ・A・ベイト、ベルナルド・モンシア、チャップ・アデル、フォルド・ロムフェロー、アーネスト・マクガイア、ヒューイット・ライネス、ソウイチ・オビノなど。
武装
頭部60mmバルカン砲
連邦系MSの頭部に2門内蔵されている60mm機関砲。
主にミサイルの迎撃や牽制に用いられる。
ビームサーベル
型式番号XB-G-1065H。機体側とサーベル側、双方の供給方式に対応したデュアルサプライデバイス方式を採用。ジム・カスタムで採用された物のマイナーチェンジモデル。
ジムライフル
90mmの実体弾を連続発射する主兵装。ジム・カスタムに採用されたものと同一装備で、本機の場合は市街地での運用を考慮して発砲時の排莢機構を省略したケースレスタイプの弾丸を使用する。
ビームライフル
型式番号BOWA・BR-S-85-C2。ジムⅡやネモが使用しているものと同型のビームライフル。出力は1.9MW。
またコンペイトウ所属の機体はガンダムTR-1と同型のXBR-M84aを装備。こちらはEパック方式を採用し、継戦能力に優れた。
なお、ゲームSDガンダム Gジェネレーションシリーズでは主に後者を使用している。
曲面型シールド
ジム・コマンドやジム・カスタム等と同型のシールド。
着弾時の運動エネルギーの拡散を目的とした曲面装甲を有し、ビームコーティングによってビーム攻撃に対してもある程度の耐性を持つ。
バリエーション
ガンダムTR-1[ヘイズル]
ティターンズテストチームがジム・クゥエルをベースに開発した実験機。
詳細は上記リンクを参照。
ジム・クゥエル コンペイトウ所属機
地球連邦軍コンペイトウ(旧ソロモン)方面軍所属の機体。
コンペイトウ方面軍の一般部隊が一時的にティターンズへ編入される際に部隊全体の戦力の「質」を向上させるために配備されていた機体であり、ジム改と同様に赤・白系統のカラーリングが施されている。
カラーリングの変更はティターンズカラーを非ティターンズパイロットに使わせる事を快く思わないティターンズ上層部の意向が働いた結果であるが、基本スペックに差異はない。
ビーム・ライフルはXBR-M84aを使用。ヘイズルと異なりEパックはシングルで装着されている。
ジム・クゥエル テミス所属機
旧ジオン軍人ジャコビアス・ノードが経営する民間軍事会社「テミス」所属の機体。
ティターンズの解体に伴い連邦軍からテミスに払い下げられた機体であり、機体各部にテミス所属の機体である事を表すマーキングが描かれているが、公に出来ない任務(野盗をけしかけての連邦軍基地襲撃とそれに伴うジョニー・ライデン候補の抹殺など)に就く際にはそれらを塗りつぶす事もある。
また、社長であるジャコビアスが戦地に赴く際の護衛機としても運用され、彼の駆る専用ゲルググに随伴するケースも多く見られた。
コンペイトウ所属機と同様の赤・白塗装が施されているが、一部にはジムと同じく肩アーマーが赤く塗られている塗装パータンの機体も存在する。
基本装備はティターンズ時代と同様であり、ハイパー・バズーカを装備した機体も確認されている。
ビーム・ライフルはBOWA・BR-S-85-C2を使用。
ジム・クゥエル レジオン所属機/アーリー・ヘイズル
AOZRe-Bootに登場。
ティターンズ敗走兵が火星のジオン残党勢力「レジオン」へ合流した際に持ち込んだ機体。
所属の変更に伴い黒を基調としたカラーリング(ティターンズカラーのような紺に近いものではなく、より黒に近いグレー)に改められ、型式番号も「ARZ-79GQ」に更新されている。
その主な運用目的は、レジオン総帥アリシア・ザビによる「ウサギ狩り」の獲物であり、その洗礼を受けた残骸が火星の大地に放置されるなど、火星に於ける反連邦の機運を高める為の象徴として扱われている。
その後、レジオン内でティターンズ残党が武装蜂起した際には、放置された機体をグリプス戦役中に少数生産されていたヘイズルヘッドを用いて改修、アーリー・ヘイズルとしてティターンズ側が運用した。
火星独立ジオン軍及びティターンズ残党によるインレの翼奪回作戦においては水中航行用のズサブースター・マリンタイプを装着しており、ジオンと連邦という規格が異なる装備を繋げる事で起きる問題はBUNNySを元にしたOSで解決している
なお、アーリー・ヘイズルは頭部を変えたのみの機体である為、基本性能はジム・クゥエルと同一である。
余談
初登場作品であるOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』では、最終話のティターンズ結成時にほんの数カットしか登場しなかった。
そのため、当初は超マイナーMSとして一部で語り草になっていた。
この機体がマスターグレードでガンプラ化された時は、「何故超マイナーなクゥエルが?」と言われていたが、実際はガンダムNT-1及びジム・カスタムのバリエーション展開であり、製作コストは安く済んでいたという。この時、エアーズ市で発生した暴動をジムキャノンⅡと共に鎮圧したエピソードが掲載されている。
その後は2005年の『劇場版機動戦士Ζガンダム』にも僅かではあるが登場し、さらには2018年『機動戦士ガンダムNT』においても1カットだけ登場した。
また上記コンペイトウ所属機に近いカラーリングのモブガンプラが2018年『ガンダムビルドダイバーズ』にも登場。他の媒体とは異なりこちらでは多少の戦闘シーンが用意されていた。
HGUCでもガンプラ化されたが、こちらはヘイズルのバリエーション展開という形となっている(ガンダムNT-1やジム・カスタムとは別設計)。藤岡デザインを基準にしているため太ももが太い。
ヘイズル2号機アーリータイプのMG化により、ヘイズル予備機を含めた3形態のコンパチではあるものの再びMG化している。