青眼の白龍
ぶるーあいずほわいとどらごん
「そこが果て無き闇ならば─」
「光の龍を従え闇にも染まろう!」
「青眼の白龍!!」
解説
そして、遊戯王OCG発売から20年以上経った今なお最大の攻撃力を持つ通常モンスターでもある。
このカードの「攻撃力3000」という数値は、シリーズの最強カードやライバルのエースカードの基準数値となっている。
初期では召喚に一切のコストがかからなかったため、名実共に最強のモンスターであった。
その後生け贄(リリース)ルールが制定されて以後長きにわたって不遇な時代を経験し、遊戯王Rでは劇中のキャラから観賞用のカードとまで言われてしまう。
しばらく年月が経過して後、ドラゴン族及び通常モンスターへのサポートカード、更には原作関連要素のテコ入れ(元々遊戯王カードは漫画のなりきりアイテムとして売れた)で直接このカードを指定しての優秀なサポートが登場してきたため、このカードそのものを主役にしたデッキや、ブルーアイズを軸にした専門的なデッキの構築が可能となった。
戦術
OCG第11期現在、青眼の白龍デッキは非ィ環境外であり、ガチデッキにはなれないファンデッキ止まりの立ち位置に置かれている。
2010年代以降の急激なテコ入れによって環境入りしたこともあるテーマだが、再び主流から遠ざかるようになった。
構築の軸としては、
もっともスタンダードな形式である、このモンスター自体やここから派生したブルーアイズモンスターを活用して戦う【ブルーアイズ】型
青眼の白龍の特殊召喚の容易さを活かしてエクシーズに繋げる【ランク8】型や、コンセプトが近いランク8軸の派生としてギャラクシーと組み合わせる型
融合召喚を軸にする【融合】型、および融合型の派生形として種族サポートやシナジーを活かした烙印と組み合わせる【青眼烙印】型、ドラゴンメイドと組み合わせた【ドラゴンメイド】型
ドラゴン族関連の共通項を持つビーステッドと組み合わせた【ビーステッド】型
百檎龍-リンゴブルム と組み合わせた【シンクロ軸】
儀式が軸になる【ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン】型
スキルドレインなどを使用したメタビート系統
などのバリエーションがある。
それぞれの要素同士がオーバーラップして共存することもある。
いずれにせよ、ブルーアイズテーマだけの純構築では環境に太刀打ちできないので、その時々で相性が合いつつ強力な他のテーマのメカニズムも取り入れるのが基本である。
過去には魔導書、HERO、聖刻、征竜、ドラグニティなどとの組み合わせも見られた。
ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの独裁者-や竜の霊廟による墓地落とし、
ドラゴン・目覚めの旋律によるサーチ、
青眼の白龍自体を扱う手段はいくつも用意でき、これらを使って場に出したりジェットドラゴンなどの効果を起動する条件を作っていくのが基本の流れになる。
デッキの持ち味としては、攻撃力3000の打点がポンポンと出せるので脳筋な動きができて楽しい!ことがウリ。
とにかくサーチも墓地落としも特殊召喚も方法が大量にあるので青眼の白龍を出して殴りたい人は満足できるであろう。
原作・アニメでの活躍
初出は「遊☆戯☆王」第9話『牙を持つカード』。
劇中では全部で4枚しか生産されていない(厳密に言うと作中で明言されているのはアニメ版だけではあるが)超がつくレアカードという設定になっている。
武藤遊戯の祖父・双六が友人(アニメDMだとホプキンス教授と紹介されており、孫も登場)からの贈り物として所有していたのが初登場。
それを見た海馬瀬人がアタッシュケース一杯のカードとトレードを申し込むも、あっさりと断られてしまう。その理由は『単に珍しいものだからではなく、アメリカに住んでいた頃の親友から譲り受けた【想い出が詰まった宝物】を簡単に手放せるわけがないだろう? それに、本当に大切なものには魂が宿るんじゃ。海馬君も、このトランクいっぱいに詰まっているカードを一枚一枚大切にしてあげてほしい』と告げると
その場は大人しく引き下がったのだが……
原作だと、遊戯が無理を言って双六から借りて学校に持ってきたところを、カタログからコピーした本物そっくりの偽物とすり替える形で盗み出した。しかし、遊戯にはあっさり見破られ、放課後にそのことを問い詰められるも、「友達を信じられないのかい?」と、後の海馬の言葉からは考えられない嘘で適当にあしらい、それでも引き下がらない遊戯をジュラルミンケースで殴りつけ、横暴極まりない持論を吐き捨てて学校を後にした。
しかし、その後は闇遊戯から真夜中の学校に呼び出されデュエルを申し込まれる。遊戯から盗み出した青眼もあり、絶対に負けない自信もあって挑む海馬。序盤は闇のゲームによるモンスターの実体化に戸惑うも、ミノタウルスと巨大化のコンボで遊戯を圧倒する。しかし遊戯がデーモンの召喚を使ったことで形勢は一気に逆転する。一応デーモンより強いカードはデッキに入れていたらしいが、引き当てる確率の低さもあって、ついに盗み出した青眼をポケットから隠しつつ取り出し、召喚する。
だが、もともと双六のカードだった青眼は、自分を盗んだ海馬を嫌がっていたらしく、その命令を無視しデーモンを攻撃することなく自ら消滅する。
その後は遊戯が死者蘇生で青眼を復活させ、海馬のモンスターを全滅させて(このとき海馬のフィールドに居たのはモンスターが一体だけだが、初期のM&Wのルールでは壁モンスターを出し続けなければ敗北するルールだった)勝利した。その敗北と直後に受けた罰ゲームは海馬に悪夢を見せるほどのトラウマを植え付けてしまった。
後に週刊少年ジャンプ恒例の連載中の方向転換によって始まったDEATH-T編での海馬瀬戸の再登場に伴ってこのカードも再び活躍する。
前述の経験から、海馬は青眼の白龍に対して非常に強い執着心を覚えるようになり、大企業海馬コーポレーションの財力や裏工作力を駆使して、なんとマフィアを使って世界に現存する残り三枚のこのカードを全て手に入れていた。
そのやり口とは、アメリカ・ドイツ・香港にそれぞれ居住していた所有者を見つけ出し、自殺に追い込んだりして入手したというもの。
復讐の一環として武藤双六をデュエルにて打ち破った瀬戸は、上述の双六の持つ青眼の白龍を破り捨て、自分だけが青眼の白龍所有者となるようにした。
しかし、三枚の青眼の白龍を用いてなお遊戯達の「結束の力」に敗北してしまった瀬戸は、罰ゲームによって精神が崩壊する。
廃人となった瀬戸の持つカードは海馬コーポレーションの敵対的買収をもくろむアメリカ人の経営者・ペガサス・J・クロフォードの陰謀によって秘密裏に盗まれてしまう。
そして、ペガサスに雇われたプレイヤーキラーである死者の腹話術師によって海馬のデッキが遊戯を追い詰めるために無断使用され、青眼の白龍が遊戯とのデュエルにて召喚される。
しかし、ここで召喚された青眼の白龍は瀬戸がマインドクラッシュ状態から蘇生したことで、盗人である腹話術師に従うことを止めて自己消滅する。
あたかも、遊戯と海馬の初戦で青眼の白龍が自己消滅したシーンの再演とも見える。
この時、青眼の白龍は「海馬の魂の宿ったカード」と闇遊戯に形容される。
しかし、上述の通りこの青眼の白龍もまたマフィアを使って人を自殺に追い込んで手に入れたカードである。
どういう話の流れであろうか?
死者の腹話術師が闇遊戯に敗北したことでこのカードは一時的に遊戯の手に渡り、王国へとやってきた海馬へと手渡しで返却されている。遊戯もそれでいいのか。
「本当に大切なものには魂が宿る」という双六の名言からするに、例え暴力を使ったのだとしても海馬は本気でブルーアイズを大切に思うようになったため、魂が宿ったと解釈することもできる。
しかし、これはこれで青眼の白龍が寝取られたような構図にもなる。青眼の白龍マジビッチ。
当時の読者の目線からすると、爺ちゃんを勝手にビデオに封印したペガサスは強力でありつつ憎たらしい敵であった上に、海馬コーポレーションを乗っ取ろうとする手口のあくどさや、死者の腹話術師が遊戯のライバルである海馬を小馬鹿にしていて遊戯が怒ったことなど、海馬が被害者の側に置かれた =海馬よりも汚い敵の出現 ために心情的に肩入れする要因が整っていた。
こうしたストーリーテリングによって、以後読者内でのキャラクターの構図は書き換わるのである。
とにもかくにも、このエピソードを以て青眼の白龍=海馬の魂のカードという立ち位置が成立し、以降原作終了まで続くことになる。
※たとえカードゲームだろうと、許可なく人からカードを取り上げる行為は窃盗行為、立派な犯罪なので絶対にやめてください。バレなければいいという話でもありませんのでご注意を。
これ以降も王国編で幾度にも渡って召喚され印象的な活躍を残していく。
そして、さらなる作品の方向転換に伴い、もっと壮大な設定が付与された。
バトル・シティ編開始に伴って海馬瀬戸は闇遊戯と数千年前からライバルであり、青眼の白龍は古代エジプトの頃からの海馬のしもべという設定になった。
これまでの流れを踏まえて客観的に見るとオイオイ……と思いたくなるが、当時はリアルタイムで起こる新展開のインパクトがでかく、ぶっちゃけ過去と余り厳密に結び付けて考える読者もおらず、とにかくこの一見無茶苦茶な設定は「スゲー!!」と思われて追いかけていた読者たちの中に見事に定着した。
なにより社長と嫁の組み合わせが絵面として非常にクールだったことや、海馬が精神的に変化したのも大きい要因である。
この辺の冷静に見ると無理っぽい路線変更を違和感なく遂行して読者に納得させていた原作の書きようは見事であったという他ないだろう。
バトル・シティ編ではすっかり海馬の正妻という立ち位置に落ち着き、ミノタウルスなど他の海馬のモンスターは相対的に影が薄くなっていった。
また、海馬コーポレーション絡みの装飾で、青眼の白龍の彫像だとか、青眼の究極竜のビンゴマシーンだとか、とにかく青眼の白龍を取り入れたモチーフが多くなり、海馬コーポレーション=青眼の白龍みたいな状態になっていく。
元はペガサスの会社のキャラなのだが……。
アニメ版オリジナル展開としてバトル・シティ編の途中に挿入された乃亜編ではもっともっと海馬と青眼の白龍の結びつきが強調されるエピソードが追加される。
幼き瀬戸が義父剛三郎に虐待的なスパルタ教育を受けて疲弊している中、弟のモクバが手描きの青眼の白龍をセトに渡して励ますという過去のシーンが描かれ、瀬戸はこの時青眼の白龍に相応しい男になろうと決意するのである。
そして、王の記憶編によっていよいよ海馬瀬戸と青眼の白龍の運命の結びつきが明らかになる。
海馬の前世の存在(明確に前世と明言されたことはない)である神官セトが救助した異国の女・キサラがその身に宿していた強力な魔物=白き霊龍こそ、オリジナルの青眼の白龍だったのである。
王権の強化のために強力な精霊を探していたセトであったが、この強力な白き龍を手に入れるためにはキサラを殺すしかないため躊躇していた。
キサラはセトに献身的に従うようになるも死亡してしまい、魂そのものが青眼の白龍と同化し、闇に落ちたセトを助け出すことになる。
後に災厄がすべて終わり、アテムの後を継いでファラオになったセトの守護霊として白き龍は使えることになった。
ほとんど海馬その物の巧みな戦術と破壊力のあるデッキで十代を圧倒する。
一度は倒されるも、すぐさま復活して「青眼の究極竜」となる。
十代の発動した罠カード「エッジ・ハンマー」で返り討ちにされそうになるもカイバーマンの発動した『融合解除』に因ってこれを回避。3体総攻撃で十代を仕留めフィニッシュを決めた。
劇場版
2016年に公開される劇場版では、デザインが一新されることになった。
肩部分に「青眼の究極竜」と同じパーツが追加されており、また全身には青く光る紋様が刻まれている。
肩パーツの方は、近年の高橋和希氏の描きおろしイラストで描かれているものであり、これが下敷きになっていると思われる。
派生モンスターである青眼の亜白龍も参照。
青眼の白龍のカード名が記されたカード
通常モンスター(LEGEND)
星8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
高い攻撃力を誇る伝説のドラゴン。
どんな相手でも粉砕する、その破壊力は計り知れない。
解説
最初の「レジェンドカード」として登場。
上記のステータスはそのままにデッキに1枚しか入れられない『レジェンドカード』として登場。
ラッシュデュエルでも攻撃力3000が基準となっている。
そのため現在新弾がでても環境に入り続けておりサポートが多いドラゴン族であるため切り札に近いモンスター。
封入率が低く1カートンに1枚しか入っていないため相場は2万円、今後価格はこの価格で維持している。
ゲーム的にもコレクター的にも需要が高くこのカードの為だけにデッキ改造パックを開封する人が多くなったため、第一弾が品切れになるほどの人気になり、昨今のTCG氷河期の危機を回避したカードといえる。
「ホログラムの男」がラッシュデュエル版のカードを使用。
ラッシュデュエルのルールにより後攻2ターン目にアドバンス召喚される。
その後、攻撃力7000になった「セブンスロード・マジシャン」に攻撃されてワンショットキルが成立した。
なお、作中で生産枚数が言及されることは特になかった。
余談
ジャンプ流によればデザインの元ネタはジョーズである。
神代凌牙の造形もこの件と無関係ではないだろう。
2022年7月初旬に『遊戯王』の原作者である高橋和希氏が死去した際には、海馬の担当声優である津田健次郎のTwitterに「青眼の白龍のカードを掲げた写真」が投稿されている。
その他
青眼の白龍の鳴き声は、音響効果の会社が使用する効果音の関係か、ウルトラマンシリーズの怪獣や、ゾイドの声を使用している。
ただし、デュエルターミナルでのブルーアイズのボイスは、ターミナルオリジナルの新規ボイスが使われている。
ウルトラマン
ナメゴン(無印のみ)
テレスドン(無印のみ)
ザンボラー(無印以降)
キーラ(遅回しで、他の怪獣の音声と混ぜて使用。DM以降)
ゾイド
レブラプター(遅回しで使用。DM以降)