ある言葉にいくつかの方言がある、統一して正式な、基本の言語として表す言語。
英語
名目上にはRP、クイーンズイングリッシュと呼ばれる、イギリス英語の上流階級の発音が標準語として認識されている。RPはサセックス周辺地域の上流階級の方言に端を発しているとされるが、諸説ある。
しかし第一次世界大戦以降は米国の影響力が上がったため、ハリウッド映画等で発音を学んで米国式発音をする人も多いほか、"centre" "colour"などの英米で微妙に異なる綴りに関しては米国式に倣うことが多くなっている。
日本やフィリピンでは歴史的な事情で最初からアメリカ英語で英語教育が行われており、アメリカ英語を標準のように考える国民が多い。もっとも日本人にとっての英語とはEngrishであり、アメリカ英語かイギリス英語かなどという問題は蛇足に過ぎない。
日本語
近代以降は東京弁の一種である山手方言が標準語の原型となっている。現代ではテレビの影響が大きい。
実際に首都圏の人々の言葉が使っているのは標準語でもなんでもなく、若年層の間では同じく東京弁である首都圏方言が台頭しており(敬語表現が衰退、「ない」→「ねえ」などのぞんざいに聞こえる音韻の変化など)、古典的山の手言葉は死に体である。首都圏では首都圏方言こそが標準語であり、自分たちは全く訛っていないと誤認する人間がいるが実際は方言化している。
このため、方言を恥じる地方出身者の方が、ある種の第二言語として「正しい標準語」を学んでいる現状がある、首都圏出身者以上に標準語をマスターしていることが多いという逆転現象が生じている。
むしろ、山手方言の複雑な敬語表現の多くは京言葉からの借用であり、京都出身者などがアクセントを京阪式から東京式にコンバートすることさえできれば山手方言以上に山手方言らしい非常に丁寧な言葉遣いを身に付けることができる。
就職活動や冠婚葬祭などでは、「正しい標準語」を話すことが特に求められる傾向が強かったが、お笑い芸人等の活動により、かつてのように方言を恥じる風潮は減ってきている。ネットでも関西弁が流行中。
地方出身でアクセントが抜けないからと、近畿地方などの出身者がアナウンサーや声優への道を、チャレンジもせずに諦めてしまうこともあるが、実際にはこういった事情により、本来東京弁とは全く異なるアクセントを母語とする地方出身者が、正しい日本語を話すことを強く話すことが求められるアナウンサーや声優などの職業に従事し、首都圏出身者以上に活躍している例も少なくない。こうした現場では、首都圏出身者よりも教養のある地方出身者の方が有利になる場合が多々ある。
地方標準語
同一道府県内においても意思疎通が困難なほどの方言差がある地域では、その道府県内のみで通じる方言の標準語が形成される場合がある。代表的な例に、青森県における津軽弁や、北関東における首都圏方言、近畿地方における関西標準語、鹿児島県における鹿児島弁や沖縄県におけるウチナーヤマトグチがある。
国際標準語
多数の言語話者が集う国際社会で円滑なコミュニケーションを行う上で用いられる標準語である。
かつてはラテン語がその地位を担っていたが、もはや死に体と化して久しい。
日本を含む東アジアでは、漢文を用いた筆談がその役目を担っていたが、ベトナムと韓国が漢字を廃止したほか、日本と中国もそれぞれ独自に字体を簡略化してしまったため、もはやその機能を有していない。
21世紀現在では英語が、公式な場でも非公式な場でも事実上その地位を独占している。
ただし、公式な場ではいまだにイギリス英語が標準語として用いられることが多いのに対し、非公式な場ではよりフランクに話せるアメリカ英語が好まれる傾向が強い。
欧州ではブレグジットの影響もあって英語の地位は相対的に低下しており、フランス語が非常に好まれる。特にフランス人は英語を話すことを嫌う傾向が強く、欧州ではフランス語はどこへ行ってもそれなりに通じる汎用性の高い言語である。
イスラム文化圏ではアラビア語が広く通じ、アラビア語を母語としない地域でもアラビア語を理解できる人間を見つけることは、英語を理解できる人間を見つけることに比べて遥かに容易い。ただし、アラビア語は各地での訛りが非常に強いため、意思疎通に支障を来す場合が起こりやすいことには留意すべきである。
中南米は軒並みスペイン語とポルトガル語の文化圏であり、両言語は相互に意思疎通が可能なほど似通っているため、スペイン語も汎用性が非常に高い言語である。
かつてはエスペラント語などの習得が容易い人工的な国際標準語の導入も試みられたが、成功した事例は存在しない。