概要
東京競馬場で開催される、芝1600mの国際GⅠレース。出場資格はサラ系3歳以上(1995年までは4歳以上)。
1951年、後述する安田伊左衛門の功績を称えて、日本競馬史上初の古馬マイル重賞として
「安田賞」の名称で創設。1958年、安田の死去に伴い現名称に改称した。
創設以来、長らくハンデキャップ重賞として施行されていたが、1984年(昭和59年)、定量戦に変更されると共にグレード制導入でGⅠに格付けされ、新設されたマイルチャンピオンシップと並んで、春のマイル王決定戦となった。当初の開催時期は5月中旬(現在のヴィクトリアマイルの週)で、優駿牝馬の前の週に行われていた。
1993年から国際競走となり、1995年ハートレイクが外国調教馬として初優勝。
1996年、高松宮杯のGⅠ昇格、NHKマイルカップの新設に伴い、日本ダービー翌週の6月上旬の開催に変更。
春のマイル王者決定戦という位置づけであるが、スプリンターや中距離馬の参戦も少なくない。前者は高松宮記念以外に春のGIタイトルがなく、かつレース間隔が空いているため、後者は2017年に大阪杯がGⅠに昇格する以前は春競馬のレース体系やローテーションの都合上中距離適性の有力馬にとって狙い目となり得るためである。実際にニホンピロウイナーやブラックホーク、ロードカナロアのようなスプリンターや、ウオッカやジャスタウェイなどの中距離馬がマイラーを差し置いて優勝するケースも時折見ることが出来た。
1999年までは堅いGⅠの1つだったが2000年から傾向が一変し、一気に荒れる事が多いGIへと変わっていった。
安田伊左衛門について
本レースの名前の由来である安田伊左衛門とは、日本の陸軍軍人・政治家(1872 - 1958)。
陸軍騎兵戸山連隊時代より競馬会発足に参加し、政治家転身後も、戦前から競馬法制定や日本ダービーの創設などに貢献したことから、「日本競馬の父」と讃えられる人物である。
1938年(昭和13年)に日本競馬会会長に就任。その後戦時期を越えて1948年まで日本競馬会の会長を務めた。
1954年(昭和29年)、日本競馬会の後身である日本中央競馬会が設立され、安田はその初代理事長に就任。翌年、有馬頼寧に第2代理事長就任を要請して自らは顧問に就任。
1958年、86歳で死去。
東京競馬場パドック脇に胸像が建立されている。
2022年は安田伊左衛門生誕150周年にあたり、安田伊左衛門生誕150周年記念の副題を付して安田記念が施行された。
また、安田は二男四女の子をもうけており、その子孫が現在も安田記念に招待されていると言われる。
競走条件
出走資格:サラ系3歳以上(出走可能頭数:最大18頭)
JRA所属馬
地方競馬所属馬(出走資格のある馬のみ)
外国調教馬(優先出走)
負担重量:定量(3歳54kg、4歳以上58kg、牝馬2kg減)
出馬投票を行った馬のうち優先出走権のある馬から優先して割り当て、その他の馬は「通算収得賞金」+「過去1年間の収得賞金」+「過去2年間のGI(JpnI)競走の収得賞金」の総計が多い順に割り当てる。
優先出走権
外国馬、およびレーティング順位の上位5頭(牡馬・セン馬は110ポンド、牝馬は106ポンド以上であることが条件)は本競走に優先出走できる。
JRA所属馬・地方競馬所属馬は同年に行われるマイラーズカップ又は京王杯スプリングカップで1着となった馬に、優先出走権が付与される。
上記のほか、高松宮記念及び大阪杯の2着以内馬(本競走とヴィクトリアマイルのいずれかを選択)・NHKマイルカップの3着以内馬・ヴィクトリアマイルの2着以内馬も本競走に出走できる。
また、指定された外国の国際G1競走(2歳G1は除く)優勝馬、地方競馬のダート交流GI・JpnI競走(2歳GI・JpnIは除く)優勝馬にも出走資格が与えられる。
歴代優勝馬
回次 | 年 | 馬名 | イラスト |
---|---|---|---|
昭和時代 | |||
第1回 | 1951年 | イツセイ | |
第2回 | 1952年 | スウヰイスー | |
第3回 | 1953年 | スウヰイスー | |
第4回 | 1954年 | フソウ | |
第5回 | 1955年 | クリチカラ | |
第6回 | 1956年 | ヨシフサ | |
第7回 | 1957年 | ヘキラク | |
第8回 | 1958年 | ラプソデー | |
第9回 | 1959年 | ヒシマサル | |
第10回 | 1960年 | オンワードベル | |
第11回 | 1961年 | ホマレボシ | |
第12回 | 1962年 | トウコン | |
第13回 | 1963年 | ヤマノオー | |
第14回 | 1964年 | シモフサホマレ | |
第15回 | 1965年 | パナソニツク | |
第16回 | 1966年 | ヒシマサヒデ | |
第17回 | 1967年 | ブツシヤン | |
第18回 | 1968年 | シエスキイ | |
第19回 | 1969年 | ハードウエイ | |
第20回 | 1970年 | メジロアサマ | |
第21回 | 1971年 | ハーバーゲイム | |
第22回 | 1972年 | ラファール | |
第23回 | 1973年 | ハクホオショウ | |
第24回 | 1974年 | キョウエイグリーン | |
第25回 | 1975年 | サクライワイ | |
第26回 | 1976年 | ニシキエース | |
第27回 | 1977年 | スカッシュソロン | |
第28回 | 1978年 | ニッポーキング | |
第29回 | 1979年 | ロイヤルシンザン | |
第30回 | 1980年 | ブルーアレツ | |
第31回 | 1981年 | タケデン | |
第32回 | 1982年 | スイートネイティブ | |
第33回 | 1983年 | キヨヒダカ | |
第34回 | 1984年 | ハッピープログレス | |
第35回 | 1985年 | ニホンピロウイナー | |
第36回 | 1986年 | ギャロップダイナ | |
第37回 | 1987年 | フレッシュボイス | |
第38回 | 1988年 | ニッポーテイオー | |
平成時代 | |||
第39回 | 1989年 | バンブーメモリー | |
第40回 | 1990年 | オグリキャップ | |
第41回 | 1991年 | ダイイチルビー | |
第42回 | 1992年 | ヤマニンゼファー | |
第43回 | 1993年 | ヤマニンゼファー | |
第44回 | 1994年 | ノースフライト | |
第45回 | 1995年 | ハートレイク | |
第46回 | 1996年 | トロットサンダー | |
第47回 | 1997年 | タイキブリザード | |
第48回 | 1998年 | タイキシャトル | |
第49回 | 1999年 | エアジハード | |
第50回 | 2000年 | フェアリーキングプローン | |
第51回 | 2001年 | ブラックホーク | |
第52回 | 2002年 | アドマイヤコジーン | |
第53回 | 2003年 | アグネスデジタル | |
第54回 | 2004年 | ツルマルボーイ | |
第55回 | 2005年 | アサクサデンエン | |
第56回 | 2006年 | ブリッシュラック | |
第57回 | 2007年 | ダイワメジャー | |
第58回 | 2008年 | ウオッカ | |
第59回 | 2009年 | ウオッカ | |
第60回 | 2010年 | ショウワモダン | |
第61回 | 2011年 | リアルインパクト | |
第62回 | 2012年 | ストロングリターン | |
第63回 | 2013年 | ロードカナロア | |
第64回 | 2014年 | ジャスタウェイ | |
第65回 | 2015年 | モーリス | |
第66回 | 2016年 | ロゴタイプ | |
第67回 | 2017年 | サトノアラジン | |
第68回 | 2018年 | モズアスコット | |
令和時代 | |||
第69回 | 2019年 | インディチャンプ | |
第70回 | 2020年 | グランアレグリア | |
第71回 | 2021年 | ダノンキングリー | |
第72回 | 2022年 | ソングライン |