概要
インターネットやセミナーで、自分の経歴や人脈を過剰演出し、パッと見はスゴい人のように思えるが、実際の経歴や活動は大したことない人々のことを差す。
一般的には若者や大学生と定義されがちだが、中高年にも適用される。
「意識高い系」の行動パターンの例
- 基本的に上から目線で、自分の主張に合致しない人間を遠回しに見下す。
- 自分のプロフィールを盛る。せいぜい遊びレベルの体験談や誰もが通るような経験も、大言壮語で虚飾する。
- TwitterやFacebookといったSNSで「俺は他とは一味違う」「物事を達観して見ている」的な発言を連発する。なのに自己啓発本やビジネス雑誌の受け売りで底が浅く、ピントがズレがち。
- SNSのプロフィール画像がキメ顔の自撮り。
- 「仕事を楽しむ」「ピンチをチャンスに」といった逆張りな考え方が好き。酷い場合は「趣味を捨てれば仕事の効率が上がる」「社畜道」のような滅私奉公を礼賛する主張を始める。
- 病気や親ガチャといった自身では解決できない問題すら「甘え」と断じる謎のポジティブ思考。
- 聞いてもいない自分語りが多い。大学や前職での経験、そこから学んだこと、座右の銘、人生訓といった話で勤勉アピール。役職も添えて高地位を強調したがる。
- 人脈を必要以上に自慢する。SNSで相互フォローしただけとか、ちょっと会っただけの人も人脈にカウントして水増し。
- 数字や英語の表記が好き。
- 外国語の常用外単語を多用する(コミットメント、アウトプット、レジュメ、オポチュニティなど)。あまりに多用すると日本語が崩壊し何が言いたいのか分からなくなる。
- ビジネススーツと整髪料を好む。ネクタイは派手な色が基本。
- 海外旅行に行って価値観が変わったと発言。
- 日用品を海外高級ブランドや環境保護系ブランドで揃える。
- 自動車は欧州車を好む。
- サブカルチャーをジェンダー論の立場から解説する。
- 「日本の大学はレベル低い」「欧米では~」など、何かと海外(特に欧米)を引き合いに出したがる。
- 有名な経営者や偉人・有名人の意識が高そうな名言を引用する。
- ビジネス本の表紙等をSNSにアップしてドヤる。
- どのメディアかにも寄るがマスコミ受けは良いので、少なくともTVとネットどちらかのニュースで好意的に報道されやすい。逆に報道のせいで意識低い系にいじめの矛先が向き、そのとばっちりを食らう。
自己や社会をより高めようと行動する「意識が高い人間」とは違い、「意識高い系」の本質は「自分磨きをアピールして周囲から賞賛を浴びたい」「自分は有能だと思われたい」といった自己顕示欲に過ぎない。
たとえ話で言うと「意識が高い人間」は勉強する際、最適な参考書を買って勉学に打ち込み、好成績を修めるという結果を生み出す。そして上には上がいることも自覚する。
「意識高い系」は見栄えの良い参考書を買って周囲に「勉強してまーす」とアピールするものの、好成績を修めるという結果を生み出せない。そして「別の何かを学べたから良かった」と言い訳的に自己満足する。
結果を出すための行動よりも自己顕示欲や承認欲求が先行し、自己アピールだけが独り歩きするという本末転倒になった状態である。
本来、意識を高めるといった行動は悪いことではなく、むしろいいことなのだが「意識高い系」は努力の方向が間違っている。
また本当に正しく自己研鑽をして結果を出している人は「意識高い系」とは言われないのだが、その場合でも自己アピールが過剰で鬱陶しい場合はやはり揶揄される。
本当に意識が高いのか意識高い系なのか区別するするのも難しい。少し目立つだけで意識高い系認定し冷笑してくる人もいる。また、現状の自分を安心させるために意識高い系批判する人間もいる。
努力する時は他人の目線を過剰に気にしないこと(あるいは自分を売り込みたい場合は相手の気持ちや市場を意識して上手くアピールする)、そして誰かの言動をいちいち気にしすぎない事で、「意識高い系」というワードに振り回されることはなくなるだろう。
「系」という字に揶揄の意味が込められているが、さらに強調して(笑)が付け足されることもある。
映像化
「意識高い系」がピックアップされたことにより、2015年3月3日~4月21日までNHKテレビドラマ『その男、意識高い系。』が放映された。
内容としては主人公の中堅女子社員が、意識だけ高いが中身が伴わない新入社員に振り回されるビジネスコメディー作品。林遣都による絶妙にウザい演技で話題となった。
作中において『意識高い系』とは「夢や理想を語り一見優秀に見えるが、自らの価値を世に認めさせることが最優先で実力と行動が伴わない、非常に惜しい人間」と説明された(ただ世間的にはNHKも十分意識が高い部類ではあるのだが…自虐ネタだろうか?)。
アニメ化もされているライトノベル『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』に、海浜総合高校の玉縄生徒会長というキャラが登場するのだが「意識高い系」キャラで企画をまとめきれず迷走させてしまっている。
経緯
多くのネットスラングの例に漏れずこの言葉の発生源は定かではない。
もともと就職セミナーなどの「意識の高い学生の集まるイベント」という謳い文句から派生し、就職活動に対してズレた努力をする学生を揶揄して生まれたようである。
過去の若者の運動が社会に対していかに反抗しているかを誇ったのに対して、意識高い系は社会にたいしていかに従順かを誇るのが大きな特徴である。
2013年ごろから特に流行した。その頃に意識高い系が目立つようになった背景として、
- SNSが発達した影響。SNS特有の環境による影響。
- 不況による就職難が続いたことにより、就活がズレた方向に行ってしまった。
- 当時の若者世代(平成初期生まれ)が過ごした学生時代の環境が影響している。「個性を伸ばせ」「不況でお前らの将来は厳しいぞ」「ルールを守れ、長いものに巻かれろ」などと教育され続けた結果。
など様々な分析がされてきたが、ハッキリした要因はわからない。
「意識高い系」になる原因は結局のところ個人個人それぞれ。
もともとの性格なのかもしれないし、発症が遅い中二病なのかもしれない。
2013年頃ではあくまで特異な存在として知られていたが、その後2010年代後半になると「ジェネレーションZ」なる用語によって「今の若者はみんな意識が高い、時代はSDGs、ジェンダー、ダイバーシティ」などと喧伝されるようになった。
しかしこの「ジェネレーションZ」は、西欧ネオリベラルメディアが西欧の若者に対して「こうあってほしい」と願う言説をそのまま輸入しただけの概念であり、やはり願望の粋を出ておらず日本の若者の実態を表しているとは言い難い。
関連タグ
目立ちたがり屋 自己顕示欲 承認欲求 承認欲求モンスター 口だけ 偽物 Twitter ソフィスト
DQN:対抗して「意識低い系」という声も
Apple_Inc.:意識高い系と言われる人間は何故かApple製品を使用している事が多い。旧来からのマカーからすると甚だ迷惑極まりない。
スターバックス:Appleと並んで何故か意識高い系の御用達である。実際店舗が出来ない自治体が意識高い系の差別対象になっている。
ブルーボトルコーヒー:ブルーボトルに関するとあるつぶやきが意識高い系の象徴とされた。現在はネスレが買収。
自意識ライジング 自意識過剰 ナルシスト 虚栄心 ネットビジネス マナー講師
海馬瀬人:「意識高い系(物理)」or「意識他界系」
阪急電鉄:2019年に電車の車内広告を意識高い系ビジネスのものに統一した結果、あまりの上から目線かつ非現実的な内容が通勤客の怒りを買いネットで炎上。対象の編成はすぐに運行が停止され、車内広告を剥がす事態になった。
品川駅:2021年にコンコースの液晶モニターに意識高い系ビジネスの標語を表示した結果、これまた炎上。すぐに表示を中止する措置をとった。