概要
マレーシアの教育出版社『KADOKAWA GEMPAK STARZ』が2013年2月から発刊した一大学習漫画シリーズ。
全編オールカラーで描かれた学習マンガで、アジア圏では累計200万部(2019年時点)売れている。
基本設定
マレーシア某所にある「Xセントラル」内に有る研究機関、Xベンチャー研究所にて、ダーウィン博士によって集められた少年達が動物百科事典の完成を目指すべく、世界各地へと飛び危険と隣り合わせの調査を行うという点、並びに「シミュレーターや現実世界で異なる動物同士が戦う」というテーマは共通しているが、次第に大きな事件や陰謀に巻き込まれて行く事が特徴。
また、作中から60年前を描く前日譚である「ナゾトキ・ハンター」や、ジェイク達とは別チームがタイムマシンでワープし、5億年前から現代へと時間旅行を行いながら現代への帰還を目指す「恐竜キングダム」、恐竜キングダムの続編を兼ねる「どっちが強い!? X」や、更にその後を描く「どっちが強い!? A」などもあり、同時にこれらのシリーズとのクロスオーバーやリンクする要素も含まれている。
他にも「動物オリンピック」や、「からだレスキュー」、「宇宙アドベンチャー」など多数の番外編も存在する。
どのシリーズも1シーズン12巻で構成されているが、番外編の場合は3~6巻を一区切りとしている。
各作品解説
- ナゾトキ・ハンター
舞台は「どっちが強い!?」から60年前の『冒険の黄金時代』。
古代言語や数カ国語を話せる15歳の天才少年・アレックスの祖父は有名な冒険家であった。
古代文明の遺品をその目で見るべく冒険家になったアレックスは、ナンバー1冒険家を目指すべく、相棒のルルとともに冒険の旅に出る。
後にXベンチャー調査隊の創設者となるアレックスが主人公の物語であり、事実上今後のシリーズの前日譚でもある。
創設者の物語だけあり、以降のシリーズにも大きく関わる伏線が張られている他、当時の関係者のイメージシーンではアレックス達がシルエットとしてカメオ出演したり、当時の資料も度々登場している。
- どっちが強い!? W(ワイルド)
ディグスとチャールズが主人公であり、「どっちが強い!?」の前日譚。
- どっちが強い!?
「戦闘力の同じ動物同士が戦ったらどっちが強い?」をテーマにした、本記事でのメインとなるシリーズ。
1シーズンごとに第○部と章分けされている。
また、他のシリーズからのカメオ出演キャラもシルエットとして度々登場している他、過去編では技術部で製作しているタイムマシンの件など、この時点から他シリーズとの繋がりが示唆されている。
- 恐竜キングダム
- どっちが強い!? X
「もしも」の世界がテーマのシリーズ。
前作「恐竜キングダム」にて過去の世界に残ったダビンチ博士をすくうため、Xベンチャー調査隊のジェイク達のチームとレイン達のチームがタッグを組むことになる。
大昔にタイムワープしたものの、そこは図鑑などにも載っていない知能が高い恐竜たちがはびこる危険な世界であり……!?
この作品では、「進化の過程で、もしかしたら存在していた可能性をもとに描いた架空の生物」として「空想生物」が登場するのが最大の特徴。
- どっちが強い!? A(エース)
「ロボット」がテーマのシリーズ。
前作「どっちが強い!? X」にて世界を救ったXベンチャー調査隊だったが、恐竜を呼び寄せ世界を混乱させた責任を取る形で解散を命じられてしまう。
解散後、メンバーは其々の道を進んでいたが、レイン・ジェイク・ルイス・ショーン・ストーンの5人は、ある日Xロボットアカデミーでの選抜試験をさせられ、合格する事となる。
アカデミーで優秀な成績を収めたらXベンチャー調査隊を復活させるという条件で、5人は下級訓練生として前途多難なアカデミーでの生活が始まるのだった……。
Xベンチャー調査隊解散後の物語。上記の選抜試験に合格した5人以外はそれぞれの道を進んだ事や、選抜試験に落ちた事によりレギュラーから外れている。
- どっちが強い!? 動物オリンピック編
ダーウィン博士が発明した3Dシミュレーターを使用する対決の延長線をテーマとした番外編。
単なる動物同士のバトル対決だけではなく、動物の特徴や能力を活かしたオリンピック競技での対決を行うのが大きな特徴。
また、レイン達のチームと現代の動物vs古代生物で対決を行う事もある。
- どっちが強い!? からだレスキュー
ある日、ダーウィン博士が突然倒れてしまう。ダーウィン博士が目覚めない原因を調べるべく、ジェイク達はDr.ベネットが発明した医療用マイクロロボットを使って博士の体の中に入ることになる。
ダーウィン博士の体内でのミッションが一段落した後は、ウイルスの調査、クワメの村での調査、エナジック学園での潜入捜査といったオムニバス形式での物語が行われる。
- どっちが強い!? 宇宙アドベンチャー
「宇宙」をテーマとした番外編。
ある日、ダーウィン博士が任務中に壊した物に生じた損害賠償による莫大な借金が出来てしまう。
借金の肩代わりの条件として、宇宙開発企業Tスペース社の総裁の少女・ステラの両親探しに協力することになったジェイク達。
火星で行方不明となったステラの両親を捜索するべく、宇宙エレベーターで宇宙へと旅立ったジェイク達だったが……。
登場人物(随時追加希望)
フルネームの引用元。
Xベンチャー調査隊
ジェイク・ディグス
本シリーズの主人公。
ボーイスカウトだが、慌て者なトラブルメーカーでもあり、持ち前のドジが原因で度々トラブルを起こしたり、ふざけた事をしてはシェリーやダーウィン博士から鉄拳制裁を喰らっている。
ピッキングが得意技。ヘビ恐怖症持ちで、ヘビが登場する話ではアイマスクを度々着用している。
ルイスやレインとは基本犬猿の仲だが、時に協力する際は頼れるコンビとなる。
ルイス・ロイヴィル
本シリーズの(自称)主役。
負けず嫌いな性格のお坊ちゃんであり、シリーズを通して主役の座をかけてジェイクとは度々張り合っているが、時に助力する際は最高の相棒にもなる。
「どっちが強い!? A」にも主役の一人として登場。
シェリー
本シリーズのヒロイン。ツッコミ担当。
勉強家で、獣医になる事が夢。
全体的に陽気な性格で、仲間に対して非常に思いやりがある。
一方で非常に短気でもあり、度々ふざけた行為をしているジェイクに対し鉄拳制裁を行っている(その際、格闘ゲーム風の入力コマンドが出る)。
洞窟で遭難しかけた際にヘビに助けられた事から、ジェイクとは対照的にヘビが好き。
「どっちが強い!? A」ではXベンチャー調査隊解散後はターゼンと共に獣医の道に進んでおり、Xロボットアカデミーの入学試験はユナやビーンと同様脱落している。
ターゼン
小さな身体ながらも底無しの食欲を持っている。
動物と話す力を持っている。ただし恐竜や絶滅動物の言葉は理解出来ない他、「オランウータンvsセンザンコウ」では育ての母で有るオランウータンを目の前で喪った事による精神的なショックにより、一時期その能力を失った事がある(後にアナの助力によってその力を取り戻す)。
ビーン・レグメ
眼鏡をかけた小柄な少年。
学者一家の一員であり、百科事典並みの知識を持つ。
度々動物のコスプレをしており、家族そろってコスプレ好きである。
ジェイクからは家族ネタで度々いじられている。
「どっちが強い!? A」ではXロボットアカデミー入学試験で脱落した為レギュラーから外れたが、相談役として登場している。
ユナ
チャールズ博士の助手。元々は敵同士だったが、命を救ってくれたルイスに惚れ仲間となる。
鞭と新体操が得意技。
クワメ
南アフリカのサン族出身の槍使いの少年。
大自然の事を良く知っており、古くから村に伝わる知識と豊富な経験を持つ。
後に引退した族長に代わって村の新たな族長となり、彼の村での出来事の話や、番外編の「宇宙アドベンチャー」など彼が不在の話も出てくる。
また、どっちが強い!? Xでは……。
コシ
クワメの幼馴染。
クワメの事を尊敬しており、クワメが留守の間は族長代理として村を守っている。
ダーウィン博士
生物学と動物学で有名な博士であり、ジェイク達の指導者。68歳。高齢ながらも極めて肉体派で、身体を鍛えており、正に文武両道を地で行く人物。
ジェイク達の使用するアナライザーや、動物対決のシミュレーションを行う際に使用される3D投影シミュレーターは彼が発明したもの。
どこぞの私塾の名物レベルの拷問じみた訓練を自他共に行う事が多い(「どっちが強い!? からだレスキュー」6巻のラストではジェイク達の他に、ドーピングによる不公平な勝負を行っていたエナジック学園チームや、何故かチャールズにも「公平な対決」としてその訓練をさせた)。
真面目でルールに厳格な性格で有り、ふざけた回答をしたり、怒らせるとその相手をボコボコにする(特に余計な一言を言うジェイクに対しては度々鉄拳制裁を執行している)。
また、怒った際に筋肉を膨張させては白衣やスーツを原形が無くなる程ビリビリに引き裂いており、その都度秘書のスミスが裁縫している。
後に宇宙最強クラブの会長になり、獣王をライバル視している。
現場主義であり、「オランウータンvsセンザンコウ」では準備運動も兼ねてマレーシアのXセントラルから動物王国に改造された電波塔のあるスマトラ島まで約100km続く海底トンネルを素手で掘り進めながら現地まで移動したり、「アフリカウシガエルvsオオムカデ」では、態々Xセントラルから海上を航行中のオーシャンパレス号まで自力で泳いで渡った上で獣王と戦闘を行ったり、
獣王がXセントラルから脱走した際には脱出方法を突き止めるべく、ジェイク達の協力の下、自らに(かなりの重量がある)大量の鎖を全身に巻き付け、拘束を破れるかどうかテストしている。
世界冒険家組合(WAU)の会長、ロバートの孫であり、作中から60年前を描くナゾトキ・ハンターにも登場している。
祖父等の冒険時代の関係者からは「ダーくん」という愛称で呼ばれている。
ホワイト・スミス
ダーウィン博士の秘書。スーツを着用し、茶色のサングラスを装着している。
任務に忠実。ダーウィン博士が白衣をビリビリに破く際には自ら取り繕っているため、裁縫の腕前は超一流。
射撃の腕も高く、「オオヤマネコvsピットブル」では麻酔ロケット砲も使用している。
ナゾトキ・ハンターや「どっちが強い!? 動物vs恐竜」のおまけシーンでは祖父のブラック・スミスが登場している。
ブラック・スミス
ホワイト・スミスの祖父。元世界冒険家組合(WAU)の事務局長。90歳。
60年前(当時30歳)を描くナゾトキ・ハンターでは孫に口髭を加えた様な姿をしており、その更に5年前(当時25歳)を描くナゾトキ・ハンター5巻「人食いザメが守る島」ではより孫にそっくりな容姿をしていた。紺色のサングラスを着用している。
「動物vs恐竜」のおまけの描き下ろし漫画では、ダーウィン博士が発明した3D投影シミュレーターを見た際には、「ロバートが生きてたら絶対に誇りに思う」と感動していた。
レオン・チャールズ博士
ダーウィン博士の昔の教え子。動物王国建国を目指していた事で、かつてはジェイク達とは敵だったが、後に改心し仲間となる。
「どっちが強い!? W」ではディグスと共にW主人公を務める。
ジェイソン・ディグス
ジェイクの父親である冒険家。通称「ディグス」。ダーウィン博士の教え子で、チャールズ博士とは兄弟弟子の関係である。普段は獣王の動向を追跡している。
「コブハクチョウvsオオカモメ」ではダーウィン博士の手で真っ二つに沈没する寸前のポセイドン号から森博士を連れて脱出する際にお姫様抱っこしている様子を息子に撮影され、妻に送信された事がある。
「どっちが強い!? W」では若い頃のチャールズ博士と共にW主人公を務める。
ティルダ
チャールズ博士が可愛がっているコアラ。
「どっちが強い!? からだレスキュー」ではダーウィン博士の必殺技を見よう見まねで体得している。
レイン・クラウド
恐竜キングダムの主人公。13歳。
ルイス同様、ジェイクとは基本犬猿の仲ではある。
「どっちが強い!? X」や、「どっちが強い!? A」でも主人公を務める。
「どっちが強い!? からだレスキュー」5巻ではショーン、ストーン、ダビンチ博士と共にイメージシーンでカメオ出演している。
ショーン・ストーム
レイン達のブレーンを担当している白髪の少年。13歳。
「どっちが強い!? A」でもレギュラーを務める。
ストーン・トランドル
修理やメンテナンスが得意なメカニック。15歳。
「どっちが強い!? A」でもレギュラーを務める。
レオ・ダビンチ博士
国立科学研究所の博士で、天才的な発明家。60歳。
冒険好きだが怠け者でもある。
「恐竜キングダム」「どっちが強い!? X」では彼が様々な先史時代にタイムスリップする事が物語の発端となる。
エミリー・スター
コンピュータに強い少女。13歳。
責任感が強いが自信過剰な性格をしている。
ダイアナ・クイーン
ダビンチ博士の助手。30歳。
スターズ
ダビンチ博士が発明したモバイルスーパーコンピューターロボット。外観はXベンチャー調査隊のロゴマークに似ている。
そのスペックは分析、記録、写真撮影、通信、動画やホログラムの投影、アナライザーなどの端末の内部データ解析など多機能に渡り、普段はレインの腕時計のホルダーに収納されている。
人工知能も搭載されており、皮肉屋な性格でもある。
由来は当シリーズ出版社の「KADOKAWA GEMPAK STARZ」から。
スカイ・クラウド
レインの父親。
「どっちが強い!? ジャコウウシvsヘラジカ」にもピーターの回想シーンの「Xベンチャー研究所内の強敵」のイメージで、ダーウィン博士・ディグス・チャールズと共にカメオ出演している。
世界裕福財団FWW
キンバリー・ロイヴィル
第1シーズンの敵。ルイスの父親で、息子の事を溺愛している。
その正体は世界裕福財団FWWのボスだった。
後にFWWを解散し、全財産を寄付している。
獣王一派
獣王/ハンニア
第3シーズンの敵。30歳。「動物の化身」と崇められている人物。人類と動物の共存を否定し、人類を滅ぼそうとテロを引き起こしている。
ダーウィン博士と互角の実力を持つが、一方で多重人格持ちであり、ジレンマに陥ると人格同士が主導権を争ってしまうという弱点を持つ。
かつては普通の人間だったのだが、カジノ船の遭難事故で救出された際に、共に過ごしてきた動物を人間に射殺された事で心境が変化してしまう。
更に、寄宿学校の恩師・ピーターにXベンチャー研究所にミンを捕らえられた事、並びにXベンチャー調査隊の負の部分を伝えられ、並びに動物同士の戦いによる違法なギャンブルを見た事により、Xベンチャー研究所だけでなく、全人類をも滅ぼす事を決意している。
アナスタシア
獣王の妹を名乗る少女。通称は「アナ」。
ターゼンと同じく、動物の言葉を理解する力を持つ。ポーカーフェイスではあるものの、動物を守る為に他の動物を犠牲にする事には嫌悪感を抱く等、獣王一派の中では温厚派である。
「マサイキリンvsサバンナシマウマ」にてターゼンと出会い、動物達に対するターゼンの姿勢を見た事で、本来敵であるXベンチャー調査隊の一員であるターゼンに、動物と話せる力を取り戻せるよう力を貸す事を決めている。
また、「ホシバナモグラvsウッドラット」ではジェイク達を見た事で、Xベンチャー調査隊にはターゼンの他にも良い人物がいるなど、考えを改めている。
ピーター
獣王の寄宿学校時代の恩師。
作中から60年前の「ナゾトキ・ハンター」にてXベンチャー調査隊の創設者であるアレックスに恩師であるミンを捕らえられた事からXベンチャー調査隊の事を憎悪しており、自身も不治の病で長くなかった事から、獣王を含めたXベンチャー調査隊と戦う有志を集めていた。
最終的に獣王の攻撃の巻き添えが致命傷となり死亡するも、彼にXベンチャー調査隊、並びに全人類に対しての敵対心という自身の意志を受け継がせる事に成功した。
リリー
獣王一派の一人で、ピーターの養子。
モッツァ
獣王一派の一人で、ピーターの養子。
イル
獣王一派の一人で、ピーターの養子。
ポセイドン・テリトリー
ミスター・ロン
環境保護団体「ポセイドン・テリトリー」のリーダー。
水色の髪が特徴的だったが、「コブハクチョウvsオオカモメ」にてダーウィン博士にポセイドン号を沈没させられてからはその人間離れした戦闘能力を見たショックで頭髪が抜け落ち、再登場した際にはスキンヘッドとなっている(その際、怪我の影響からか電動車椅子に乗っている)。
環境保護に対しては確かなビジョンを持っているが、目的の為ならば手段は一切選ばない性格をしており、過激な手段もいとわない。
その一方で、同じポセイドン・テリトリーのメンバーに対しては同情するなど、完全に冷徹な人間ではない。
過去に獣王に救われた事があり、最終的に「カナダカワウソvsアメリカビーバー」にてデモ隊と共に獣王の解放を行った事によりXベンチャー調査隊とは訣別する事となる。
しかし実際はウイルス兵器を作ろうとしていた獣王に人体実験の被験者としてポセイドン・テリトリーを利用されていただけにすぎず、最終的に「優柔不断な役立たずは必要ない」と、獣王に切り捨てられてしまい、Xベンチャー調査隊にワクチンサンプルの回収を依頼し、自身も……。
森博士
海洋学者の女性。
海洋学への熱意は確かにあるものの、自身の研究は周囲からお遊びと評されており、一人で(穴が開いて浸水している)おんぼろボートで研究を行っている(ボートはジェイクがバケツで水を掻き出すも、出港前に沈没した)。
「クジラvsダイオウイカ」ではXベンチャー調査隊と共に協力し、日本で起きたゴンドウクジラの不審な死を調査する。
後に「ミズダコvsノコギリエイ」で再登場し、ノコギリエイの密漁グループの話を聞いた事で再びXベンチャー調査隊に協力を依頼し、そこで出会ったポセイドン・テリトリーに加入するも、彼等の手段を選ばない過激なやり方を見て辟易していた。