アルベルト・ビスト
あるべるとびすと
「なんで…ぼくじゃなかったんだ」
CV:高木渉
概要
『ラプラスの箱』の開放阻止のため、エコーズと共にネェル・アーガマに乗り込んできたアナハイム・エレクトロニクス社の重役。33歳。
カーディアス・ビストの長子であり、バナージ・リンクスは異母弟となる。
ただし、カーディアスの正妻の子であるアルベルトにとっては、バナージは「所詮愛人の子」でしかないようで、自分たちの血縁を打ち明ける際にも淡々とした口調で語っていた。
人物
ビスト家の人間の中では才覚に乏しい“小者”であり、父カーディアスの暗殺によりビスト家当主代行となった叔母でありアナハイム・エレクトロニクス社長夫人でもあるマーサ・ビスト・カーバインの「使い走り」となっている。
このため、一応は『箱』の秘密の保持……つまりビスト家と地球連邦政府との癒着関係の維持のために行動するが、どう転んだところで自分に“ある程度以上の生活”が保障されていることから、マーサ程には拘っていない。
ユニコーンガンダムに対しても“しょせんは鍵”としてしか捉えておらず、自らの身の安全のために電装系を破壊して有耶無耶にする事を進言した。
更にネェル・アーガマが『袖付き』首魁であるフル・フロンタルに捕捉された際には、素人同然のバナージを「オードリー・バーンの乗る艦を護るため」と背を押して出撃させ、“当面の厄介払い”を画策するなど、浅慮な面が多く見られる。
しかし……パラオ攻略戦後のラプラス宙域におけるガランシェール隊によるネェル・アーガマ襲撃の折に、宇宙空間へと放り出されそうになった危機をマリーダ・クルスに救われた事でマリーダという女性に拘りを持つようになり、叔母から強化人間として再調整を受けたマリーダの「マスター」の権利を譲り受けてからは、自らの意志で危険な戦場(付近)まで出るなど、心境の変化が表れ始める。
マリーダがスベロア・ジンネマンによって奪還されると、初めて自主的な行動によってリディ・マーセナスにバンシィ・ノルンを与え(叔母達には、別のパイロットの情報を偽造して渡した)、マリーダをもう一度自分の下へ連れ帰る事を依頼するのであった。
このように、「マスター」という作られた一方的な関係性によってマリーダを縛ることをしてはいたが、彼女への想いは本物であり、マリーダの“死”を感じ取った際にはその瞳からは涙が滂沱として止まらないほどであった。
最終的にマーサはコロニーレーザーを用いて『ラプラスの箱』の隠滅を図るも2機のユニコーンガンダムのサイコ・フィールドによって無効化されて失敗し、それでも尚悪あがきをしようとする様を静かな口調で諭すなど、遅まきながらも“一人の男性”としての成長が見られるまでに至っている。
このため、ラプラス事変後にブライト・ノアらロンド・ベルによってマーサの身柄が拘束された後は、才覚足らぬ身でありつつもビスト家当主の役割を引き継いだ。
また、同じ境遇を経たリディ・マーセナスとは奇妙とも言える友情が続いている。
「獅子の帰還」では料亭でメガラニカの行方やバナージのその後についてを彼に説明した。
ラプラス戦争の一件は収まったが今後一年戦争のような全面戦争が起きたらどうなるかを危惧していた。
そして、アルベルトの危惧は後の時代に的中してしまうことになる……
原作小説版
宇宙世紀の「正史」であるアニメ版とは、性格や行動が大きく異なる人物の一人である。
父親に認められなかった過去と、ユニコーンガンダムが自分ではなくバナージに託された事などから、バナージが異母兄弟であると知ってからは激しい嫉妬心と並ならぬ憎悪を向けており、また心の弱みに付入られ肉体関係も結んだ叔母のマーサの忠実な犬として動く臆病さが際立っていたが、実父であるカーディアスをその手で殺めたことや流転する運命によって次第に変化を見せていく。
マリーダに対しては、ガエル・チャンによって宇宙へ放り出されそうになるという違いはあるが、彼女に命を助けられたことをきっかけに思慕を感じるようになる、強化人間である彼女がマーサによって再調整を受けている場面から目を背けるなど、大枠は変わっていない。
なお、ガルダにおいてマーサの制止を振り切りマリーダの元へ向かうために、彼女とは別行動をとっている。
また、オードリーとのすれ違いとオードリーが手を取ったバナージへの憎悪から荒んでいたリディの暴力を身を挺して止めたり、自身の不甲斐無さから自ら強化を望むリディに対して「強化で強い心が手に入るなら自分がとっくにやっている」と自分の経験を基に諭すなど、マリーダを得たいというごく私的な動機とはいえ自分自身の行動目的を持ち、叔母の言いなりになっていたころとは異なる芯のある態度を見せるようになった。
最終決戦時にはほぼ最前線といって良い場所に赴き、マリーダの戦死時にも付近にいたため「私を愛してくれた人」としてマリーダの思念と邂逅している。
この時、マリーダの思念に直接触れたことでリディ同様自身を見つめ直し、コロニーレーザー阻止の場面ではバナージを助けるために付近の宙域に元々はリディの援護として用意していた「ユニコーンがもう一機つくれる」ほどの大量のサイコフレームを危険を顧みずにばらまくなど蟠りを乗り越えて異母弟に対して彼にできる最大限の助力をした。
スパロボでは
Zシリーズ
時獄篇でNPCとして初登場。
原作とは違い、長期に亘ってZ-BLUEと行動を共にする。
本作ではマリーダに助けられるシーンがないため、マリーダに惹かれた理由が「他人の勝手に翻弄される強化人間の宿命に、自分自身の生き方を重ねた」と『天獄篇』で語られている。
その天獄篇でもNPCだが音声が収録されており、同じ声優のガロード・ランと中断メッセージで会話する。
クロノのスキャンダルが発覚した後、サイデリアルに管理されている現状を疑問に思わず己の保身に執着するマーサを明確に見限り、自分なりのやり方で世界と戦うことを決意。Z-BLUEを支援する立場になる。最終話では連邦政府内でZ-BLUE支援する人々と共にZ-BLUEを激励した。
携帯機作品
基本的に原作アニメ版準拠の役回り。
原作再現が微妙なところからなので必然的にブライティクスとの関わりも薄くなってしまっているが、その分、原作終了後はローナン・マーセナスと共に奔走している姿が描かれるなどちらほら登場する。
VXT三部作
原作や従来のスパロボと比べるとコンプレックスの部分が薄く、理性的に立ち回っている。
原作同様に捕虜になったマリーダを連れてロンド・ベルを離脱するも、その後のマリーダとの関わりを機に彼女を救いたいという想いからやがて戦争を平和的な手段で解決したいと願い、ウォン・リーを介して嘗てのエゥーゴのエースパイロット、カミーユ・ビダンと接触。
更に彼を介しラプラスに参加しており、プル三姉妹の会話をオットー艦長、ジンネマンと見守りながら彼等とも和解している。
単独作品
Rサポートユニットとして登場。
序章ワールド2から登場。