概要
- 「accent」言語において、単語や文節に音の強弱や高低をつけること。
- 声優事務所のひとつ。付属の養成所に「シャイン」がある。なお、こちらのアルファベットの綴りは「aksent」。⇒アクセント(声優事務所)
言語学のアクセント
アクセントには音の強弱(stress)によるものと高低(pitch)によるものがあり、日本語や中国語は高低、英語やスペイン語は強弱を使用する。強弱アクセントで強く発音することを強勢(stress)と呼ぶ。
中国語やタイ語などのアクセント体系は声調(tone)と呼ばれ、1つの音節内での音の高さが変化する。広義には複数の音節でも高さが変わるタイミングが決まっていない場合も声調に含まれる。
ちなみにイントネーションは文単位での音の変化を意味する。
日本語のアクセント
日本語のアクセントは大まかに分けると「高→低」「低→高→低」「低→高」の3種類があり、「高→低→高」というパターンは1つの単語としては原則として存在しない。もちろん複合語や固有名詞などでは例外あり。
日本語のアクセント体系には曖昧なものを除いて以下の種類がある。ただしその前に日本語のアクセントについて理解するためにはアクセント核の概念を知っておくことが必要不可欠である。アクセント核とは音が低くなる直前の拍を意味する。例えば「くだもの」なら一般的なアクセントは「低高低低」なので、2拍目の直後で低音に変わるためアクセント核は2拍目である。アクセント核がない単語もあり、その場合は後ろにつく付属語(助詞・助動詞)も高音になる。アクセント核がある単語は後続の付属語は低音になる。
この分類はあくまでもアクセントのルールによる分類なので、例えば同じ東京式アクセントでも地域によって単語のアクセント核が異なる場合がある。
東京式アクセント
関東だけでなく日本の広い地域で使われている。1拍目が高音のときは2拍目が低音となり、1拍目が低音のときは2拍目が高音となる。(長音や促音などが使われている場合は例外あり) アクセント核の位置によって単語のアクセントを表すことができる。例えば「箸」は1拍目、「橋」は2拍目にアクセント核がある。「端」にはアクセント核がない。地域による変化が著しく、「内輪式」「中輪式」「外輪式」の三種類に大別される。
内輪式
名古屋弁や岡山弁などに使われる。一部の語彙において、高低パターンが京阪式に似る。
中輪式
外輪式
東北弁や博多弁などで使われる。東京弁のうち、所謂ギャル語などの首都圏方言は、中輪式でありながら外輪式の影響を多分に受けている。津軽弁などで使われる変種はとりわけ北奥羽式として、さらに細分化される。
京阪式アクセント
関西や四国を中心に使われている、非常に複雑なアクセント体系。アクセント核の位置に加え、1拍目が高音か低音かによっても区別する。東京式とは違い1拍目が低音でも2拍目が高音とは限らず、1拍目が高音でも2拍目が低音とは限らない。1拍目が低音でアクセント核が1拍目というのは矛盾するので存在しない。1拍目が低音のときは高音に変わるタイミングは決まっておらず、アクセント核までに高音に変わればよい。このため広義には声調の一種と捉えることもできる。
京阪式アクセントの分布域の周辺には、以下の変種アクセントが分布する。これらを京阪式アクセントに含めるのか、京阪式とは似て非なる別のアクセント体系とみなすのかは言語学者により見解が異なっている。
垂井式アクセント
美濃弁、富山弁、但馬弁、舞鶴弁などで用いられる。言語学者によっては内輪東京式の変種とみなす場合もある。
基本的な高音・低音の位置は京阪式に準ずるが、東京式アクセントと同様に1拍目の高音・低音を区別しないアクセント体系で、東條希の話し方が比較的近い。東京式アクセントの話者が後天的に京阪式アクセントを学習した場合、垂井式アクセントに極めてよく似たアクセントを話すようになる傾向があり、本来東京弁アクセントであった地域が、中央との人的交流の中で京言葉を真似るうちに派生したアクセントであるとされる(鉄道の開通による京阪人との交流活発化で、東京式アクセントから垂井式アクセントに変化した実例もある)。
関西弁のように聞こえるが、非ネイティブでもどことなく違和感を感じる話し方であり、加えて認知度が低いことから「エセ関西弁」としていじめの原因になることもあった。このため、岐阜県西濃地域を中心に認知度の向上と保存を目指す運動が盛んに行われている。垂井式アクセントのうち、後述するゆすりアクセントを併用するものは、加賀今庄式アクセントとしてさらに細分化される。
讃岐式アクセント
讃岐弁およびその周辺で用いられる、最も複雑で非ネイティブの習得が困難なアクセント体系。中近世まで京阪地域で使われており、現在の京阪式アクセントの元になった古いアクセント体系(すなわち、古文のアクセント)が、周縁部で独自変化しながら局所的に保存されたものである。そのため、古文において「低・低」型で読まれる「山」「川」などの単語が「高・高」型で読まれるなど、似ているものの全く同一ではない(ちなみにこれらは京阪式では「高・低」、東京式では地域にもよるが、概ね「低・高」型で読まれる)ものの、歴史的価値のあるアクセント体系であると言えよう。
一・ニ型アクセント
二型アクセント
熊本県・鹿児島県・沖縄県などで使われる。最後を高く発音するタイプの単語と最後から2拍目を高く発音するタイプの2種類しかない。後ろに付属語がつくとアクセントも後ろに移動する。
一型アクセント
宮崎県都城市およびその近隣でのみ用いられる。二型アクセントに似るものの必ず文節末を高く発音し、アクセントが分節を弁別する機能しか有さない。二型アクセントがさらに二種類のタイプの区別を失って一種類化したアクセント体系である。
無アクセント
栃木県・茨城県・福島県などで使われる。アクセントの概念が存在しないため、同じ単語でもアクセントが一定しない。一型アクセントがさらに分節の弁別機能さえ喪失したアクセントとの説が主流であるが、地理的に隔絶しているため異論もあり、詳しい発達過程は解明されていない。同音異義語の多い日本語においてはアクセントによる語彙や分節の弁別機能を欠くことは著しく不便であり、空気を読む力が強く求められる方言体系である。そのため、若い世代では外輪・中輪東京式アクセントへの移行が激しく、近い将来消滅すると予想されている。
間投イントネーション(ゆすりアクセント)
近畿北陸方言の日本海側諸方言(≒北陸弁)に見られる特有のアクセント。同一長母音の中で中国語の第三声同様に音がうねるように上下し、こぶしをきかせたようにうねるアクセントである。上述の各種アクセントとは異なり独立したアクセント体系ではなく、垂井式アクセントや東京式アクセントと混じって使用される。
近畿地方の各方言では舞鶴弁や近江弁の一部を除いて衰退しており、もっぱら北陸地方にのみ現存する。
外国語のアクセント
中国語
中国語のアクセントは声調というもので、1音節内で音の高さが変化する。声調には4種類あり、このほかにも短く弱く発音される軽声というものがある。第三声が連続する場合は前の音が第ニ声に変わる。
- 第一声 高い音
- 第ニ声 上がる音
- 第三声 低い音 厳密には少し下がって少し上がる。
- 第四声 下がる音
スペイン語
音の強弱でアクセントを表す。
スペイン語では単語の綴りを見ればほぼ例外なくアクセントを特定できる。
- 母音,s,nで終わる単語は後ろから2番目の音節を強く発音する。
- それ以外の単語は最後の音節を強く発音する。
- この法則に当てはまらない単語はアクセント記号が書かれている。
タイ語
タイ語には5種類の声調がある。しかし、声調記号と声調が1:1で対応しているわけではなく、声調記号と文字の組み合わせで決まるため大変ややこしい。
関連タグ
同音異義語:文字で表記しない場合はアクセントの違いで区別している。
文化摩擦:上記が要因の一つとなって引き起こされる異国民間のバッドコミュニケーション。