ウィンダム(ガンダム)
うぃんだむ
概要
ユニウス条約締結後から開発がスタートされていたとされる、ダガー系MS(ストライクダガー、105ダガー、ロングダガー、ダガーL)の後継機でストライクの完全量産を目指して制作された機体。
ユニウス条約によってMS配備数に制限が生じたことによって安価な機体で数の有利を頼むことができなくなり、保有枠内で戦力を拡充するために既存機のマイナーチェンジでなく高性能な次世代機が求められたことから開発が行われた。
スペック上では第1次連合・プラント大戦の名機・ストライクガンダムと同等とされ、地球軍の悲願であったストライクの完全量産化を実現した機体で、地球軍MSの集大成の機体である。
各部の軽量化と、スラスターの追加により機動性はダガーより向上している。
当然ストライカーパックの運用も可能で、ダガーと同様に汎用性は高い。
戦闘性能はストライクと同等とされるが、重量が軽く、スラスターの追加や後述の武装等を含めた総合性能はストライク以上であり、特に機動力と運動性能は上回っている。パイロット次第ではザクとも渡り合えるポテンシャルを誇る。
パイロットの質や連合のMA派の影響もあり、活躍らしい活躍がないのが惜しまれるMSである。
装甲
装甲材質は資料と作中描写の矛盾からよく不明瞭になっている。ヴァリアブルフェイズシフト装甲搭載とする資料もあるが、作中での描写から食い違う部分が見られる。
出撃前や整備中の本機が映るシーンから考えるに、機体のカラーリングが常にはっきりしている事から、フェイズシフト装甲特有のディアクティブモードは存在しない。シーンによっては、機体の電源を入れたまま整備をしていることになってしまう。トランスフェイズ装甲ならともかくヴァリアブルフェイズシフト装甲の描写とは思い難い。
次に、実弾でポンポン落とされている……と言うか、実弾を防いだカットが存在しない。量産機故に、ヴァリアブルフェイズシフト装甲の採用は考え難いとされる。ただし、バイタルエリアに限定したラミネート装甲や、レイダー制式仕様やフォビドゥンヴォーテクスといったトランスフェイズ装甲が採用されて量産されている機体も存在する為、量産機=非フェイズシフトには当てはまらない。お高いのは量産化されていないフェイズシフト装甲を機体全面に施した機体の方である。
但し、フェイズシフト装甲は宇宙空間に準ずるような無重力あるいは、低重力環境でしか製造出来ず、生産性に問題があるので、連合のMSでも多数を占める程、総数の多い本機に搭載できたかは疑問が残る。
ダガー系統をベースにしている事から、ラミネート装甲の可能性も残るが、技術の向上により威力が飛躍的に上昇したC.E.73時点のビーム兵器に対しては無力な上に製造コストも高い。次世代を担う重要な機体に有効性の低い装甲を採用するとは考えにくく、資料などにも記載されていない。実装されている可能性は低いだろう。
或いは、極初期に開発されたモデルにのみ実装され、後続のモデルには装備されていない事も有り得る。
ミネルバのCIWSで撃墜される件に関しては、MSと戦艦では機関砲のサイズが異なるとは言え、物語の都合上フェイズシフト装甲を理由に撃墜できないと(数の暴力と言う名の)無理ゲーと化す場面が多いため、やむを得ない描写とも言える。
もっとも、後述のアンチビームシールドやデストロイの装甲材の件もあるのであんまり深く考えない方がよさそうである。
基本武装
M9409L ビームライフル
既存のダガー系列のものより大型化したビームライフルで、出力と貫通力が向上している。
ダガー系のビームライフルはベースがストライク、デュエルの物を改良している型なので、この武装はそれらの強化発展型と言える物。
M2M5 トーデスシュレッケン12.5mm自動近接防御火器
頭部・胸部に計4基搭載された近接防御火器(バルカン)。
独語で「死の恐怖」の意味を持つ。
対人・対車両用に小口径化と弾数確保に、リソースを割いた事から付いた名称とされる。
ES04B ビームサーベル
両腰アーマーに1本ずつマウント。この時代では標準的な出力のビームサーベル。
A52 攻盾タイプE
先端に2本のブレードを備えた、細い三角形のシールド。ミサイルを2発、裏にマウントする事も可能。
この時代の一般的なシールド同様、耐ビームコーティングが施されている。
……のはずだが、インパルスのサーベルで盾ごと一刀両断にされるどころか、ザクのビーム突撃銃ですら貫通されている有様。
装甲の件の事もあり、性能か演出のどちらがガバガバなのかは定かではない。
Mk438/B 2連装多目的ミサイル ヴュルガーSA10
先述のシールドにマウントされるミサイル。
Mk315 スティレット投擲噴進対装甲貫入弾
爆弾にもなる小型の投げナイフ。腰アーマーにマウントされ、投擲後はロケット推進、敵に突き刺さり爆発してダメージを与える。破壊力はかなりのもので、ベルリンにおいてネオの駆るウィンダムが、フリーダムガンダムのシールド(PS装甲ではないものの、実弾に対しても高い防御力を誇る)を一撃で破砕したこともある(ただし、これに関しては「シールドを吹き飛ばしただけ」と言うのもある)。
本機最大の特徴でもあるストライクと共通の換装システム。
AQM/E-X01 エールストライカー
巨大なスラスターと主翼が目を引く、ストライクがおそらく、最も使用したであろうストライカーパック。 また、ストライク以外の機体でも使用されたストライカーという意味でも最も使用されている。
そのコンセプトはメビウスやイージスで培われた可変式スラスターバインダーの技術が導入されており、大推力による直線的機動能力はMS本体の持つ姿勢制御能力と合わさり高い運動性をもたらす。
劇中での活躍
本編開始の時点で相当数が配備されていた。
初登場は連合のプラント本国侵攻作戦(フォックストロット・ノベンバー)で、核攻撃部隊「クルセイダーズ」所属機がマルチランチャーパックを装備して出撃し、コロニーに対し核ミサイルを発射した。しかし、その攻撃はザフトの新兵器・ニュートロンスタンピーダーに阻まれ、母艦を含め部隊は壊滅している。
思えばこれが不運の始まりであったのかもしれない。
その後舞台が地上に移るも、30機のウィンダムがインパルスガンダム、セイバーガンダムの2機に全滅させられる(正確にはセイバーは連合側のカオスに足止めを食らっていた為、実質インパルス一機による被害)等、設定ではストライクガンダムと同等の高性能機である割に扱いは良くない。
外伝でも目立った活躍はなく、「敵のザコ兵」と言う立ち位置は変わらない。
しかし、ネオ・ロアノーク専用機だけは別で、ベルリン戦ではフリーダムガンダムのシールドをスティレットで破壊する等、一般機よりもかなり待遇が良い(ネオ機はジェットストライカーのリミッターを解除したのみで、機体自体に差はない) 。
また、その他の戦闘シーンではザクウォーリアや、グフイグナイテッドを撃墜している場面もある。
これらの絶不調の原因は、地球軍パイロットの錬度不足(徴兵による士気の低さ)が大きいとされる。作中で主に描写された際、本機に搭乗するナチュラルの一般兵に対するはコーディネイターのエリートパイロットであり、その内1機はザフトの最新鋭機セカンドステージMSである。確かに分が悪すぎると言わざるを得ない。
性能面においてザフトの新型量産機シリーズに劣っている為……ともされるが監督のインタビューによれば、ザフトのザクとも十分に渡り合える性能らしく、キルレシオも互角のようだ。
またOS面での差異を挙げる人も居るが、流石にストライクダガーの交戦データや、エースパイロットの機体からのデータフィードバックで、2年の間に技術的格差は埋まっているはずである。
劇中での扱いが悪いだけで、パイロットの腕次第ではガンダムタイプとも戦える機体である。
バリエーション
エルドラウィンダム
WEBアニメ「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」に登場。
ウィンダムをベースにカスタマイズされたガンプラで、エルドラを狙うアルスが作り出した。
瞳型のセンサーアイが、ゴーグル型から3つ目型になっており、スローターダガーを思わせるカラーリングが特徴。
バインダーガンをフライトユニットとして組み合わせた、独自のストライカーパックを装備した、空戦仕様機も存在する。
武装はアックス型ビームライフルとビームサーベル。アックス型ビームライフルはビームサーベルも発振可能。
頭部には、同じくアルスが作り出した警邏用AIマシン・ガードアイが搭載されており、本機体を操縦している。
立体物ではプレミアムバンダイ限定商品として、HGBD:Rでキット化。5月予約受付開始。9月発売(発送)。
独特のパーツ形状を新規造形で再現されている。
また、フライトユニットを形成するバインダーガンのキットが丸々入ってる為、ジョイントパーツや関節パーツ等も多数同梱されている。
ゲームでは
連ザシリーズでは低コスト機として地上専用のジェットストライカー仕様と、格闘とライフルを捨てたマルチストライカー仕様、高コスト機としてネオ専用機の3機が登場。
また、PSVita「ガンダムSEED BATTLE DESTINY」では全MAPに出せるストライカー非装備型と、地上専用で高威力の実弾を複数持つ高機動型のジェットストライカー仕様、宇宙専用で核ミサイルの一撃を持ち、機動性が低いマルチストライカー仕様、機動性をさらに強化したネオ専用機が搭乗。序盤のミッションで素のウィンダムを入手しないと、連合に残留するルートを選んでもストライカー装備機を入手できない事に注意(素のウィンダムのみ、アークエンジェルルートでも使用できる)。
PS装甲がないこと以外は設定通りストライクと同等であり、しかもストライクと違って搭乗制限(コーディネイター以外が乗ると機体ステータスが低下する)がないと言う、アドバンテージがある。
尚、ネオ機には一般機と違い実弾武装全発射の超火力武装がある。PS装甲も簡単に落ちる火力は圧巻。
Gジェネレーションシリーズでは基礎性能こそ確かに高いが、それ以外に目立った特徴はなく、せいぜいネオを乗せて専用機にして楽しむか、量産機縛り等の条件下で、ある程度活躍する程度の機体でしかなかった。
しかし、クロスレイズにおいては設定のみであった、ヴァリアブルフェイズシフト装甲を遂に搭載。
無条件で物理属性のダメージを2000カットと言う、強力なアビリティとなっている。鉄血系の機体で相手にするとかなり不利なので、他の機体を用意しておきたい。
また、自軍で生産できる機体はストライカー無しと、ジェットストライカー装備の2種が存在するが、何故か後者はマルチストライカーではないのに、MAP兵器として核ミサイルを使用可能(但し、カタログスペック上の威力は鉄の塊に劣る)。量産機の中では破格の性能を誇っている。
デザインについて
ダガー系から明らかに線の増えたデザイン・細身なスタイルと、一見ヒロイックな特徴が目立つが、ゴーグルタイプのカメラアイ等、量産機の記号を残しつつも先鋭化されたデザインを特徴とする。
種系機体の宿命か、この機体もなかなか賛否両論分かれており、
「触覚みたいなツノ」「ガンダム系とGM系のデザインの長所が殺し合っている」と言う否定意見も多いが、そのスタイリッシュな細身のデザインを評価する層もいる。
余談
シミュレーションゲーム、「Gジェネレーションシリーズ」でのウィンダムの初期能力値は、量産機でありながら初代ガンダムRX-78より上である。
上記にも載っているエルドラウィンダムの製品化が決定し、後にプレミアムバンダイで予約開始になるのだが、「いきなりウィンダムの製品化が決定したのは、もしかしてこのエルドラウィンダムを出す為だったのか?」と考察する声がネット上等で多く上がった。
立体物
量産機としてはヒロイックな特色のあるデザインだが、作中の扱いのせいかプラモデル化は実現しておらず、完成品アクションフィギュア(「モビルスーツインアクション!」や食玩「ジーフレックス」等)のみ(「SEED」「SEED-DESTINY」の一般量産機全般に言えることではある)。
ガシャポンSDガンダムフルカラーシリーズにもラインナップがされているが、現在は入手困難である。
「SEED-DESTINY」のHDリマスター版が放映されても、プラモデル化はされなかった。
現在、HGSEEDに続いて最新のフォーマットであるHGCEシリーズが出ており、果たしてウィンダムのプラモデル化は来るのだろうかと淡く期待されていたが、数年経てど出なかったのでもう無理そうである……と思われていた。
2019年7月のトークショーにてプラモ化検討中と明かされ、12月には2020年のガンプラ新製品にジェットストライカーを装備したウィンダムらしきシルエットが描かれているのが確認された(片方はガンダムマルコシアス)。
そして遂に19年12月28日の正式発表によって、ジェットストライカー装備型の量産機がHGUCラインのHGCEのガンプラとして、一般流通にて2020年5月の発売が決定した。
これまでHGCEでは既にSEED HGで商品化されていたガンプラの実質的リメイクが中心だったものの、ウィンダムはHGCEとしては初となる完全新規のガンプラとなった。
SEED DESTINY15周年とされる2019-2020年では例年に比べ該当作品のラインナップが豊富ではあるが、ここにきてウィンダムが抜擢された事実は誰もが驚愕した。
Twitterのトレンド入り等を果たした事も踏まえ、如何にこの機体の立体化が絶望視且熱望されていたか思い知らされた人も多いだろう。
マイナー機であると思われていたバーザムが発売直後に品薄を引き起こし俗に『バーザムショック』と呼ばれて以降主役級以外の機体も立体化が推進される流れが続いており、うまく潮流に乗ることが出来たと言える。
SEED DESTINY HDリマスター放映開始の2013年3月からは、実に7年越しの発売となる。
ジェットストライカーは各部が可動し、ロケット弾ポッドとドラッヘASMを装着可能。
ビームライフルとビームサーベル、シールドが付属するが、スティレットは付属しない。
先に発売されたリーオー、マグアナック、デスアーミー等と同じく『ファインビルド』を採用し組み立て易さとプロポーションの良さを両立しているが、このウィンダムはそれらとは違いポリキャップの使用数が増えており(オールガンダムプロジェクト期以降多くのガンプラで採用されているPC-002を使用)関節部以外は通常のHGシリーズと遜色無い仕様となっている。
ただし、コストを抑える為かビームライフルのサブグリップが固定でジェットストライカーも一部基部が固定式の為、待機状態が設定通りに再現出来ないので気になる場合は小加工が必要。
公式でも推奨しているようにビルド系含むHGシリーズの各種ストライカーパック(設定上ストライカーパックと共通規格とされ、プラモデルでもストライカーパック対応HGキットと互換性のあった、HGアカツキのオオワシ装備とシラヌイ装備も対応)を無改造で取り付け可能。
ただし、ソードストライカーとランチャーストライカーについてはウィンダムの肩のデザイン上、肩の武装が完全には取り付けが出来ないのでHGCEストライクの肩をそのまま使うかアナザートライアルストライカー仕様に改造する必要がある。
特に後者を再現するとなると取り付け位置の変更や2個買い必須になるので難易度が高くなる。
また、ジェットストライカーも共通規格の為、SEED HGの105ダガー等の旧いキットにも無改造で取り付け可能となっている。
以上のように長年切望されていた事や、各種ストライカーパック対応による拡張性の高さからか、発売日早々売り切れ報告が相次いでおり入手困難となっていた。
ガンプラをメインにガンダムのグッズを取り扱う公式の専門店・ガンダムベース公式Twitterでも大人気ガンプラとして紹介される等、確実に売上実績を残した事が分かる。
その後は再販が行われ発売当初程の入手困難は無くなっている。
購入したモデラーの中にはネオ機に塗装したり(後述の通り一般機発売から一年後に正式発売決定)、ガンダムフェイスを取り付けたり、福田監督がかつて制作に関わったロボットアニメの主役機に塗装を似せたりする等※、元のヒロイックなデザインを活かした作例が、ネット上にいくつもあがっている。
このウィンダムの発売の影響かどうかは不明だが、2020年11月のガンダムEXPOにて前主力機であったダガーLのHG化が発表、2021年4月にHGCEの一つとして発売された。
ダガーL発売後の2021年8月にはプレミアムバンダイからネオ専用ウィンダム及び『ウィンダム&ダガーL用 拡張セット(マルチランチャーパック、ドッペルホルン連装無反動砲、スティレット、専用デカールのセット)』が発売された。
ネオ専用機は色分けの都合上、シールドのランナーが二枚付属している。
※モデラー達による塗装の元ネタであるドラグナー1型も2022年2月にプレミアムバンダイより完全新規のHGプラモデルとして発売が決定した。
関連タグ
機動戦士ガンダムSEEDDESTINY 地球連合軍(ガンダムSEED)
ネオ・ロアノーク:ネームドの搭乗者
ストライクガンダム:原型機
ダガーL:前主力機
デストロイガンダム:ヴァリアブルフェイズシフト装甲の記載が見られる機体。こちらも描写との食い違いが起きている。
ジーライン:ウィンダムと同様に名機の完全量産化を実現させた機体
ジェガン:このポジションに当てはまると思われる