グラハム『会いたかった……会いたかったぞ、ガンダム!』
『ハワードとダリルの仇、討たせてもらうぞ、このGNフラッグで!』
機体データ
概要
ユニオンフラッグカスタムに擬似太陽炉を搭載した機体。
戦死したオーバーフラッグス隊員ハワード・メイスンの無念を晴らすため、フラッグでガンダムを倒すことを誓ったグラハムの強い希望により、ビリー・カタギリらMSWAD技術陣の手によって完成された。グラハムに支給されたGN-Xを解体し、疑似太陽炉をそのまま流用している。
宇宙空間での対ガンダム格闘戦に特化されており、遠距離に対応するビームライフルなどの射撃武器は一切装備していない。外見的な変化は、背中に擬似太陽炉が取り付けられたほか、頭部カメラもガンダム同様に、2眼式に改造されている。
擬似太陽炉の高出力によって更なる高機動性とビーム兵器(GNビームサーベル)の運用能力を得たが、全く規格の異なるパーツを強引に接続したため機体バランスに大きな問題を抱えている(搭乗したグラハムは吐血していたため、12Gかかってしまう加速度もそのまま、ヘタすればそれ以上と思われる)。また、急造の機体であるためフラッグ伝統の変形機構もなくなっており、主力武器のサーベルの方も実際に使用するには擬似太陽炉と装備をケーブルで直結する必要がある。
はっきり言ってしまうと、この改造は「フラッグでガンダムを倒す」という誓いを果たすためだけに折角の高性能機であるGN-Xをバラして遥か格下の機体の部品にしてしまったという完全に本末転倒な行為であり(既存技術で作られた機体と疑似太陽炉の適合性を確かめるための実験、という名目も無いではないらしいが)、当時のグラハムがいかに妄執に取り憑かれていたかを象徴する機体とも言える。出現時の反応を見るに、刹那にとってはフラッグが擬似太陽炉を搭載しビームサーベルを持つなど想定外であった模様。
その性能面や安全性、実験機・検証機としてはともかく戦闘を前提とした設計の合理性等に関しても、たとえ話として要約するならば誰が言ったか「そこらへんから引っ張ってきた普通の原付に世界最新のジェットエンジンを無理矢理ポン付けし、とりあえずF1よりも速く走れるようにしてレースに出場しようとするようなもの」
とはいえ、オーバーフラッグの設計データで作られたマスラオ、スサノオは、系統上では異なるものの外見でいえば本機の強化機体ともいわれている。
劇場版『A wakening of the Trailblazer』に登場するブレイヴは、スサノオとユニオンフラッグのデータで作られており、実質上の完成型である。
この点で言えば、1人の男の妄執がフラッグの系譜を永らえさせたとも言えよう。
武装
GNビームサーベル
ガンダムスローネアインから奪取したGNビームサーベルを有線供給式に改造した物。
使用の際は背中の擬似太陽炉を左肩側に移動させる必要があるが、コードによってGNドライヴと直接連結されており、他に粒子を消費する武装もないため、出力を全てビームサーベルに回すことができた結果、出力が数段階向上しているとされる。劇中で確認できるビームもスローネのものと比べてやや太めであり、リーチも伸びているようである。
ディフェンスロッド
GNフラッグのディフェンスロッドは両膝側面に設置され、姿勢制御用スラスターとしての機能を持つ。
20mm機銃
唯一の固定装備。
威力は弱いが、ミサイル迎撃や威嚇射撃、対人戦闘など幅広い用途を持つ。
劇中での活躍
1stシーズン25話、アルヴァアロンを撃破したガンダムエクシアの前に、タイミングを見計らったかのように颯爽と登場。エクシアと互いの手足頭を斬り合う死闘を演じる。最終的に互いを互いの剣で貫き、相討ち。機体は大破した。
ちなみに登場してから大破するまでわずかに3分足らずというあまりに短い活躍であった…というか、とっくに25話Bパートに突入しており、アルヴァアロンを倒した時点でかなり時間が押してたので、正確には対決に割ける残り放送時間が3分もなかった。こいつを作っている描写はあったとはいえ、このタイミングで今更出てくるとは思わなかった視聴者もいたであろう。
が、作中を通してずっとガンダムに辛酸をなめさせられ続けたライバルキャラが、愛機に滅茶苦茶な改造を施すことでとうとう主人公のガンダムを討ち取ったという大奮闘ぶりは人気が高い。エクシアはアルヴァアロン戦でトランザム(と手持ち武器の大半)を使い切って消耗しまっていたハンデもあったとはいえ、1stシーズン時点ではアリー・アル・サーシェス搭乗のガンダムスローネツヴァイやアルヴァトーレでも成し得なかったエクシア本体を損傷させることが出来た唯一の機体であった。
………GN-Xのまま挑んでいれば相打ちじゃなく一方的に倒せたんじゃないか?というツッコミは厳禁。
外部出演でのGNフラッグ
Gジェネシリーズ
「ウォーズ」より登場。オーバーフラッグと疑似太陽炉系MSを「設計」する事により入手が可能になる。
武器は原作を見事に再現し、射程が1~2の機銃と射程が1~3のGNビームサーベルのみ。
「ワールド」ではオーバーフラッグを「開発」する事で入手可能。もちろんGNフラッグからマスラオ、スサノオも開発できる。
「オーバーワールド」では機銃すらオミットされ、GNビームサーベルのみと言う実にエレガントな機体となった(「クロスレイズ」では機銃が復活した)。
ガンダムアサルトサヴァイブ
専用の開発プランがあり、グラハム専用フラッグカスタムに必要なパーツを取り付けて一定の機体強化チューニングを行うことで入手できる。
が、この際に必要なパーツというのが、あろうことかドロップ率一ケタ・超高値の『擬似GNドライヴ』であり、さらに機体チューニングにもかなりの資金がいる。とどめに開発プランの解禁でさえ、『擬似GNドライヴのドロップまたは購入』が条件という鬼畜ぶり。
登場ステージがたった1つだけというチョイ役機体のくせに、手にするにはやたらと運と時間と労力を必要とするという、頭の痛い機体となっている。
これだけ苦労して手に入れても、性能は元のフラッグと大差はなく、毛が生えた程度。ついでに、コーティングしているはずなのにビームに対する防御力は元のフラッグよりも低下するという、完全に趣味の領域の機体である。
長所があるとすれば、なぜか本来は持っていないはずのリニアライフルがあるので射撃戦もできることと、頑張って作っただけに愛着がそれなりに湧くことか。まさしく『愛』だ。
SDガンダム外伝シリーズでは
『新約SDガンダム外伝 創世超竜譚』では、覇界神バロックガンの近衛騎士GNフラッグトーラスと言う名前で登場。
獣人であったが、神の座を決めるバーサルウォーに選ばれた英雄オーバーフラッグアキレス(フラッグトーラスと同じく獣人)がグラディエーターガンダムエクシア(後の勇者ガンダム)に敗れたことで、エクシアに強い関心を持つようになる。黄金神スペリオルドラゴン00(勇者ガンダム)との戦いを求めバロックガンの近衛騎士となり、満を持してスペリオルドラゴン00に挑むが敗北を喫する。
獣人である誇りから異界の者を見定める意思もあり、「世界をバロックガンに渡してはならない」という事に気づき、世界を黄金神の仲間たちに託し近衛騎士GNキャノンを道連れにして散っていった。
その後、バロックガンがいた世界カッズ・ザルド界で騎士ブレイヴに転生していたことが判明。
前世の記憶は失っているが、バロックコアと戦う意思は強く刻まれていたらしく、レジスタンスの「メガファウナ団」ソルブレイヴス隊の隊長に任命され、元バロックガンの近衛騎士ジンクスから転生した騎士ジンクスIVと共にバロックガンの再来を捧げた邪教集団ジットと戦っていた。
上記のあらすじからもわかる通り、モデルは原作パイロットのグラハム・エーカー。
「戦いばかりを優先する」「執念深い」「人の言う事を聞かない」というグラハム/ブシドーの負の側面が益荒男マスターガンダムだとすれば、「義理堅く勇敢で自己犠牲を恐れない」という正の側面を元としたのがフラッグトーラス&ブレイヴと言えるかもしれない。
立体物
この手の立体物では珍しく、ガンプラ化はされていないがアクションフィギュアは存在するという非常に変わった展開がされている。
アクションフィギュアは2009年にROBOT魂で発売。
疑似太陽炉を左肩に移動するギミックは差し替えで再現。
ボーナスパーツとしてトライデントストライカーが付属。
何故か変形が可能である(設定では飛行形態への変形は出来ない)。
なおこの商品は、現在定価の数倍のプレミアがついている。
その他
『Gジェネレーション』シリーズでは機体名は「GNフラッグ」だが、『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』に登場した際は正式名称の「ユニオンフラッグカスタムⅡ」となっていた。
関連イラスト
関連タグ
機動戦士ガンダム00 ガンダム00 グラハム・エーカー ラスボス
ユニオンフラッグ ユニオンフラッグカスタム オーバーフラッグ マスラオ スサノオ ブレイヴ
ガンダムエピオン:GNフラッグ同様、ビームサーベル(名義上はビームソード)を機体にケーブルで直接繋いでいるラスボス機。他にも機体設計に開発者のハンデにしかならない強い拘りが反映されてたり、初登場から無敵・堅牢を誇っていた主人公機を最終話にしてようやく損傷させる事が出来たなど共通点が多い。
ヅダ:加速性能が凄絶すぎて機体が持たないという著しく問題のある旧型機ながら、搭乗者の熱すぎる執念により本来なら格上である機体に健闘したという似たような経歴のMS。また短編漫画『黒衣の狩人』ではGNフラッグのように黒いカラーリングのヅダが登場し、こちらもその加速性能を十全に発揮し大暴れした。