概要
任天堂が発売し、開発はスキップが担当したアクションアドベンチャーゲーム。スキップと任天堂による作品は『ギフトピア』に続き2作目で、タイトルこそ繋がっていないがシステムの共通点などが多く事実上『ギフトピア』の続編に当たる(開発スタッフも『ギフトピア』を踏まえて改良したものとしている)。なお、本作もラブデリック系列の作品同様、日本語でも英語でもないオリジナルの言語を発する(本作ではハナモゲラ言語と呼ばれる)。
タイトルにもなっているちびロボとは、一家に一台のお手伝いロボットである。サンダースン一家が住む家の中を身長10センチという小さな体を使って、掃除から捜し物の発見、悩みの解決まで様々なことを、3DCGで描かれたフィールドの中、右往左往してこなしていく。ちびロボの動力は内蔵されているバッテリーであり、バッテリーが切れると行動不能になってしまうため、適時家の中にあるコンセントで充電をしなければならない。また、ちびロボは喋ることができないため、意思表示には○か×を使う。
ちびロボのパートナーとしてトンピーというマネージャーロボがセットとなっている。目的は、嬉しくなったり感謝をしたりすると発生する「ハッピー」を家族たちから集めること。その順位に応じて新しいバッテリーがちびロボを販売するオレンジ社より贈られる。自分の家を持ち、その中では集めたマネ(お金)により買い物をしたり、ハッピーの精算をしたりする。また、この家ではある理由によりおもちゃが動き、ロをきく。彼らと交流をし様々なトラブルや悩みを解決していくのも冒険の要点の1つとなっている。ストーリーは基本的にギャグ要素が多いが、ギャグ一辺倒でもなくストーリー要所ではシリアスな展開も見せ、Wii版のテレビCMでは「でも、ハッピーだけじゃない」「ちょっと切ないロボットの冒険」と表現している。
売り上げは際立って高かったわけではなかったが、後述するように北米での評価や『Wiiであそぶセレクション』版での発売など、作品としてはかなり高評価を得ている。また、音楽関連の評価が高く、GC版公式サイトではゲーム中の音楽をいくつか視聴することができ、小学館発行の攻略本にはサウンドトラックCDが付属されていた。
日本のみの発売だった『ギフトピア』と違い、本作は日本以外にアメリカ合衆国や欧州連合でも『Chibi-Robo!』のタイトルで発売されて、アメリカ合衆国ではIGNの「BEST OF 2006」で「ゲームキューブ・ベストアクションゲーム部門」を受賞した。
作品
2009年6月11日に『Wiiであそぶ ちびロボ!』としてWiiに移植された。
2007年7月5日には続編となる『咲かせて!ちびロボ!』がニンテンドーDSで発売された。
さらにニンテンドーDSで『おかえり!ちびロボ!ハッピーリッチー大そうじ!』が2009年7月23日に発売された。
2013年7月13日にはダウンロード専用に実写でちびロボ!が配信開始。
2015年10月8日には3DSでぐるぐる!ちびロボ!が発売された。
Wii版での変更点
前述のように、本作は後に『Wiiであそぶセレクション』シリーズの一つとしてWii用に移植された
操作はWiiリモコンとヌンチャクの組み合わせにのみ対応しており、Wiiリモコン単体とGC用コントローラには対応していない。操作方法はGC版後に同スタッフが開発したWii用ソフト『キャプテン★レインボー』に近く、Wiiリモコンのポインターでメニュー画面のアイコンを操作する、ポインターが対象物に触れるとアクションが起こるなどの共通点がある。メニュー操作に関しては、ポインターとヌンチャクのスティックを併用するかしないかオプションで変更できるように改良されている。この他にWiiならではの操作として、一部のアクションではWiiリモコンやヌンチャクを振る動作を用いるようになった
キャラクター
本作の主人公。様々な道具(勝手に持ち出すこともある)を駆使し家事を手伝い、自分で思考し行動する、自主行動型ロボット。最終的にはバッテリーが尽きなくなる。ラストボスであるマザースパイダーをパパと二人で撃破した。
ちびロボとセット販売されているマネージャーロボ。プロペラにより宙に浮いて移動する。ちびロボと違い、しゃべることができる。趣味は歌うこと。
パパ
サンダースン家の父親。本名はジョージ。オレンジ社のライバル会社・グレープ社のエンジニアをしているらしいが、いつもなぜか家にいる。
ちびロボを購入した、所謂元凶的存在。生活が苦しいのを分かっていながらおもちゃなどを購入してマネの無駄遣いを続けママを困らせる。ギッチョマンの大ファン。
実はスパイダーの開発者で、ちびロボの友達にしようと思ってスパイダーを作ったのだが、他の社員がちびロボを破壊するために改造したことを知り、それに怒ってグレープ社を辞めてしまっていた(家族には話していなかったらしく、ヘレンから「聞いてないわよ!」と怒られてしまったが、「言ってないも~ん」と開き直っている)。
マザースパイダーにちびロボと共に立ち向かったが、家族と一緒に捕まってしまう。マザースパイダーに捕まる前、任天堂作品には珍しくはっきりわかる下ネタを発言している。
ママ
サンダースン家の母親。本名はヘレン。苦しい一家の財政に悩む日々が続く。パパが無駄遣いをしたりすると寝室からパパを閉め出しソファーで寝させたりする。ちびロボが行えることを除き家事全般をこなしているが、パパの無駄遣いに呆れて何日も部屋に閉じこもったまま出てこないこともある。娘のジェニーについても心配している。
GC版公式サイトにて、パパとの出会い及び学生時代とナナシ島(『ギフトピア』の舞台)に「カレン」という友達がいることが明かされている(しかし『ギフトピア』におけるカレンとは、ヒロインの亡くなった母の名前であり、現在は故人の可能性が高い)。
サンダースン家の一人娘。いつもカエルの帽子をかぶりカエル語だと思われるものをしゃべっている。本人が言うには、カエルの呪いにかかったためらしい。パパから誕生日プレゼントとしてちびロボをもらった。
『おかえり!ちびロボ! ハッピーリッチー大そうじ!』では、成人して一児の母になった姿が登場。
サンダースン家の愛犬。パパとママが結婚した頃からサンダースン家にいたらしい。好物はおしゃぶりボーンだが、あまりもらえていない。昔、アーミー隊の隊員を連れ去っており、アーミー隊の恨みをかっていたが、後に和解する。
本作以前にも『ギフトピア』やスキップの前身・ラブデリック開発の『moon』にも登場しており、西健一ディレクターの愛犬がモデルである。
デカロボ
オレンジ社製のお手伝いロボット。ジョーイ・エビスというエンジニアによって開発された。昔はお手伝いロボットとして一世を風靡したが、消費電力がちびロボの1000倍だったために、エネルギーショックの際に使われなくなった。サンダースン家にも存在するが、生活が苦しいために地下倉庫にしまわれている。サンダースン家のデカロボは、後にバッテリーが尽きなくなり、再び使用されるようになる。
スパイダー
最近、各地の家庭に現れちびロボを襲っているというクモ型ロボット。サンダースン家にも出没する。出没場所はオイルで汚れていることが多い。実は、元々はパパがちびロボと友好関係を築こうとして作ったものだが、グレープ社の他の社員がちびロボを破壊するために改造した。親玉はマザースパイダー。
宇宙人
ちびロボくらいの大きさしかない宇宙人たち。若干姿や体格が異なる4人組で登場する。過去にUFOがサンダースン家宅へ墜落しそうになった際にデカロボに助けられて、お礼として彼の願いを2つかなえることを約束。1つ目の願いとしておもちゃたちに魂を吹き込んで意思を持たせ、2つ目の願いを後日叶えること約束していったん母星に帰っていった。
登場するおもちゃ
兵隊のおもちゃ。仲間をさらったタオを恨んでいる。アーミー軍曹を中心に活動が行われているが、軍曹の行う訓練はとても厳しいため逃げ出す者もいる。逃げ出した者たちはそれぞれの夢であった職業をしており、その中にはホック船長の仲間になった者もいる。軍曹はちびロボには一目置いており、タオへの復讐のために協力を依頼することもある。隊員の名前はアメリカの地名のもじりがほとんど。後のシリーズ作品にも何かしらの形で登場している。
パパがファンのテレビアニメに登場するヒーローのフィギュア。正義をこよなく愛し、家中の異変に興味を持つが、何が正義で悪なのか区別できないという致命的な問題があり、的外れであることも多い。宇宙刑事を名乗っていて、「宇宙刑事ギッチョマン」(サウンドトラックと『キャプテン★レインボー』での題名で、任天堂モバイルで配信される着信メロディでの題名は「行け!宇宙刑事ギッチョマン」)という特撮ヒーロー風のテーマソングもある。テーマソング・キャラクター性ともに強烈なインパクトを持ち、Wii版では公式サイトに「ギッチョマンの正義十箇条」という専用コーナーまで作られた。
のちに同じくスキップ開発の『キャプテン★レインボー』にも登場。性格やテーマ曲にいたるまで、ほぼ『ちびロボ!』のままとなっている。
ギッチョマンにぞっこんのイモムシのぬいぐるみ。妄想癖が激しく乙女チックな性格で、日々伝えることのできない想いに苦悩している。タオのお気に入りで、よく被害を受けて(おもちゃとして遊ばれて)いる。趣味は日記を書くこと(公式サイトにも彼女の日記が置かれている)。彼女の口ぶりからして、女性のおもちゃでは最年少の模様。
お姫様のおもちゃ。ジェニーの部屋にあるおもちゃの城に住む。お化けなど恐ろしいものを怖がる。ゾビンが自分に花を贈うとしたことを知り、彼を意識し始め、ちびロボにお化け克服のために協力を依頼する。その甲斐あって結婚し、子供を授かる。
おそらく名前の元ネタは、同社発売の『スーパーマリオ』シリーズに登場している「ピーチ姫」である。
おとなしい性格のゾンビのおもちゃ。ジェニーの部屋にあるベッドの下の棺桶に住む。ピーツ姫のことを慕っており花を贈ろうとするが、お化け嫌いのピーツ姫に絶叫されてしまう。後に、ピーツ姫がお化け嫌いを克服したことで結婚した。
蜂蜜が大好きなクマのぬいぐるみで、ジェニーのお気に入り。普段は優しく穏やかな性格だが、二重人格らしく、蜂蜜が無くなると凶暴な性格に変化する。おそらく名前の元ネタはプーさんからきている。
ロマンを大切にする木製の海賊人形。昔は浮遊することもできる木製のガレー船のおもちゃを所有していたが、過去にしたあることを自分の中で海賊としてあってはならない事とし、その戒めとして裏庭に埋めて封印した。手に持つ袋からいつも水を飲んでいるが、吐き出すことが多い。後にちびロボによって封印を解いた帆船と元アーミー隊の4名の乗組員を与えられたことで船出する決意を固め、三枚の宝の地図を託す。ちびロボが全ての宝を見つけた後は、新たなるロマンとお宝を求めて宇宙へと旅立って行った。
明るく歌とダンスの好きなプラスティック製の花(フラワーロックがモデル)。パパとママの寝室でよく踊っている。後に、同じような姿の小さな仲間たちを預かることとなる。ある日、急に停止してしまった。
お節介な性格で関西弁を話す、おもちゃのブロックできた恐竜の女性。ちびロボと出会った際に、彼に噛み付いたがそのあまりの堅さに逆に痛い目に遭う。ファンキーフラワーが停止した際に、その葬式を計画した。マネについては厳しく、シビアな一面も見せる。年齢は人間に例えるとおばちゃんらしい。
家中あちこちに現れる謎の置物。マネの浄化と称してマネを要求することが多い。あらゆる場所で修行に励んでいるが、実力のほどは不明。
本作のゲストキャラクター
『レッキングクルー』の登場キャラクター。ちびロボを一回ナスビにした。
バンダイから発売された人形型ぬいぐるみ。他のおもちゃと同じく、人がいないと動く。
バンダイから古く発売されたキーチェーンゲーム。成長はしないが、世話をすることができるが3日間面倒みないと死んでしまう。ちなみに育てるたまごっちは「やんぐまめっち」と「やんぐおやじっち」の二通りある。
備考
CMソングには、『グリーングリーン』が使われた。『Wiiであそぶセレクション』版でも同じく『グリーングリーン』が使用されたが、歌詞は無くロングバージョンCMでは新たに録音されたアレンジバージョンが使用されていた。
任天堂公式サイトでは『ちびアニメ!』というオリジナルのアニメーションを3話見ることができる。製作は本作のキャラクターデザインを担当したhikarin(ヒカリン。女性)が行っている。
「キャラクター」の項でも述べたように、公式サイトにはゲーム中のキャラクターであるべべが書いたブログという設定の『Belog(ベログ) 恋する乙女、べべの日記』が連載されていた。2005年8月24日から始まり、不定期更新ではあったものの2007年3月以外は毎月更新され、2007年6月19日まで2年近くも続いたという長期コーナーとなった(終了理由は『咲かせて!ちびロボ!』発売のため)。
本作は元々はバンダイより発売される予定で同社の発売予定リストにもラインアップされていたが、任天堂の田邊賢輔(本作のプロデューサー)、宮本茂(本作のシニアプロデューサー)らの働きかけにより、任天堂からの発売に切り替えられた。たまごっち等が登場するのはその名残りである。バンダイの表記は、スタッフクレジットのスペシャルサンクスなどで確認することができる。
2004年11月3日〜28日にニンテンドーDSの世界初一般公開として開催されたイベント『NINTENDO WORLD Touch! DS』では、発売日当日にニンテンドーDSが送られる抽選クイズのお題「この出展されていたゲームのキャラクター名は?」として、ちびロボが使われていた。