ざっぽんによるライトノベル『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました』の公式略称。
作品の正式名称が全角30文字オーバーでpixivではタグとして使用できない制約が存在するため、作品登録用のpixivタグとしては略称を用いる必要性があるが、この略称には本作とは異なる別の意味で使われるケースがあるため曖昧さ回避を行う必要上、作者名を用いてこのような形になっている。
作品概要
2017年10月、オンライン小説投稿サイト『小説家になろう』にて連載開始。公式が呈した略称は『真の仲間』。作者はざっぽん氏。
後に角川スニーカー文庫から書籍化。2021年2月現在既刊8巻(本編7巻+外伝1巻)。イラストはやすも氏が担当。
『月刊少年エース』で漫画版が連載中。ComicWalker及びニコニコ漫画にて、本連載からおおよそ1~2回程度の遅れ連載が行われている。2021年2月現在既刊5巻。池野雅博氏が作画を担当。
仲間に戦力外を理由に勇者パーティーを追放された勇者の兄が、辺境の地に移り住みそこでかつての仲間と一緒に第二の人生を謳歌するスローライフファンタジー。
なろうで多くなったと言われる追放系作品の1つ。
あらすじ
「君は真の仲間じゃない――」
勇者の加護を持つ少女と魔王が戦うその世界で、初期レベルだけが高い『導き手』の加護を持つ英雄・ギデオン・ラグナソンは、妹である勇者・ルーティ・ラグナソンの初期パーティーメンバーとして戦ってきた。しかし、魔王軍との戦いの中盤以降最前線での戦いについていけなくなってしまったギデオンは、以前から自身を疎ましく思っていた仲間の賢者・アレス・スロアに戦力外を言い渡され勇者のパーティーから追い出されてしまう。ギデオンはレッドと名を変え、辺境の地に移り住み薬草店を開業しようとしていたら、突如かつての仲間であるお姫様で冒険者の英雄・リットが訪れる。
追い出された英雄は第2の人生で報われる――。お姫様との幸せいっぱいな辺境スローライフ開幕!!
登場人物
主人公レッドと周辺の真の仲間達
ギデオン・ラグナソン / レッド(CV:鈴木崚汰)
主人公。「導き手」の加護を持つ辺境の町ゾルタンのDランク冒険者兼「レッドアンドリッド薬草店」の店主。
かつては勇者パーティーの一員で、実質的なリーダー格であった。
リーズリット・オブ・ロガーヴィア / リット(CV:高尾奏音)
辺境の町ゾルタンのBランク冒険者。ギデオン(レッド)とは旧知の仲。
ルーティ・ラグナソン(CV:大空直美)
ギデオンの妹。「勇者」の加護によって、魔王討伐にのみ向かうことを宿命づけられている。
ギデオン追放後に勇者パーティーに加入した暗殺者の少女。「アサシン」の加護を持ち、他にも様々な技能を持つ。
うげうげさん
ティセの相棒となるハエトリグモ。「闘士」の加護を持つ本作屈指の漢。
ティセの記事も参照。
ギデオンの従騎士時代からの師にして戦友であり親友でもあるハイエルフのお姉さん。
ゴドウィン
ゾルタンの新興住宅地(という名の貧民街)サウスマーシュに本拠を置く盗賊ギルドに所属していた錬金術師の加護の持ち主。「悪魔の加護編」において盗賊ギルドのナンバー2であるビッグホークのもと麻酔薬という触れ込みの麻薬である「悪魔の加護」を自身の錬金術で量産していた。自ら三下の悪党として自嘲する部分もあるが、それでも自身なりに「悪党としての美学」を持っている部分が見られる。
レッドとリットと仲間たちによってビッグホークの企みが潰えたのちは悪党の矜持として潔く刑務所に収監されるが、のちに「悪魔の加護」を欲したルーティによって強引かつムリヤリに脱獄させられ「真の仲間(対アレス)編」において最終決戦に巻き込まれる。
ルーティとティセによって軟禁されている間、うげうげさんと共に過ごすようになる。自らの身を嘆きつつ、うげうげさんに励まされ、そして「自分は蜘蛛に励まされるほどに堕ちたのか」とさらに嘆く事に。
最終的にアレスがティセやうげうげさんを薙ぎ払いレッドへと迫る光景に、アレスが自分が悪だと気づいていない最もドス黒い悪だと看破。「悪党として、自分が悪だと気付いていない奴は許せない」と喝破し立ち向かうも一蹴される。しかし実はその一蹴される一瞬こそ、ゴドウィンが「盟友」に対して託した時間であり、その時間は希望となって託された盟友うげうげさんからティセへと繋がりレッドへと至る逆転の一手、その端緒となった。
アレスとの騒動が終結したのちは新天地を求めてゾルタンを離れるが、ギデオンとリットの手掛かりを求めていたヤランドララに拉致されてゾルタンへと舞い戻る羽目になり、またまた騒動に巻き込まれ、結局、騒動の果てにゾルタンの前市長であるミストーム師の口利きを得て、商人へとジョブチェンジする事となった。
騒動の後、うげうげさんとは確かな「漢の友情」を交わしたダチとなっている。
ゾルタンの人々
詳細はゾルタンを参照。
勇者ルーティのパーティ
勇者パーティの一員で、「賢者」の加護を持つ。
術士としての能力や頭脳には優れている反面、傲慢で身勝手な性格の持ち主であり、ギデオンに「真の仲間ではない」と言い渡し、追放処分にした張本人でもある。
勇者パーティーの一員で「武闘家」の加護を持つ。いわゆる俺より強い奴に会いに行く系のThe脳筋で、義理や友情にはとても篤い男だが、無神経な面も。困難にぶつかる(時に死にかける)毎に以前よりも強くなるというどっかの戦闘民族みたいなお人。
自らの加護は、勇者や賢者に比べると決して上位とは言えないのだが、本人の性格と生まれながらの加護の愛称が恐ろしく良く、かつての仲間のギデオンも「俺が見た人間でダナンほど自分の加護に愛されている人間はいない」とまで評されている。しかしそれ故に、元の性格と備わった加護の相性が良くない人間達の苦しみが理解出来ないという難儀な面もあり、勇者の加護の衝動のせいでルーティがずっと苦しめられてきた事をギデオンに聞かされた際も、意味不明な様子を見せていた。
魔王軍に滅ぼされた村の出身で、打倒魔王の最短ルートと考え勇者パーティーに参加する。ギデオンの実力を認めていたものの、他のメンバーよりも能力が見劣りする様になった結果、言いたい事をはっきり言わないと気が済まない性分も重なり、アレス程では無いが彼の事を辛辣に批判する様になってしまい、結果的に実力不足に悩んでいたギデオンを余計に追い詰め、更にはアレスに彼を追い出す正当性を強調してしまった。
その後、自分のギデオンに対する行き過ぎた態度をテオドラに指摘され、新たなリーダーとなったアレスの失態の数々が原因でパーティーが崩壊寸前になった結果、自らのギデオンにとってしまった態度を後悔。パーティーを立て直すにはギデオンの力が必要と考え、ギデオンを連れ戻す為に単独行動に出て、彼のいるゾルタンにまで辿り着く。しかし、この時にはアスラデーモンによって右腕を失う事になっている。
テオドラ・ディフイーロ(CV:内田彩)
勇者パーティーの一員で「クルセイダー」の加護を持つ、デミス教の女性聖堂騎士。聖堂騎士であるため、いわゆる神官(修道女)でもある。聖堂騎士流槍術師範代の肩書を持ち、打倒魔王を必達任務として勇者パーティーに参加する。
ギデオン離脱後、パーティ崩壊の危機に直面した時には、ふとしたきっかけでルーティの抱える苦悩を知りながらも「それでも魔王軍に蹂躙される多くの人の苦悩を思えば、勇者はどうしても必要で、神はそのために一人の少女に勇者の加護を与えたのだ」という結論を出しつつも、その世界の法則の非情さに悩みつつ「たった一人の少女(ルーティ)の犠牲で世界が救われるなら、その犠牲を生み出す罪は自分が背負う」という覚悟の元で行動する。
魔王軍
シサンダン
魔王軍を補佐するアスラデーモンの魔王軍直属工作兵。腕などの体の一部を食べるだけでもその食べた生物になりすます事が可能。しかし、その生物を完全に完食しないとその生物の記憶を完全継承出来ない。
彼を復活させる魔王タラクスンの様子からして強いだけで後釜も多い四天王よりも重宝されており、またその魔王からは「勇者」と呼ばれている。魔王がいる限り何度でも復活できるが、レベルは1からになるので復活の度に鍛え直している。
ルーティに去られた事で精神の均衡を崩し始めたアレスの前にダナンの姿で現れ、彼に古代エルフの意識の存在を教え、取り返しのつかない道へと誘っていく。
憤怒の魔王 タラクスン
アヴァロン大陸を侵攻する魔王軍の王。アスラデーモンの大戦士。タラクスンは本来の憤怒の魔王であるラスデーモン族を滅ぼし、その魔王の地位を奪い取った簒奪者。
魔王軍の頂点で蘇生魔法が使える。復活の手印により倒されたシサンダンを復活させる。
土の四天王 デズモンド
本編が始まった時に既に亡くなっていたが、賢者アレスがギデオンを追放する理由の動機の一つに使われた。
風の四天王
ギデオンが追放されてから勇者ルーティ一行が砂漠攻略に苦戦するまでにいつの間にか倒されていた存在。風の四天王ガンドールが倒された後は後任の風の四天王ウィドースラがワイヴァーン騎兵を再編している。
用語
加護
この物語で最も重要な要素をもっている設定。唯一神デミスによってモンスターや魔物を含む、あらゆる種族に与えられる能力にして意志。
メリットは加護が与える有用な能力が使える事だが、デメリットは加護が求める行動に振り回される事。
加護に対抗しようとすると「加護の衝動」と言われる精神的かつ肉体的な苦痛を受ける。また加護を授かったからと言って、その加護が自身の種族や社会また自分自身の人生に貢献できるものとは限らない。そして「加護の衝動」の中には、ほかならぬ加護が求める役割に対してデメリットとなるような衝動も多く、その部分で矛盾が散見される場合がある。
また、加護は加護を持つ者との戦いによって「成長」する。すなわち加護とこれに付随するスキルを鍛えようと考えた時には、加護を持つ者と戦い相手を必ず殺す(経験値獲得)必要性があり(そのためデミス教では「モンスターや魔物は人間が加護を成長させるために神か与えて下さった存在」と教える。が、この考えが先鋭化すると「犯罪を誘発しやすい加護を持つ個人も、それを殺すために神が高い加護を持つ者に与えて下さった人間」となるため、この世界では殺人に対する人々の心理ハードルが比較的弱い傾向にある)また自分より強い加護を持つ者を殺せば、加護とそれに不随するスキルは一足飛びで成長しやすい。だが一番の問題は加護とスキルは自らの経験や努力では成長しない事である。つまり、この世界は(物質的かつ直接的な意味で)戦わなければ生き残れない世界なのである。
(もっとも、そういう世界であるため個人武装もかなり発展しており、ある意味で多々買わなければ生き残れない世界でもあったりする。一方、大量殺戮・大規模破壊系の武器は「武器が勝手に殺している」判定になりやすいため加護の成長には全く影響せず、あまり発展していないし使うことも「神の御心に反すること」として忌避されやすい)
また、加護は成長すれば成長するほど、伴う衝動も大きくなる。つまり加護を成長させればさせるほど、自身の意志は加護の衝動によって塗りつぶされる事となっていく。また強力なスキルを与える特別な加護ほど、加護の衝動は強くなる。
本作の世界観では、加護をコントロールする事が人生をよりよいものにする方法である、とされる。レッド(ギデオン)は若き従騎士時代に自らの師匠から「加護は生き方を教えてはくれない」と教わり、自らも妹の事例からこれを納得しているが、まさにこの言葉こそは加護の抱える矛盾をよく現している。
(ただし、この世界で唯一も同然のメジャーな宗教であるデミス教は「神が与えて下さった加護を疑ってはいけない」「加護に従う事こそが、よりよい人生を送る唯一の方法である」として加護の求める生き方への盲従を最優先の命題として教えている)
人生と加護が一致する人物は幸運といえるが、人生と加護と一致しない者は人生の足を引っ張る加護(と、それに伴う衝動)を発動させずに人生を過ごす事が重要になる。
また、加護には「殺人鬼」や「盗賊」など犯罪を促しやすいモノもある。(アデミの「喧嘩屋」、ティセの「暗殺者」も、そのひとつ)しかし、そうした犯罪を促しやすい加護の持ち主でも、加護が求める生き方を上手に転用するなどして社会生活を送れている者もいる。
一方、加護によって盗賊になった者を処刑する際には、加護を優先する人生を送った「大英雄」として人々に称えられながら処刑される事例があった。この事例では嘆く被害者が多数いたにも関わらず、その被害者に対して「相手の加護の全うに貢献したのだから、盗まれたことも殺されたことも喜ぶべきだ」とする、その心情を逆撫でする心無い台詞を吐いた者も続出した。
このように本作の世界観・価値観では加護を優先する生き方をする者が称えられる傾向にあり、加護の衝動に逆らう主人公レッド達との生き方とは対象的とも言える。
固有スキル
特定の加護持ちだけが取得できるスキル。
加護優先主義者の多い王族・貴族などに称えられる傾向がある。
コモンスキル
加護のスキルと比べると弱いが、努力次第で誰でも取得できるスキル。
主人公レッドは色々なコモンスキルを取得する努力を行っていた。
マスタリースキル
コモンスキルや固有スキルのレベルをカンストさせると得られる、スキルの究極形態。この形態に至るまでスキルを鍛えると、スキルを本来の在り方とは異なる方向に「応用」させる事が可能となる。
レッドも当然、自らの持つコモンスキルの多くをマスタリースキルに昇華させている。
カンストさせると得られる、という特性上、マスタリーの存在を知らない人も、またその存在を懐疑的に見る人も多い。
ギルド
いわゆるギルドなのだが、加護によって人生や生活が支配されてしまい易い、この世界では単なる職能者の集まり以上に重要な役割を持つ機関となっている。その重要な役割とは個々が「加護と職能」あるいは「加護と社会との関わり(のバランス)」を上手に結びつけるための手助けをする事で、時に加護の衝動によって無軌道な行動を起こしやすい者に対して、そうはならないように規範や道筋を与える役割を持つ。
特に犯罪を誘発させやすい加護を持つ者には必須の互助団体であり、ティセが所属している「暗殺者ギルド」などは特にその向きが強い。
しかしギルドのそうした役割に反発して、加護の衝動に負けて無軌道な行動を起こす者もいたりする。
魔法
この物語では手印によって魔法を発動できる。手印を間違うと賢者であっても魔法を発動できない。その為魔法使いは両腕を失うと二度と魔法を使う事が出来ない。
唯一神デミス
この物語に存在する神。この世界を創り上げた創造神とされる。生まれてきた生物に様々な役割を果たさせる為に加護を与える存在。
アスラデーモン
この世界で唯一、加護を持たない種族。名前の通り阿修羅のごとき姿を持つ。神が休息をとっている間に「自然発生」したために、驚き怒った神によって暗黒大陸に追いやられた、とする。加護を持つ他の生き物と異なり、あらゆる体験と経験によって自らを高く成長させる。
神・降魔の聖剣
初代勇者が所持していた、という合計6本存在する『勇者の加護』を強化する聖剣。
悪魔の加護/偽神薬
レッド(ギデオン)が薬屋を始めて間も無く、ゾルタンを席巻(汚染)した麻薬。
当初は副作用の少ない新型の麻酔薬として世に広まったが、のちに、けた外れの依存性がある事が判明して禁止薬物となった。
レッドが(リットの薦めで)新しく開発した安全な麻酔薬を申請しようとした際には、この薬の存在のせいで警戒され申請を門前払いにされた。(のちにリットの冒険者としてのコネで申請を受け付けて貰えた)
しかし、実は「加護に作用して衝動を和らげる」効果がある事が判明。秘密裏に盗賊ギルドを通してゾルタン全体に行き渡るようになってしまう。
加護の衝動を和らげる反面、薬が切れれば衝動を原因とする苦痛が倍加するため、より強く薬を求めるようになる。
加護の衝動が和らぐカラクリは、この薬を服用する事によって「別の加護(偽の加護)」が体内に宿り、この加護が生来の加護のレベルを吸い取って成長し、生来の加護のレベルを下げるため。生来の加護のレベルを下げれば、従来の加護レベルよりも弱い敵と戦っても自身の加護レベルを上げる事が可能となる。
つまり、この薬は本来は効率的なセルフパワーレベリングをするための薬である。
この薬によってレベルが下がった本来の加護を、薬が効いている間に薬を服用する前の状態と同じレベルまで成長させ、同時に薬によって生じた「偽の加護」も同ペースで成長させる。そして薬が切れれば「偽の加護」は消失するが「偽の加護」のレベル数が「本来の加護」に戻り上乗せされる。しかしレベルが倍加する事になるために加護の衝動も段違いに跳ね上がり、それが「禁断症状」や衝動から逃れるための「依存症」として発現する、というカラクリになっている。
しかし薬によって生成される「偽の加護」とは(盗賊ギルドがバラ蒔いた分については)原料のひとつである「アックスデーモン」(両手が斧になっている低級悪魔)の加護であり、依存症によって服用を続けていくと精神がアックスデーモンに近しくなっていき、生来の加護のレベルが、成長した「偽の加護」のレベルを下回ってしまうと理性が吹き飛んで粗暴化。斧を手にする事で安心感と快楽を感じるようになり、最終的には手にした斧を使った殺戮行動に至る事となる。
ただ、のちに「アックスデーモン」に関しては後付けの材料であり、あえて付け加えた副作用である事が判明している(ルーティが飲んだ時に、アックスデーモン由来の部分だけが毒として無効化され、他の効果は彼女の体に受け入れられた)。実は、この薬は衝動を伴わない(というより生来の加護に逆らい抑えつけ、その為のスキルを与える事を衝動とする)「空白の加護」を生成させる薬でもあった。そして、この空白の加護は、成長すると「シン」と呼ばれる誰も知らない加護となる。
アニメ
2021年10月から、TOKYOMX、サンテレビ、KBS京都、AT-Xに加えてBS日テレで放送されている。また、dアニメストアによる配信も実施。
元々は2021年7月から放送するつもりであったが、コロナ禍アニメ延期問題などにより延期となった。
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