むしろぼくが気になるのは、人間が何万年何十万年かけて…、猿とどれほど違う生き物になれたかってことの方ですよ
概要
型式番号MS-06MS。
漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート』に登場。
ジオン公国軍残党がザクⅡを元に開発した、類人猿(チンパンジー)をパイロットとするモビルスーツ(MS)。型式番号末尾の「MS」は「モンキースペシャル」の略。
元はパイロット不足や人的資源の損耗への対応策として、一年戦争中にジオン公国軍が計画した機体で、地球に降下した際に見学した類人猿館で「TVゲームに興じる猿(現実でボノボという種類の類人猿が実際に見せた行動)」を見たやんごとなき「さる高官」の発案により、ギレン・ザビ総帥にすら知らされず極秘裏に開始された「E計画」の産物。
開発は「E衛星」に設けられたプラントで行われたが、一年戦争中にはE計画は完成を見ずに終わった。終戦後、E衛星は降伏を選ばず自力航行で小惑星帯へと脱出し、計画は中止されることなく宇宙世紀0130年代まで独自に継続されている。
機体に用いられている技術は一年戦争当時のものだが、アクト・ザクでも使用されたマグネットコーティングの採用や、複数のゲルググ用ビームライフルの同時装備が可能な程のジェネレーター出力の強化などが行われており、ザクⅡの派生機としては高い性能を持つ。
また腕が延長された他、足も器用に扱える類人猿の特性を活かすために脚部もザクⅡの腕部に換装されており(こちらは通常の長さ)、戦闘時には最大4挺のビームライフルを同時に携行する形を取る。このため、歩行能力は失われていると思われる。
その他の外見上の特徴としては、胸部はザクⅡ改に類似しており、背部にはジェネレーターの強化に伴ってかプロペラントタンクが2基増設され、両肩にハイザック・カスタムのものに似たシールド一体型のスパイク・アーマーを装着している。
パイロットとなる類人猿はクローン培養された上で操縦技術を教育されたもので、好戦的な性格付けが行われている。
さらに「アンソニー」及び「セガール」と名付けられた2匹はニュータイプ能力を発現させている。これは、「ニュータイプは人間の革新」と説いたジオン・ズム・ダイクンの思想を全否定した証明でもある(相対したハリソン・マディン大尉は、「人間とサルの遺伝子は5パーセントしか違わないのだし、そうなっても不思議はない」と現実を受け止めている)。
宇宙世紀0136年、E衛星は地球圏に帰還しサイド2近傍の暗礁宙域に潜伏していたが、内部で類人猿たちが反乱を起こし、年老いていた研究員たちを殺害してプラントを制圧。
その後、類人猿たちは複数機が生産されていたバルブスを用いて民間船舶を相次いで襲撃。パトロールに出動した地球連邦軍のヘビーガン5機を大破させた後に1機が鹵獲され、その存在が明るみに出る。
その後、E衛星の調査に赴いたハリソン・マディン大尉率いる小隊とブラックロー運送の面々を襲撃し、操縦者の能力によってハリソンの小隊を圧倒。開発時期に約半世紀の差があるにもかかわらず、当時の最新型量産機であるジェムズガンとジャベリンを撃墜し(パイロットは無事)、ガンダムF91(ハリソン・マディン専用機)をも苦戦させる。
しかし、予備のABCマントを用いて即席で作られた巨大な「バナナ」に気を取られた隙を突かれ、戦闘に参加したクロスボーン・ガンダムX1スカルハートとF91の連携攻撃によって全機が無力化された。
余談
実は『機動戦士クロスボーン・ガンダム』本編にも、地球に不時着したトビア・アロナクス達を拾った山の木こりのおじさんが飼育していた「セバスチャン」という名前の猿が、作業用MS(デザイン的には寧ろ『戦闘メカザブングル』のウォーカーマシンに近い)を操縦するというシーンが存在する。
なお、長谷川裕一氏が単独で描いた『スカルハート』とは異なり、本編には富野由悠季監督も原作として関わっている。もしかすると……。
関連タグ
ザクⅡ ジオン驚異のメカニズム 長谷川裕一ガンダムMS&MA
風雲再起 - 人間ではない生物(馬)が操縦しているメカ繋がり。
Gの影忍 - サイコミュ研究の被験体となった犬が操縦するMSが登場する。
ザク50 - 本機の存在が判明したのと近い時期に開発されたザクの傍系。脚部が省略されている点も共通しており、ともに実質的に「ザクを元にしたモビルアーマー(MA)」とも取れる。
NT-D - 本機の顛末は、NT-Dが謳った「ニュータイプ論の否定」という目標を図らずしも達成したものだとも言える。
猿の惑星 - 本機が登場したエピソードのサブタイトル「猿の衛星」の元ネタ。ちなみにゲーム『機動戦士ガンダムクライマックスU.C.』のエクストラモードには『ザクの惑星』というザク系のMSだけが敵として登場するステージがある。
セガサターン - 「セガール」と「アンソニー」の名前はこれのCMが元ネタ。