概要
名前の通り『F91』の量産型。地球連邦軍に制式採用されたフラッグシップ機でもある。
F91をベースにした量産機だが、大なり小なりスペックダウンや機能のオミットが図られているジムなどとは違い、性能・外見上の差異は殆ど無い、きわめて高性能な量産機である(逆に言えば、オリジナルのF91が試作段階で既に量産化を視野に入れていたともいえる)。バイオコンピューターはパイロットを補助するシステムという側面から当初の計画通りに搭載されている。
量産型を製造する際に強制排熱を必要とするほどの限界稼動が行われる状況が発生する事が無いと判断されたため、F91の特徴であった最大稼動モードは省かれており、機体性能は試作機がリミッターがかかった状態(F91のカタログスペックとして公表されているもの)と同等となっている。一応、フェイスマスクの展開機構は残されている(バイオコンピューターの熱暴走を抑えるために残された、とのこと)。
強制排熱が起きないため、当然「M.E.P.E.」も発生しない。もっとも、量産化の際に電子機器としての機能を担う装甲を剥離させる機能が必要なくなる方向で改良されただけでもある。
武装はベース機と同一の物を使用。ヴェスバーも搭載されており、同世代のモビルスーツに対して攻撃面で強いアドバンテージを持つ。
しかし、高性能機である反面、機体を充分に扱えるだけの技量や練度を持ったパイロットが少なく、宇宙艦隊に配備された数機がクロスボーン・ガンダムと対峙しているが、全機敗北している。
バリエーション
ハリソン・マディン専用F91
ハリソン・マディン専用機は、増加試作機に改修を施した機体であり、厳密には量産型F91ではない。
ハリソンの専用機は「M.E.P.E.」を起こさずともヒートシンク等の強化やバイオコンピューターの改良によりフェイスオープンと放熱フィンのみで限界稼働が可能となった。
キンケドゥ・ナウの乗るクロスボーンガンダムX1と互角の勝負を繰り広げるが、ビーム・シールドとビーム・ザンバーによる三段構えの防御によってヴェスバーを防がれ、僅差で敗北した。
カラーリングは全身が青で、各所のアクセント部分がイエローになっている。
「第2次スーパーロボット大戦α」に参戦した際はこちらのカラー。
二代目ハリソン・マディン専用F91
クロスボーンガンダムとの戦闘で大破したハリソン機に代わり、別の量産型F91を塗り替えたもの。性能自体は量産機同等と思われる。
木星戦役での最終局面において使用されているが、限界稼動は行われていない(そもそも行えたかどうかは疑わしいが)。
続編におけるスカルハートでも登場。塗装が改められ白色の塗装箇所が増えたが、二代目搭乗機と全く同一の機体である(玩具「GUNDAM FIX FIGURATION」におけるF90とのコンパーチブルギミックの都合上新たに設定されたカラーリング)。
近年「ガンダムビルドファイターズ」11話にカメオ出演した事で話題となった。
ハリソン・マディン専用F91(木星決戦仕様)
鋼鉄の七人で登場。当初はハリソンが搭乗していたが後にミノル・スズキに譲られ、更にミッチェル・ドレック・ナーに譲られる。
外見には差異はないが、サナリィで改修を受けた際に量産化の際にオミットされた機能を幾つか復活させており、試作機であるF91に近い性能を有するに至っている。それに加え、木星圏での戦闘を想定した推力強化を行っている。一説には「質量のある残像」たるM.E.P.E.を発揮したとも言われている。
なお、機体にはミノル・スズキのパーソナルマークの「M」が描かれているが、急遽ミノルがF90に搭乗する事になり、本機は彼の部下であるドレックに譲られた。なお、パーソナルマークについてはドレックは自分のファーストネームはミッチェルであるからと特に気にしなかった。
ゲーム作品において
「第2次スーパーロボット大戦α」に登場した際は区別しやすくするためか、白色の部分が薄いクリーム系になっており、オリジナルとは若干異なる配色になっている。性能もオリジナルと同等…とはいかないまでも、使い勝手が良い優良機体である。
その後は「機動戦士クロスボーン・ガンダム」シリーズ自体がスパロボ参戦から遠ざかっていたこともあって出番に恵まれなかったが、十数年を経て「スーパーロボット大戦V」に久々に登場。登場した時点で旧式機という設定ゆえか、それとも「第2次α」で使い勝手が良すぎためか、分身回避能力の削除に加えて移動力や地形適応「空」の低下など、かなり弱体化させられてしてしまった。とはいえ、V.S.B.R.をはじめとする豊富な武装は相変わらず健在で、加えてストーリー中盤で攻撃力が強化されるため、改造やパーツによる補強を丹念に施してやれば、終盤まで十分に使える部類の機体である。
「スーパーロボット大戦T」でも登場するが、本作では時系列の都合でなんとジェガンよりも旧式の機体という設定になっている。本作では途中で強化されることもなく、スーパー系が有利なバランスなのも相まって最後まで使い続けることは難しい。また中盤に宇宙ルートを通ると2機目が入手できるが、これはアナハイム・エレクトロニクスが小型モビルスーツの解析のために入手していたものという、どことなく「シルエットフォーミュラ」を思わせる設定になっている。
Gジェネシリーズでは登場回数が他の量産型に比べて極めて少なく、「DS」「オーバーワールド」など。しかも通常の量産型は登場せず、青いハリソン機だけが出るということもあるなど参戦機会に恵まれない。性能は本家に遜色なく、「DS」ではM.E.P.E.攻撃ができない程度。「オーバーワールド」では本家と武装や開発系統が違う(F90、ネオガンダム、シルエットガンダムからは作れない、鋼鉄の7人に登場したF90I木星決戦仕様から作れる、クロスボーンガンダムには発展できないがレコードブレイカーに発展する)といった差がある。
ガンプラ
ハリソン専用機は近年F91のバリエーションとしてほぼ必ずと言っていいほど商品展開されており、HGUC、MG Ver.1.0と2.0で発売されている。MG Ver.2.0はプレミアムバンダイ限定。