プロフィール
概要
現段階では、担当声優の丹下桜氏が公式ブログで『Fate/Grand Order』において演じる役の1つとして「マザーハーロット」を挙げた(現在は削除されている)だけで、どのような姿になるのか等の詳細情報は不明。
「マザーハーロット」は『Fate/EXTRA』ドラマCD「帰ってきた!ブロッサム先生! 狐沌編」においても言及されている。
「どうせ、この技を使えばセイバーが黒化…
マザーハーロット的な666の獣になって、
マスターに愛想を尽かされると思ったのだろう?」
と発言するくだりである。しかしFGO本編や関連作品でこの名称が出た事はない。
公式的には『バビロンの大淫婦』(☆4ネロ・クラウディウスのプロフィール6、書籍『Fate/Grand Order material V』BB解説ページ)という名称が使用される。
「バビロンの大淫婦」の設定
現時点では「バビロンの大淫婦」がどのような種別の存在かは明確ではない。
前述の書籍版FGOマテリアル5巻のBBのページにある「黄金の杯」の説明文では「バビロンの大淫婦」は「ローマ帝国の化身」と記されている。
☆4ネロのマテリアルによると、彼女は生前の行いの為に「バビロンの大淫婦と同一視されたというが……?」とされている。
一般的にはネロと同一視されるのは『ヨハネの黙示録』13章1節で登場する、十の冠を被った黙示録の獣のほうである(「皇帝ネロ」のギリシャ語表記をヘブライ文字に置き換えてからゲマトリアで解して数字に変換すると、この獣の名であり、人間を表わすとされる獣の数字666と同じになるため)。
なお、『Fate/EXTRA-CCC』のゲーム内で開示される「マトリクス」における、BBが持つ「支配の錫杖」の解説文では、 この獣の七つの首が「ローマの七丘」の象徴で、十本の角がネロ帝を含む歴代ローマ皇帝の象徴という説が採用されている。FGOにおけるBBマテリアルの「十の王冠」スキルの箇所では十の冠が「悪しき十人の王」の象徴と記されている。
真名と正体をめぐる疑惑
この存在の元ネタである大淫婦バビロンの記事にも書かれているように、大淫婦バビロンが乗る獣のモチーフの候補には、キリスト教を迫害した歴代ローマ皇帝も挙げられている。
特に5代皇帝ネロは、「ローマの大火」の際に放火犯・火事場泥棒としてキリスト教徒を激しく弾圧したと伝えられていることから、キリスト教徒から「ローマ帝国における暴君の代表格」として扱われており、時に「悪魔などの反キリスト的存在はネロの姿で現れる」と言われることもある。
こうした事情に加え、FGO内でもネロをめぐって
- キャス狐がネロに対して「一歩間違えれば悪に堕ちてしまう危うい所がある」と述べている。
- 第1部第二章やマリーの幕間の物語「白百合の王妃と薔薇の皇帝」において、ネロに原因不明の不自然な魔力上昇が見られ、ただの人間であるはずの彼女がサーヴァント並みの戦闘能力を手にした。
- 同じく第二章にて、アレキサンダーがネロに対して「君は魔王にだってなれる」と発言した。
- ネロの幕間の物語「幾たび、終幕を迎えても」にて、ネロが最期を迎えた荒野に出現した彼女の亡霊が倒された際、「ああ…聞こえる…都の嬌声…六番目の…」と言う台詞を口にした。
- ネロ・クラウディウス(水着)のスキル「夏に夢を:A」が消失し「七つの冠:C」が追加されていること
- ネロ・ブライドの強化クエストに登場したエネミーは黙示録の獣を示唆する七つ首のおろちとビーストIIIであった殺生院キアラとカーマであった。
など、彼女のまだ見ぬ側面を示唆するような場面が度々描かれており、プレイヤーの間では『FGO』におけるバビロンの大淫婦はネロが黒化、もしくはそれに近い姿であり、これら数々の不穏な描写も彼女がバビロンの大淫婦へと堕ちるフラグではないかとも噂されている。
なお、過去にネタとして『コハエース』の作者の経験値氏が、666の獣に乗ったネロをバビロンの大淫婦として描いたものがあったりするが、この姿は当然ながら公式設定ではない。
また、ろび~な氏が作画を担当しているコミック版『フェイト/エクストラ』で、主人公に自らの真名と過去の話を告白した際に、「バビロンの妖婦と罵るがよい」と、自棄になった台詞があるため、彼女の反転した暗黒面として存在する可能性はゼロではないようにも思える。
更に、上記の亡霊のネロの台詞から、もし仮にバビロンの大淫婦=ネロだった場合、ビーストⅥ(6)として顕現すると思われる。ビーストⅥがスキル「ネガ・メサイヤ」(=反・救世主)を所持しているらしい事も判明している為、可能性は少なくない。
また、ネロの愛が何もかもを与える代わりに何もかもを奪うものであったが故に、人々に理解されなかった点は、ビーストの『その悪性の本質が人類愛』という特徴に一致している為、彼女にビースト適性があっても何らおかしいことではない。
2019年7月に開催されたイベント「ぐだぐだファイナル本能寺2019」の後半戦「オルタ戦線」ではこの時点では反転形態がいないにもかかわらずお試しオルタということで登場していたが……?
秋恒例のネロ祭が2018年にギル祭となったのは「バビロンの妖婦」に引っ掛けた伏線とする説もある。相方とされるビーストが登場する後述のFate/prototypeにもギルガメッシュが登場しているのが特徴。
後述のバビロンの大淫婦が跨る獣に自分の力と位と大いなる権威を与えた(『黙示録』13章2節)とされる存在が「赤い竜」である。この竜は『ヨハネの黙示録』12章9節においてサタンとされる。
また、Fate/EXTELLAにてネロはアフロディーテを呼び寄せてセイバー・ヴイナスとなったわけだが、アフロディーテは金星の神とされる事、ネロの第三再臨/ヴイナスのレリーフにルシファーの保有する罪『傲慢』の象徴であるライオンが採用されていた事から赤い竜=サタンと同一視されるルシファーとも関係がありそうである。
『バビロンの大淫婦』と言う名詞を冠する事から、アフロディーテの起源で同じく美と金星の神とされるイシュタルと関連付けされる事もあるが、詳細は不明。後述にもあるが、別の世界線では、平行世界のギルガメッシュが、獣を呼んだ少女の事を、「イシュタルが重なって見える」と発言しており、確かに淫婦バビロンは、黙示録の獣に乗って現れたという伝説があるが、ギルガメッシュの発言は、これと何か関係があるのかもしれない。
また、上記のアフロディーテと同じくイシュタルも金星の神であるため、同じようにネロが、イシュタルを呼び寄せて、バビロンの大淫婦たる姿になるのではないかという考察も立てられている。
因みにイシュタルの依代している人物の姿から、彼女もあかいあくまと称されることもある。
ただしイシュタルと関連付ける場合、淫婦バビロンよりも、それを元にしたとされるババロンとなることが多い。
全くの余談ではあるが、蘆屋道満が屍山血河舞台下総国にて『ルチフェロなりしサタン』の存在を示唆している。(もっとも、この『ルチフェロなりしサタン』の正体は……)
ちなみに、アーサー王伝説などブリテンの伝承に登場する赤い竜の起源はローマ帝国が軍旗に使っていた物をブリテンに持ち込んだものとされており、異世界のアーサー王が第6の獣と対峙するのは必然だったのかもしれない…。
外部出演(?)
『Fate/Prototype蒼銀のフラグメンツ』最終回にて「沙条愛歌が6騎のサーヴァントの魂と数多の少女の生贄で現界させようとしていた怪物」について地の文が「充分に成長すれば7つの頭と10本の角を持つだろう」と述べており、実際に「ママ」である愛歌が死亡した事で暴走して無理矢理現界した際にそれに近い姿を手に入れている。
上記の通り、伝承における「バビロンの大淫婦」が跨る獣に近い姿を持つこの怪物については「ビースト」と呼ばれているが、この記事で取り上げている存在と同一個体なのかは不明。
アーサーが追跡しているモノは、ビーストⅢ/Rと同様の対の概念を持つ半身型のビーストらしく、その2体を追跡している。仮にアーサーがかつて倒したビーストとその上に跨る妊婦が揃えば、伝承通りのバビロンの大淫婦と成り得るため、ビーストⅥはLとRで構成されているものかと思われる。
『Fate/EXTRA Last Encore』の真の年代は2030年ではなく、西暦3020年。約1000年が経過し厳密に言えば999年後であり、その数字をひっくり返せば666となる。
『Fate/Grand Order Arcade』第一部第七章臨界繁栄都市バビロンのボスとして、ネロと容姿が似通い「黄金劇場」の名を冠した宝具を使用する妖妃ドラコーが登場。2021年度年末特番でも取り上げられた。
しかし姿や能力の一端が明らかになっただけであり、その真意について不明な点も存在する為、真の最終決戦まで彼女の真実はお預けとなった。
余談
水着ネロのスキル名にあるように「七つの冠」を被ると『ヨハネの黙示録』本文で明記されているのは、大淫婦でも獣でもなく、12章3節に登場し、獣と同じく「七つの頭と十の角」を持つ赤い龍(サタン)である。
ただし、大淫婦がまたがる獣も冠を被る、という解釈で書かれた絵も古くから存在している。有名な例ではルター訳新約聖書の挿絵がある。
女神転生シリーズの「マザーハーロット」もこれを引き継ぎ、七つの頭に七つの冠を乗せている。マザーハーロットは同シリーズの『真・女神転生Ⅲ』が初出のワードである。
関連項目
マスターテリオン(Fate):“LとR”でペアになる存在とされる。