甘味料
かんみりょう
食品などに甘味をつけるもの。主として糖から作られる。
概要
古くは蜂蜜や水飴、干した果物、また甘草などの天然由来の甘味料が甘味料として利用された。砂糖などの精製された糖は貴重だった。
ヨーロッパではサトウキビ原料の砂糖は輸入品であり、中流階級が常用できるほど安くなるのは関税が撤廃された19世紀後半になってから。ヴィクトリア朝イギリスでは砂糖をたっぷり入れたミルクティーとお菓子でティータイムのひとときを楽しむのがステータスシンボルだった。このころからヨーロッパなどでテンサイ糖も大量生産されるようになり、下層階級までいきわたるほど砂糖の値段が安くなり、砂糖の過剰摂取が問題になりはじめる。
現代の清涼飲料水や洋菓子には異性化糖(ブドウ糖果糖液糖、ガムシロップと同じもの)や砂糖(ショ糖)が大量に使われており、肥満や虫歯、糖尿病の元凶として問題視されるようになった。このうち異性化糖は大量の果糖を含んでいるため、ショ糖以上に糖毒性(糖毒性については糖尿病の記事を参照)が強い。このため、主に1970年代以降、ステビアなどのノンカロリーの天然甘味料、キシリトールやスクラロースといった糖アルコール、アスパルテームなどの人工甘味料が、砂糖や異性化糖の代用として加工食品に多用されるようになった。
主な甘味料
ほとんどが糖質(炭水化物)に分類されるが、
天然甘味料
天然資源から精製される甘味料
糖アルコール
低カロリーで糖毒性が低く虫歯になりにくい甘味料として多用される
- キシリトール(独特の冷涼感がある。虫歯予防を謳った製品に多く配合される)
- ソルビトール(独特の冷涼感を伴う)
- スクラロース(ショ糖のヒドロキシ基のうち3つを選択的に塩素で置換することによって生産される)
- トレハロース(ブドウ糖が二分子結合した糖で、多くの動植物や微生物に含まれている)
- オリゴ糖(オリゴのおかげなど)
- 希少糖
非糖質系甘味料
人工甘味料
全て非糖質系である。
- アスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)
- アセスルファムカリウム(熱・酸・酵素に安定的で、水・エタノール・グリセリン・プロピレングリコールの溶液などにもよく溶け、用途が広い)
- サッカリン(発癌性があると考えられ使用禁止になったが、発癌性はないことが分かり、現在は練り歯磨きや九州地方の醤油などに用いられる)
- チクロ/サイクラミン酸塩(アメリカ合衆国で発がん性や催奇形性の疑いが指摘され、日本もそれに倣って使用禁止となった。現在は無害なことが分かっているが、他の甘味料が普及した現在では敢えて使う意味が薄く、日米とも禁止のままである)
- ズルチン(肝機能障害・発癌性などの危険性が認められ、全世界で使用禁止)
- 酢酸鉛(古代ローマ時代から用いられたが、他の鉛化合物と同様、毒性が強い。当然ながら現在は全世界で使用禁止になっている)