PSI
さいまたはぴーえすあい
曖昧さ回避
- いわゆる超能力を意味する語。当記事で詳述。
- MOTHERシリーズに登場する超能力。他のRPGにおける魔法や呪文のような存在。⇒PSI(サイ)
- comicoに連載されているWEB漫画。⇒PSI-サイ-
- 「Production(生産)」「Sales(販売)」「Inventory(在庫)」の頭字語。基本的にはメーカーなどが「それらを総合的に考慮して合理的な操業計画を立てる」といった意味で用いる業界用語。
- ヤード・ポンド法の圧力及び応力の単位「重量ポンド毎平方インチ(pounds per square inch)」の表記の1種。この意味では通常すべて小文字で「psi」または「p.s.i.」と表記される。これ以外に「lbf/in²」とも表記される。
- アメリカ合衆国で用いられる大気汚染指数。「Pollutant Standards Index」の頭字語。
概要
サイ(psi、Ψ、ψ)とは超心理学における術語であり、既知の物理学的・生物学的機序によって説明不可能な精神と物体との間、あるいは精神同士の間に発生する変化や影響などの現象、及びその現象を発生させる能力を表す概念である。平たく言えば、いわゆる超能力や神通力のことである。
日本語では「サイ」としか発音しないが、英語圏では「サイ」及び「プサイ」のいずれも発音される。それどころか、元となった古代ギリシャ語の発音に倣って「プシー」と発音されることすらある。
サイは以下に示す2分野に大別できる。換言すれば、サイはその統合概念と言える。
- サイ・ガンマ(psi-gamma、Ψ-γ、ψ-γ):ψυχογνωσις(プシュコグノーシス。英語転写:psychognosis(サイコノーシス))の略。超感覚的知覚(ESP)、霊知。
- サイ・カッパ(psi-kappa、Ψ-κ、ψ-κ):ψυχοχινησις(プシュコキネーシス。英語転写:psychokinesis(サイコカイニーシス))の略。念動(サイコキネシス、PK)、念力。
「超心理学的現象、超心理現象(parapsychological phenomena)」の意味だけでなく、臨死体験・幽体離脱・幽霊・心霊スポットなどの「心霊現象(psychical phenomena)」を含んで「サイ現象、PSI現象」と呼ぶ例も散見されるが、これは本来の用法ではない為、避けるほうが望ましいだろう。
創作の分野においては、単純に超常現象や超能力とほぼ同義の語として「サイ」「PSI」が広く用いられている。
語源・由来
「psi(サイ)」は、超心理学的な現象や能力を意味する概念を表す術語として、オーストリアの生物学者ベアトルト・パウル・ヴィーズナー(Bertold Paul Wiesner)によって考案された造語である。心理・心・霊魂・魂などの意の古代ギリシャ語「ψυχή(プシュケー。英語転写:psyche(サイキ))」の頭文字であるギリシャ文字「Ψ / ψ(プシー。英語転写:psi(プサイ、サイ))」に由来する。
1941年、ヴィーズナーは、イギリスの「心霊現象研究協会(the Society for Psychical Research)」にて1942年~1944年の期間会長を務めることになるイギリスの心理学者・超心理学者ロバート・ヘンリー・サウレス(Robert Henry Thouless)と出会い、超心理学的現象について共同研究するようになる。その研究において、超感覚的知覚と念動とを統合する仮説的モデルを構築する中で「psi」という造語を考案した。
1942年、イギリスの「英国心理学協会(the British Psychological Society)」が発行する会報誌『the British Journal of Psychology』 にサウレスの記事が掲載されており、その中で歴史上初めて「psi」が正式に用いられている。これがその後の「psi」という術語及び概念が普及する嚆矢となった。
また1946年にはヴィーズナーとサウレスとの共著による論文が発表されており、この中でも「psi」は使用されている。
彼らの提唱を受けて、「超心理学の父」と呼ばれることもあるアメリカ合衆国の超心理学者ジョゼフ・バンクス・ライン(Joseph Banks Rhine)も自身の論文に「psi」を取り入れており、この語の普及に与えた影響は大きい。
そもそも「超心理学(parapsychology)」という名称自体、1889年に初めて造語として登場し、1930年前後になってそれまで用いられていた「心霊現象研究(psychical research)」という名称に代わって用いられるようになったばかりであり、20世紀前半は丁度この分野がオカルト的なアプローチから科学的な研究へと移行する過渡期にあった。
しかしこの分野はその性質上現在でも懐疑論者は多く、大真面目に研究している学者も居る一方で疑似科学と見做されることも多い。事実、科学的研究がなされるようになってから100年以上の年月が経過しているにも関わらず、大して進歩していない。また日本の大学では専攻できる学部も学科も存在しない。