概要
直流分巻モーターと抵抗器とチョッパ装置を使用し価格をチョッパ制御より抑えた。
加速時は抵抗制御のため抵抗損失と前後衝動が発生するが、高速域から回生ブレーキが使用できるため、私鉄の電車の多くが採用された。(ただし、回生ブレーキ下限速度は15km~45km/h)
また、保守がより簡単な直巻きモーターバージョンの界磁チョッパ制御界磁添加励磁制御も後から採用された。
この制御も界磁チョッパと同等の性能である。
構造
主回路にそのまま直列繋ぎとなっている電機子チョッパ制御と異なり、複巻電動機の分巻回路にチョッパ装置を接続するので、電機子チョッパ制御のように大容量の半導体素子を必要とせず、製造コストの削減が可能。この回路に流れる電流をチョッパ制御することにより、界磁の逆起電力を制御し、弱め界磁制御や回生ブレーキの使用を可能にしている。
採用例
長野電鉄
8500系(元東急8500系)
秩父鉄道
7000系(元東急8500系)
7500系(元東急8090系)
京成電鉄
AE形(初代)(下記の3400形に足回りを提供)
3400形(上記AE形の車体更新車) 直並列制御は行わないため、45kmで回生が失効する。
3600形(当初は6連×9本だったが、8連×6本と余剰の先頭車をVVVFに改造した6連×1本が存在する。)
芝山鉄道
3600形(京成3600形をリースされた。)
新京成電鉄
8000形(3次車 (8506F) 以降、2次車までは抵抗制御、また現在全列車がIGBT素子のVVVFインバータ制御に改造されている。)
北総鉄道
7000形(全車廃車)
9000形
京浜急行電鉄
1500形 1500番台・1600番台で採用。1700番台ではGTOサイリスタ使用のVVVFインバータ制御が採用されている。また現在1600番台の一部が順次IGBT素子のVVVFインバータ制御に改造されている。
デト17・18形(事業用車。)
デト11・12形(事業用車。)
東京急行電鉄
8590系
8090系
8500系
8000系(世界初、全車廃車)
京王電鉄
7000系(現在は全車IGBT素子のVVVFインバータ制御に改造)
6000系(1次車は抵抗制御、営業用車両は全車廃車)
3000系(第9編成までのデハ3000形・デハ3050形は抵抗制御、全車廃車) 第16編成以降とデハ3100形は新製時から界磁チョッパ制御。第10 - 15編成は界磁抵抗制御から改造。
小田急電鉄
8000形(現在順次IGBT素子 (IPM) のVVVFインバータ制御に改造中)
9000形(全車廃車)
西武鉄道
2000系(モハ2197・2198はVVVFインバータ制御)
東武鉄道
10000系・東武10030系 超多段式バーニア制御を併用することで加速の衝動を減らした。
(10030系の一部はvvvfに改造。)
伊豆急行
8000系(元東急8000系) JR伊東線に乗り入れるため、JR線内を走行する唯一の界磁チョッパ制御車である。
岳南鉄道
7000形(元京王3000系)
8000形(元京王3000系)
名古屋鉄道
1000系
1030系(1230系は界磁位相制御)
1200系
5700系(モ5750形とモ5850形のペアのみ、モ5650形は、界磁添加励磁制御)
6500系
新5000系(上記1000系の機器流用車)
近畿日本鉄道
1200系 一部車両は抵抗制御の2410 (2430) 系車両と編成を組んでいる。
1400系
2050系
6600系
8810系
9000系
9200系
阪急電鉄
2300系(改造で取り付けられた。またC#2311およびC#2331は電機子チョッパ制御)
6300系6330F(2009年11月に廃車)
7000系(アルミ車は順次IGBT素子のVVVFインバータ制御に改造)
7300系(C#7310のみVVVF制御車、順次IGBT素子のVVVFインバータ制御に改造)
阪神電気鉄道
3000系(改造で取り付けられた。全車廃車)
8000系
南海電気鉄道
8200系(IGBT素子のVVVFインバータ制御に改造(6200系50番台化)され形式消滅)
9000系(バーニア制御併用)
余談
大手私鉄では相模鉄道、京阪電気鉄道、西日本鉄道は電機子チョッパ制御を含めてチョッパ制御の採用例が一切ない。特に京阪は「技術の京阪」の異名を取るように回生ブレーキをいち早くから採用(回生ブレーキ、常用回生ブレーキともに日本初採用)するなど、チョッパ制御では必需となる直流複巻電動機については戦前から採用し長年使い慣れているにも係わらずである。これはチョッパ制御の開発・普及期と京阪線の昇圧(1983年 大手私鉄の幹線系路線では最後)対応が重なったために、事実上採用が不可能だったというのがある。そのかわり、昇圧に即応可能な界磁位相制御を採用している。