脂目マンプク
あぶらめまんぷく
概要
映画『銀幕版_天下分け目の戦』に登場したクサレ外道衆の頭目。
恰幅のいい武将のような姿をしているが、この外見は言わば「鎧」のようなもので、真の姿は腹部に鋭い牙の生えた長い首と口を持つ悍ましい外見の魔人である。武器として『采配形戦斧』という名の戦斧を携帯しているが、真の姿になるとこの「口」をアームのように伸ばして攻撃する。
ちなみに二の目になって初めて真の姿に変わる特性を持っているが、類似した特性を持つフタガワラと違い彼にルーツになった妖怪はいない(外道衆の幹部相当のアヤカシ達は全員がそうなのだが)。
300年前に初代シンケンレッドこと志葉烈堂と戦うも封印という形で敗北。その後は長い雌伏の時を過ごす事となってしまうが、夏になって三途の川が活性化して外道衆の総大将・血祭ドウコクの力が増幅した事で、川が増水して封印された場所が偶然浸水した事で復活を果たした。
その実力はドウコクも素直に認める程に高く、烈堂も勝利こそしたもののマンプクを倒し切る程の力は無く封印するしかなかった。しかし、その実力故の過剰な自信からドウコクが増幅した力を解放する為に六門船の奥に引き篭りだしたのを良い事に、六門船に大将気取りで居座りだした為に薄皮太夫や骨のシタリからは疎まれている。さらに彼等に対して「シンケンジャーを倒したら“部下への褒美”としてこの世をドウコクに譲る」という、下剋上を示唆するような際どい発言までしている。しかし、流石にドウコクに敵わない事は弁えているらしく、ドウコクが船の奥から直接出てきて威嚇されると「これは…冗談が過ぎました」とすぐに撤回している。
一方で、腑破十臓は「マンプク如き」と見下した発言をしていたが、十臓もマンプクにシンケンレッドが倒される可能性を考慮していたので、その実力自体は認めていた模様。
性格は、その高い実力もあって外道衆らしく非常に自信家で、前述通りドウコクが動けない事を良い事に幹部達の前でも傍若無人に振る舞っていたが、その一方で外道衆にして珍しく最後まで戦い抜く事を選んだ志葉丈瑠/シンケンレッドの勇敢さを称えるなど、戦いにおいては堂々とした武人肌な面もある。しかし、なまじそういった武人肌な面を持ちながら己の力に慢心していた事が、最終的には彼の敗因となっており、その為に後に本編に登場した残党のアゼミドロからは、一応敬称付きで呼ばれてはいたものの「外道衆としては真面目すぎた」と言い捨てられている。
ただし、普段は武人らしい言動をしているが、前述した真の姿になると途端に荒々しい言動に変わるので、武人らしい言動もあくまで表面上だけのものである可能性が高い。
劇中では、クサレナナシ連中やクサレノサカマタによる総勢1万の大軍勢を率いてこの世に侵攻し、その圧倒的な物量をシンケンジャー達に休みなくぶつけ続けるという、「大軍勢による力押し」というシンプルながらも強力な作戦によって彼等を追い詰めた。
ちなみに劇中冒頭の時点で既に三日が経過しており、彼等が水切れを起こして撤退した僅かな間で回復や立て直しをしなければならないシンケンジャーはボロボロになっていた上、シンケンゴールドに至っては連日の戦闘で折神が出撃できない状態にまで追い込まれていた。
激闘に次ぐ激闘の末、彼が本拠地としていた場所に隠されていた初代秘伝ディスクを手に入れ、さらに実はマンプク自身の身体に刻まれていたモヂカラを合わせる事で解放された『キョウリュウマル』と『ハイパーシンケンジャー』の力によって大ダメージを負う。更に周囲のクサレナナシ連中もロープのように伸びるキョウリュウマルにあっさり一掃され、5人による総攻撃で一の目を潰される。
二の目ではテンクウシンケンオーの天空唐竹割りで大ダメージを受け、勝負あったかと思いきや真の姿に変身して腹部の蛇型アームを伸ばして反撃。虎・舵木・兜折神を吹き飛ばす威力に加えて胸部からの光線を放って彼等を追い詰める。
しかし、烈堂がディスクに遺した遺志を受けたシンケンジャーは恐竜折神を召喚し、さらにシンケンオーと侍武装をしてキョウリュウシンケンオーを完成させた事で形勢逆転。再度アームを伸ばして攻撃を仕掛けるが、逆にキョウリュウマルの一撃でアームを喰い千切られて大ダメージを負う。
「おのれ……二度も封印されてたまるか!!」
「封印じゃない!! お前を倒す!!!」
そして、キョウリュウシンケンオーのキョウリュウマル・天地一閃で斬り倒されて敗死。シンケンジャーは初代が果たせなかった「脂目マンプクの打倒」を遂に成し遂げたのだった。
余談
- 後にTV本編で登場した残党のアゼミドロは、配下でありながらキョウリュウシンケンオーのキョウリュウマル天地一閃とダイカイオーミナミの海老刀大名おろしの連撃という、マンプク以上の攻撃を受けて倒されている。時系列的にはマンプクが登場したのは海老折神が登場した直後辺りで、まだインロウマルも牛折神も無かった時期なので仕方ないのだが、もしスーパーシンケンジャーやサムライハオーが完成した後なら恐竜折神無しでも普通に勝てていたと思われる。
- 本作は劇場公開時は3D上映の映画館も有り、腹部の蛇型アームを伸ばすシーンが3D上映を意識したものだったのだが、そのせいで「とんでもないものが自分めがけて伸びてくる」ように錯覚した大きいお友達の観客も居た模様。
- 七福神をモデルにしている外道衆の幹部怪人達の例に漏れず、彼のモチーフは七福神の一柱である布袋様。また監督によれば武田信玄も含まれているという。ちなみに信玄の宿敵の上杉謙信が信仰する毘沙門天はドウコクのモチーフであり、この事からも両者が対となる者同士として設定されている事が示唆されている。
- 大和田氏は、後に東映特撮のTVシリーズにも俳優として出演した。