演:松本寛也
概要
13年前の事件に巻き込まれ亜空間へと姿を消した天才エンジニア。
亜空間への転送によって死んだものと思われており、序盤は名前のみの登場だった。
しかし物語中盤にバディロイドのビート・J・スタッグと共に突如姿を現し、ビートバスターの変身者としてJともども特命部に出入りするようになる。
人物
現特命部の司令官である黒木タケシとは同期であり、彼のことは「黒リン」と呼んでいる。
「完璧でない方が面白い」を信条とし、ノリも外見も一見チャラ男風だがその行動には謎が多い。
軽口を叩きリュウジやタケシを振り回し、ときには暴言とも言える態度も取るが、それは自身やヒロム・ヨーコの親を含めた研究所の職員達の状態など、後述する重い事実を知っていたことの裏返しでもある。
なお、「悲しい時によけいふざける」癖がある。
天才エンジニアとしての才能は劇中で遺憾なく発揮されており、彼の操縦するバスターマシン「BC-04 ビートル」やバディロイドであるJの設計・開発を自ら手掛けているほか、13年前の事件まで転送研究センターの作業用ロボットだったメガゾードα・メガゾードβの開発にも彼が関与していた模様。
また、劇場版では、バスターマシンの初期型である「FS-0O フロッグ」とバディロイド「エネたん」も彼が開発したものであることが判明した。
ちなみにヨーコの母親は彼の開発したメガゾードのテストパイロットを務めることが多く、彼女との仲はそれなりに良好だったらしい。
「彼」の正体と劇中の動向
実年齢は40歳であるはずだが、その姿は13年前の事件に巻き込まれた際の27歳だった頃と変わっていない。その為、現在28歳であるリュウジから小遣いとして金をせびる事も。
これは「彼」がJと共に転送されてきたアバター(分身)であるためで、未だその本体は亜空間にある自身の格納庫の中に存在したまま、動かせない自身の身体の代わりであるアバターを操作している。
そのため、普通の人間なら耐えられず死亡する亜空間からの転送にも耐えられ、さらにアバターが消滅してもJのマーカーを利用して再度転送することが可能だったのだが、アバターが受けたダメージは本体に蓄積される上、その本体のデータも13年前の転送時に一部が欠落し不完全であり、視覚的には半分消えたような状態であった。さらにその欠けたデータはメサイアに取り込まれていた事がのちに判明し、やがてメサイアカードとしてエンターに奪われることとなった。
ちなみにそこまでして「戻ってきた」理由は本人曰く、「自分が本当の意味で亜空間から戻るうえで、ヒロムたちにはメサイアを倒せるほどに強くなってもらう必要があるから」らしい。
こうした自身の特殊な状態ゆえに、転送された研究センターの職員たちの中で唯一「創造する者たち」としてメサイアに使役されるのを免れており、亜空間に転送されてから13年の間、職員たちと交信を取りつつゴーバスターズに加勢する準備を整えていたらしい。
- ヴァグラスが特命部から設計図を奪ったはずのBC-04を亜空間で完成させていたこと
- 13年前には存在しなかったJにニック達と同様ワクチンプログラムに起因する人格が存在すること
- 自身のアバターやそれを送りこむマーカーであるJをヴァグラス側メガゾードのデータに紛れ込ませて転送できたこと
これらは、いずれも陣が彼らとの協力関係にあった動かぬ証拠である。
しかし同時に、センター内の彼らがメサイアに取り込まれてしまっていることも知っており、メサイアが急激な進化を遂げたことを危険視した彼らが自分たちの消滅を覚悟で「一刻も早くメサイアを倒せ」と特命部に連絡した際には、彼らの決意を万が一にも無駄にさせまいと、この事実を知らせぬままヒロムたちとともに亜空間に突入した。
最終的にヒロムたちはその事実を知ってなおメサイアの破壊を決意。それを察した彼は「強くする役目も、もういらないな」と口にし、そのまま彼らとともにメサイアを撃破した。
だがエンターがメサイアカードとしてバックアップを確保していたことでメサイアは消滅を免れており、彼らの犠牲が報われなかったことを意味するその事実をのちに知った時には、「自分一人が生き残ってしまった」と自責の念に駆られるなど、内心誰よりも悲しんでいた様子。
それでもヒロムから「もう一人で背負う必要なんてない」と諭され、その痛みを彼らとともに背負って戦い続けることを決意した。
生きようとした人間の覚悟、守ろうとする者の選択(本編終盤のネタバレ注意!)
物語終盤、エンターによってヒロムにメサイアカード「13」が仕込まれていたことが判明。
これを利用し自身を再生・強化し続けたエンターは新たな力を得てゴーバスターズを圧倒、ついには「新たなメサイア」を名乗り全世界と融合せんとする。
エンターを倒すにはカードを取り出すほかない状況下、陣はその手段として、『欠けたデータを求める自分の身体』と『全てのメサイアカードのバックアップデータである「13」を持つヒロム』を接続させ、欠けたデータのバックアップが入った「13」のカードを自分の身体のデータに引き寄せる、という方法を思いつくが、それを指令室の面々やJに示す際、例えとして用いていたジェンガの自分の身体側をバラバラに崩した。
最終話にて格納庫を訪れたヒロムたちにもその方法を示し、実行を決意するが、堪えきれなくなったJから「戦いでダメージを受け続けた彼の本体は全メサイアカードの膨大なバックアップデータに耐えきれず、バラバラのデータとなって消滅してしまう」ことを知らされた他メンバーは反対する。
しかし世界そのものがメサイアの力に飲み込まれる最悪の事態が目前に迫る中、他に世界を守る方法が無いことを悟っていた彼は、反対する彼らを涙ながらに怒鳴りつけて説得。自分とヒロム以外のメンバーがエンターを足止めしている間に計画を遂行させた末、ヒロムからカードを取り出すことに成功し、この結果彼の肉体は跡形もなくカード諸共崩壊した。
「13年…余分に生きられて良かったな…」
残されたアバターの彼がビートバスターとして他のメンバーと共にエンターと戦うも、エンターを倒したことで彼の中にあった「07」のカードごと最後の自身のデータも破壊され、アバターも消滅。元通り帰還することは叶わなかった。
アバター消滅後はデータの残滓として亜空間からヒロム達が脱出するための手引きをしつつ、崩壊する亜空間とともに消えていった。
「生きろ!!」
仮初めの体で戦ってまで自身が叶えたかった願いを、最後に言い残して…。
追加戦士の死亡退場はアバレンジャーのアバレキラー/仲代壬琴以来である。
そして陣は恐竜戦隊ジュウレンジャーのドラゴンレンジャー/ブライから定番になった『追加戦士』では2021年現在で唯一の作中で亡くなった恐竜とは無縁の追加戦士である(シュリケンジャーは作品によって生存・死亡の扱いが異なるため除外。)
直後の『スーパーヒーロー大戦Z』には登場しなかったものの、『獣電戦隊キョウリュウジャー VSゴーバスターズ』にてJの中に残された対ヴァグラス用残留プログラムとして一時的にであるが復活。ヒロム達と共にデーボス軍幹部との戦闘後、「ゴーバスターズ獣電池」を託して消滅した。
中の人ネタ
演じる松本寛也氏は、かつて『魔法戦隊マジレンジャー』でも小津翼/マジイエロー役でレギュラー出演していた(これに加えて、後年では「宇宙戦隊キュウレンジャー」にてホシ★ミナト役でも出演している)。
それを意識してか、マサトも劇中で「マジで行くぜ!」と叫ぶことがある…が、もっとド直球な楽屋ネタとしては『ゴーバスターズVSゴーカイジャー』において、バスターヘラクレスがマジキングにゴーカイチェンジした時に「落ち着くなー」と明らかにメタフィクションなコメントを残している(ゴーカイチェンジの候補が数多ある中でのチョイスだとすれば、明らかに狙っているとしか思えないチョイスである)。
過去の戦隊メンバーがレギュラーメンバーとして再登板するのは小川輝晃氏(ニンジャレッド/サスケ→黒騎士ヒュウガ)以来14年ぶりとなる。
復活
2017年の映画『超スーパーヒーロー大戦』では久々に登場。
作品内のゲームでもある『超スーパーヒーロー大戦』内でのトーナメント戦にてチームエグゼイドの黄色枠として加藤クラウド八雲にセレクトされ、エグゼイド、アオニンジャー、ゾルダ、電王ソードフォームとチームエグゼイドを結成する(当初八雲は自身の魔法の先生である小津翼ことマジイエローをセレクトするつもりだったが、ゲーム側は間違えて容姿が同じである彼をセレクトしてしまった、色的には金色であって黄色ではない)。なお、今作ではゲーム世界のキャラクターとして登場するからか、Jがいなくても単独でビートバスターに変身できる模様。
決勝戦では同じカラーリングの戦士であるイエローオウル(鳥人戦隊ジェットマン)と戦った。
関連イラスト
関連タグ
加齢臭:動物戦隊ゴーバスターズの世界のマサトは転送失敗事件に巻き込まれておらず、時系列相応に老けている。
早川裕作/メガシルバー:こちらも天才エンジニアで初期メンバーの兄貴分的存在だが、お調子者ゆえに司令官を悩ませることもある追加戦士繋がり。ただし、こちらは最後まで生存している。
伊狩鎧←陣マサト/ビート・J・スタッグ→空蝉丸