《※注意》
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概要
演:手塚秀彰
一条総司令は、鳥人戦隊ジェットマン第40話~第41話にて登場。新戦力となるネオジェットマンを率いて鳥人戦隊の基地であるスカイキャンプに突然現れ、鳥人戦隊の指揮権を掌握した。
人物像
フルネームや経歴などは不明。
軍人至上主義で、地球防衛組織の幹部にもかかわらず、自分の名誉や肩書のみに執着し、自分以外の人間は、全員自分の出世や手柄の為の道具か邪魔者にしか思っていないという「自己中心的」、「唯我独尊」という言葉をそのまま体現したような精神の持ち主で、組織の窮地に際しても戦闘などの身を危険に晒す行為は全て部下に任せ、自分は安全な場所にのさばって威張るだけという、将校としても人間としても最悪な性格。その上、自分が危険に晒されるとパニックを起こす小心者で、身を守るだけの格闘術すらまともに身につけていないという『総司令』の肩書を持つ者としては大問題ともいえる愚将(結城凱曰く「バカ司令」)である。
とはいえ、戦隊シリーズ有数の名将として名高い小田切長官と仮にも鳥人戦隊司令官の座を争ったわけなので、劇中で見せていた能力(醜態)以上の才能を秘めていた可能性も否定できない。
実際、劇中においても上層部に根回しを済ませてから小田切長官から戦隊の指揮権を剥奪したり、独自にネオジェットマンを組織して訓練し、彼らを一度は心服させまでしていたのだから、少なくとも教官としての最低限の兵士の育成能力はあった事や、人心掌握術をはじめとする政治力に関しては一定の手腕を持っている事が窺える(その才能をまともな方法で活かせていれば…)。
そのため、功名心やくだらない私怨などに固執せずに、大人しく裏方に徹していれば、それなりに評価されていたのではないかと見る意見もある。
また、後途の竜達のスカイキャンプ追放に関しても、(元)スカイフォーサーである竜以外は偶然戦士となった一般人で、仮にも地球防衛を担う軍事組織としては面子が立たない状況であった事は確かで、一応筋は通っていたが…(ジェットマンになったばかりの頃の凱ならば喜んで受け入れていただろう)。
一条総司令の栄光と転落
スカイキャンプ掌握後、巨大化した状態で街に現れたバイオ次元獣・隕石べムに対し、ジェットマンを差し置いて、ネオジェットマンをこれ見がよしに出撃させるが、その予想以上の力に苦戦するネオジェットマンに、小田切長官は退却命令を出すが…非情にも一条総司令は
「忘れるな!お前達の代わりなどいくらでも作れる!負け犬に帰る場所など無い!!」
と言い放って退却を認めないばかりか、彼らに加勢しようと出撃するジェットマンの出撃すらも認めない。
だがその後、あまりの横暴ぶりにレッドホークこと天堂竜によって殴打される。
「人間の命を何だと思っているんだ! アンタに指揮官としての資格はない!」
人の命を虫けら同然としか見ていない一条総司令に、竜の怒りが爆発したのだ。
その後、強引に出撃した竜達の助力もあって何とか帰還できたネオジェットマン達だったが、一条総司令は前述した問題発言に対する謝罪はおろか、命からがら帰投した彼らに労りの言葉をかけることもなく、それどころかネオジェットマン達を面と向かって罵倒し、暴力という名の制裁を加えた。
(この時、女性隊員であるJ5は鉄拳制裁を免れていたが彼にも女性には手を上げないというくらいの良識はあったのだろうか…?)
「私の指揮に“敗北”の文字はない! その上、民間人のあいつらに助けられ、それでも貴様達は戦士か!?」
(J1)「総司令!我々にもう一度チャンスをお与えください!」
「二度と無様な姿を曝け出すな!!」
そして、ネオジェットマンの初陣に横入りした上に、自分の面目を丸潰しにした竜達に対しては「自分の命令を無視した」とあてつけがましい理由をつけ、ネオジェットマンに彼らをスカイキャンプから追放させた(この時、ジェットマンの5人を追放する理由を作るべく、バードニックウェーブの変身回復方法を握り潰して情報を隠蔽している)。
(命令違反とはいえ)明らかに個人的な『報復人事』としか言いようのない処分に、小田切は竜達を解雇するなら自分も解雇する様に申し出るが、そんな彼女の申し出を一蹴しながら、一条総司令は長年抱え込んできたその歪んだ想いを打ち明けた。
「上層部が君を鳥人戦隊の長官に任命した時、君は最高の栄誉と祝福の中にいた。 だが、私のプライドは深く傷付いた…上層部のバカ共に何が分かる!? 鳥人戦隊の長官には私がなるべきだったんだ!」
一条総司令が登場してからやたらと小田切の指揮するジェットマンを露骨に見下し、何が何でも彼らよりも自身の編成したネオジェットマンが上でなければ気が済まないと言わんばかりな不遜な態度の根本的な原因は、『鳥人戦隊の司令官になり損ねたことをずっと根に持っていた』という傍から見れば逆恨みも甚だしい子供じみた理由からだった。
「そう簡単に辞めさせはしない…一生私の下で働き、私と同じ苦痛を味あわしてやる!」
自身の意趣返しの第一段階であった「ジェットマンを追放する事」を達成し、一人残された小田切長官を配下に置いたことで、積年の恨みと屈辱を晴らさんと彼女を死ぬまでコキ使いまくり、自分が受けた屈辱を同様に味わせる事を、彼女に向かって勝ち誇ったかの様に嘲笑いながら宣う一条総司令であったが、その一部始終をネオジェットマンのリーダー・J1が立ち聞きしており、一条総司令の卑小な本性を知ったJ1は、それまで絶対視していた彼に対して疑念を抱き始める。
一方、先のジェットマンの活躍で隕石べムは倒されたかに見えたが、中のコアを帝王トランザが密かに抜き取っており、そのコアをスカイキャンプに潜入させていた。その後復活した隕石べムはスカイキャンプに出現し、破壊活動を開始する。
だが、一条総司令はこともあろうに戦闘参加を拒否したあげく…
「そうだ、竜達を呼び戻せ」
と、小田切長官にジェットマンを呼び戻すよう命じる。
散々バカにして見下した挙句、命令に従わない奴は必要ないとスカイキャンプから追放しておきながら、自分の都合が悪くなるやいなや「今すぐ呼び戻せ」という身勝手な発言に、遂に小田切長官もキレてしまい、
「どこまで見下げ果てた人間なの!」
と非難される。
その後、小田切長官、ネオジェットマン、そして事態を知って応援にかけつけたジェットマンを纏めてシャッターで隔離し、彼らを捨て駒に自分だけ助かろうとしたことにより、J1以外のネオジェットマン達も一条総司令に対する不満が爆発。遂にネオジェットマンからも完全に見限られる。
そして、これまでの身勝手な振る舞いに対する因果応報か、隕石べムは隔離したシャッターをぶち破ったかと思いきや、目の前にいたジェットマン達ではなく一条総司令のいる司令室を襲撃。
一条総司令は、隕石べムを目の前にして驚愕。言葉の通じないバイオ次元獣相手に自分の権力を誇示する戯言を喚きながら、周りのイスを片っ端から投げつけるという無様すぎる醜態をさらした挙句、隕石べムに一方的に暴行され、呆気無く気絶した。
その後、ジェットマンはネオジェットマンの助力もあって変身能力を取り戻し、隕石ベムも完全に撃破されたことで事件は無事解決を迎えたが、隕石ベムに暴行された一条総司令はというと、小田切長官曰く「命は取り留めたものの二度と立ち直れない」らしく、最後は姿すら映されること無くクランクアップするという惨めな形で退場。
その後、一条総司令がジェットマンや小田切長官の前に、二度と姿を見せなかったことは言うまでもない…
一応、フォローしておくと彼が(前途の私情で)ネオジェットマンを連れてこなかった場合、竜たち5人は反バードニック鉱石から生まれたバイオ次元獣 隕石ベムを打倒できなかったわけなので、本人にとっては不本意かと思うが、ジェットマンの強化及び勝利に間接的ながらも貢献したとも言えなくもない。
バイオ次元獣 隕石ベム
一条総司令が登場した回に登場したバイオ次元獣。ラディゲ、マリア、グレイが協力して誕生させたが、後に一度目のジェットマンに敗北した際にトランザに横取りされてしまい、前述したスカイキャンプ襲撃に利用される。全身から反バードニックウェーブを発射して、ジェットマンの力の源であるバードニックウェーブを無力化する。胸のコアが無事な限り、再生復活が可能である。
余談
演者の手塚秀彰氏は、今ではサミュエル・L・ジャクソンの吹き替えをはじめとする声優として著名だが、元々は俳優を務めており、その為に手塚氏が一条総司令役を演じていた事を知って驚いた者が多いと言う。
手塚氏は25年後の戦隊にも(声優として)出演している。こちらで演じた役も一条程ではないが非情な一面があり主要キャラに反発されていた。
また、アニメ宇宙戦艦ヤマト2202で手塚氏と初共演した声優の甲斐田裕子女史は、手塚氏について「一条総司令のイメージが強く、最初はもっと怖い人だと思ってた」とインタビューで語っている。
関連タグ
高倉司令官…『スーパー戦隊シリーズ史上最低の司令官』である一条に対し、こちらは『ウルトラシリーズ史上最低の司令官』。偶然ではあるが、一条と同じく「竜」の名がつく人物に殴られる一幕がある。
三輪防人、カン・ユー、トレヴァー・マロニー…劇中の行動、人物像、その末路等から何かと一条総司令と似ているといわれる上官キャラ。三輪防人もまた、一条と同じく「竜」の名がつく人物に殴られている。
幽霊電車…6期鬼太郎において、手塚氏が部下を人として扱わないワンマン社長を演じ、そのブラックぶりが一条総司令を思わせると話題になった。ちなみに彼は一条総司令よりも更に救いのない末路を迎えている。
キングコング髑髏島の巨神…復讐心に駆られるあまり、一条総司令のような周囲の忠告を聞かず、部下をも邪険に扱う程の自己中へと身を貶してしまう軍将校をサミュエル・L・ジャクソンが演じ、手塚氏がその吹き替えを担当している。
ハロルド・アッティンジャー…一条同様に、一見唯のタカ派と思わせつつ、その本性は非常に身勝手極まる動機から主人公達の代替戦士を造り、邪魔な主人公達を排斥しようとした。
スベロア・ジンネマン…一条と同様に手塚氏が演じる上司キャラだが、一条とは全く真逆の人物である。