概要
『仮面ライダーリバイス』に登場する主人公の一家で、しあわせ湯を経営している5人家族。
家族間の信頼関係が強く、おおらかで明るい母としっかり者の長男を中心に、家業の銭湯を家族全員で切り盛りしている。
家系
「幸せな家族像」の裏で……
一見すると仲睦まじい家庭に見えるが、物語が進むにつれ、実際は放任や共依存によって成り立っている、歪な面が垣間見えるようになっていく。
まず父親の元太は典型的なダメ人間で、家業もそっちのけで「有名動画クリエイターになって一攫千金を狙う」夢を追い続けてはいるが、収益が無い為に家計をろくに支えておらず、子供3人は一応は家族としては受け入れ愛想こそ尽かしてはいないものの、そんな父親に邪険な態度を隠そうともしない(実際、劇中でも店内に多数の常連客が滞在する中、都市開発課の役人が提示した書類に躊躇なく押印しようとする、「フェニックス公認」の名目で一輝のサポートをしようとするも昇り旗や顔出しパネルを作って余計な出費をする等の、愚挙とも暴挙とも見える行動を晒している)。
母親の幸実はそんな元太を含め家族を信頼し受け入れ、全員から慕われてはいるのだが、一方で問題点に対しては自らが介入して解決しようとはしない傾向にある。フェニックスと契約すべきか悩む一輝に、「一輝は一輝のやりたいことをやればいい」と励ました場面があるが、一輝がサッカー選手を目指していた過去、銭湯の為に諦めた事実、それを未だに完全に諦めきれていない本心、そしてこれら3つを踏まえた上での励ましの発言とは取れない事実からも、相手の過去は気にせずその場その場で合った風な発言をしているだけで、根本的な解決に至ってない、至らせようとしていない=本心で相手の悩みを聞いていないように見られる。
次男の大二は一輝へのコンプレックス・不満等が心の奥底で燻っており、何かがきっかけで爆発して不協和音を撒き散らす危惧がある(第3話などが顕著であり、後にそれは形を持って家族に降りかかる事になってしまった。また、本編では一輝から「辛いものが苦手でコーヒーも飲めない」、本編外の視聴者投稿コーナーのイラストを見て「小さい頃の大二の100倍上手いぞ」等、子供扱いが未だに根付いている)。カゲロウの一件以降は以前より子供扱いも自身のコンプレックスも収まりつつあるが、28話で登場した一輝の心の中にいる大二は幼児退行したかのように飛行機の玩具を振り回して遊ぶ、という一輝の中からの認識はまるで変わっていなかった。
末娘のさくらは未成年なのもあって、真っ直ぐだが家族に対して無遠慮であり、カゲロウの件で苦悩する一輝を察せずに叱責に近い発破を掛けた。一方で最年少であるが故に周りからは過保護気味に扱われている節があり、仮面ライダージャンヌに変身して戦えるようになったものの、それを家族の誰からも快く思われていなかった(一輝、大二はさくらの覚悟を受け止めた事で後に苦言を呈さなくなったが、両親からのそれは初変身からしばらく経過した第16話時点でも続いており、幸実にベルトを隠される始末。心配されているとも言えるがさくら自身の気持ちを全く考慮していない)。
また、二人共一輝が側にいる状態で自身の思うように事が運ばないと、一輝に「いつものお節介は?」と強く当たっている。
長男の一輝は「家族は温かくて幸せなもの」とする固定観念から「自分が幸せな家族を支えていく」めいた強迫観念に近い意識を抱き、自分自身の身の振り方を考慮しない形で献身的に銭湯で働いている。
そんな境遇に陥ったからか、一輝の方もそんな家族を無意識下で鬱屈に感じるような描写が見られ、それが奔放なバイスを生み出した可能性が高い。
一方、一輝自身も過去に「サッカー選手」の明確な将来を抱くも、家族の為に諦め家業に邁進……しつつも、諦めた夢への未練がある等、「強い夢や自信」を持てていない点が語られており、そうした面から目を逸らすべく、家族を支える行為へ縋っている様にも感じられる。ちなみに、「サッカー選手」を夢見ていたが銭湯を継いでその夢を諦めた事実を、大二以外、気にしている描写がない。
謎
一家そのものに不穏な要素があるが、兄妹に宿る悪魔もまた他と比べて異質な点も特徴的。
デモンズの変身者であるヒロミを始め、これまでに登場した殆どの登場人物の悪魔がデッドマンやギフジュニアになっている。それに対し、バイスは明確な自我を持ちバイスタンプによる影響を受けた姿で実体化しなかった等悪魔の中でも異質である。
またカゲロウの場合は宿主の肉体を乗っ取る等バイスにも出来なかった事をやってのけており、ラブコフに至ってはゆるキャラな外見とまた明らかに特殊。
異質な悪魔が同じ一家から出てきた事に関して単なる偶然で片付けられるのか疑問が残る。
その他狩崎が元太に対して「ダメ人間」以外の違和感を抱いているような描写もある。その元太には体にとんでもない秘密があった事が分かっており、ますます謎が多い。
加えて常連客である牛島太助が五十嵐家を監視している事が判明しており、五十嵐家には何か秘密があってもおかしくないのが現状である。
※この先は『仮面ライダーリバイス』第25話のネタバレを含みます。
何故、五十嵐三兄妹が仮面ライダーに変身できるのか。
何故、彼らに巣くう悪魔に明確に自我が存在するのか。
その答えはただ一つ、
彼らが ギフの遺伝子を受け継ぐ末裔 だからであった。
かつて狩崎真澄はギフスタンプとギフの棺を研究しており、その過程で悪魔を軍事兵器として転用する為のバイスタンプとドライバーが開発された。
しかし初期の開発段階であったこのドライバーには寿命を悪魔に食い尽くされるデメリットが存在していた。その克服に難儀していた真澄のもとに、瀕死の青年が運び込まれる。
既に心臓が止まり、助かる筈のない体…。 そこで真澄は、悪魔に魂を売った。
ギフの棺の周辺修復能力を利用し、ギフの遺伝子を青年の心臓に移植したことで、彼の心臓は動き出し、命を繋ぎ止めた。その青年が誰あろう、五十嵐元太である。
ギフの遺伝子を体内に宿した彼は、真澄を始めとした悪魔の研究に励む科学者の実験の被験体となる。
さらにはドライバーのデメリットはギフの遺伝子を人間の体内に組み込むことによってのみ克服できるものだった為、ドライバーに宿る悪魔ベイルと共に仮面ライダーベイルとして日々戦っていた。
その後の経緯は今のところ不明だが、なんらかの理由で戦いから離れ幸実と出会い、三人の子供を得た、という訳である(そのため、元太はベイルから「裏切り者」扱いされている)。
元太の悪魔(?)であるベイルによれば、元太は家族を欲しがっていたようだが、ギフの遺伝子を持つ自身の子であるが故に仮面ライダーとして戦いに巻き込まれてしまったのは皮肉としか言いようがないだろう。
余談
関連タグ
小津家:同じ東映特撮におけるヒーロー一家繋がり。最終的に全員揃ったものの、こちらは殆ど子供達のみで家計と戦いを回していた。また、兄妹全員が人外の遺伝子を父から受け継いだ存在である点も共通。
湊家:別会社の特撮番組に登場するヒーロー一家。構成も同じであったり、父親が趣味に没頭している点も共通しているが、こちらはちゃんと実益も考慮したものである他、息子兄弟も頻繁に口論や喧嘩になるものの、すぐにスッキリと仲直りする等、雰囲気や実情は五十嵐家よりもずっと健全である。