CV:本田貴子
概要
「緋色の絶望」(あるいは単なる「絶望」)と呼ばれオーガストと並んで最強と称されるスプリガン12最強の女魔導士。
ただし、彼女自身はこの異名は「可愛くない」とぼやいている。
容姿は長い緋色の髪を持ち四つ編みにしている妙齢の美女で、どことなくエルザに似ている。
12では新参であるゴッドセレナと同じくイシュガル出身。
仲間内には鷹揚に振舞うが、故郷の話は禁句。敵に対してはえげつないほど残忍で、たまたま遭遇したヒスイ姫を王である父の前でネズミに変えている。
その正体と過去
エルザの実の母親にして、滅竜魔法を生み出した張本人。
元は400年前、イシュガルにかつてあった代々人間と竜が共存してきた王国 「ドラグノフ王国」の女王。性格は今と違い、昔は女王らしく優しい性格だった。姓は友であった賢竜ベルセリオンから継いだものであり、戦死した彼の無念を晴らすべく高位付加術を応用して最初の滅竜魔導士になり、竜との戦いに勝利した。
しかし、肉体が徐々に竜そのものに変化していくという副作用が発生し、当時子供を身ごもっていたにもかかわらず他国の将軍だった夫や配下たちからは化物扱いを受け牢屋に幽閉され、拷問、暴力、辱め等の壮絶な屈辱を味わうことになる。
それから3年後、魔力で成長を遅らせ体内で守り続けていた子供ごと夫に全否定され処刑宣告を受けられた後剣で腹を斬られた瞬間、激昂すると同時に完全に竜化して夫を踏み殺し王国を焼き払い、「私は人間だ!!!」「こんな体は嫌だ!!!人間に戻りたい」「誰か…助けて…」と泣き叫びながら飛び去った。
以降は子供を身ごもっていたまま人間に戻る方法を人気のない山奥で数百年間模索していた。ある日ゼレフと出会い、姿形だけは人間の姿を取り戻した。しかし、ゼレフでも外見しか戻せなかったため食事をしても味がしなかったり、寝ようとしても眠れなかったり、痒み、寒気、痛覚などの人間ではない異常な感覚に恐怖したが、まだ体内に人間の子供がいると気づき完全な人間の身体を得ることを望むようになる。
その対象として自らの子を選び出産するが、人格の付加に失敗した為、ローズマリー村にある教会のドアの前に捨てた。
その赤ん坊こそがエルザである。
親子対決
エルザとの親子対決の最中、ウェンディに人格付加を行うが、自身の元の身体に人格を付加したウェンディの手で互いに元の身体に戻されてしまう。やむを得ず、忌み嫌う竜の姿となって、神の星座崩しで召喚した隕石もエルザに破壊されて、エルザの剣撃を受けて人の姿に戻る。直後にエルザが倒れたところを彼女の剣を拾ってトドメを刺そうとする。しかし、エルザの笑みを見て、エルザを捨てた本当の理由である「我が子・エルザへの母性愛から、娘への人格付加に罪悪感を抱いた為、捨てる形で娘への人格付加を諦めた」とその記憶を揺さぶられ、また同じことを繰り返すまいと思い出し自害する道を選び死亡した。
復活
実はウェンディに人格付加したことで縁が生じたためか、絶命の瞬間に意図せずして再度人格を付加してしまい、それから1年間彼女の中で眠りについていた。そして『FT100YQ』にて、ウェンディが残留思念付加により自身の力を引き出したことに呼応し覚醒する。
死を経験し戦いにも敗北したためか、あるいは母性を取り戻したためか、「妖精の尻尾」への敵意は薄れており、強敵と戦うウェンディに知恵を貸している。
緋色の絶望、その最期
いずれは別の身体を得てウェンディから離れると語っていた彼女だったが、実のところ生きることへの未練は既になかった。
しかし、元々の高すぎる魔力によって亡霊のような形で現世に留まってしまい、簡単に消滅することもできずにいた。
そんな状況下でウェンディに間借りしていた彼女は、その目を通して我が子エルザの姿を見続けたことで、己の罪を痛感させられることになった。
それゆえに、「母親であることの証明」のため、さらに人格付加の継続により将来ウェンディに悪影響を与えないために自ら消えることを望んだ末、月神竜セレーネが負った呪いの傷を引き受け、魔力が存在しないエドラスに転送してもらうことで、ようやく死を迎えることができた。
後にその魂は、並行世界のエルザの娘として生まれ変わることになった。
能力
高位付加術士(ハイエンチャンター)である彼女は全てのものに対し魔法付加を与え変化させることが可能(ゼレフからは魔力を付ける外すの天才と言われているほど)。
これによって、 雪山である霊峰ゾニアの一面を花畑にした。文章にしたらほほえましく聞こえるが、周辺の環境や気候を自在に変えてしまっている。
攻撃にも転用でき、大気への付加で地面すらえぐる突風を出しており、アクノロギアすらとりあえず褒めたほど。
他にも相手の姿を変えたり、空に巨大な目を投影して周囲の様子を探る、味方の兵士に魔法効果を付加する、相手の付加術を分離する、剣に人格を付加し擬人化させることまで可能。
また、ドラゴンの力を人間に付加することにより、竜と同等の力を得る魔法、滅竜魔法を編み出した。
つまり、彼女はエルザの母であると同時に、アクノロギアを含めた作中全ての滅竜魔道士(ドラゴンスレイヤー)にとっても母親のような存在なのだ。
- ユニバース・ワン
大地全体に魔法効果を付加し、大地を圧縮して形を変える「世界再構築魔法」。本人曰く、「400年前にも、その以前にも存在しなかった新時代の魔法」。
発動させると特定の対象を特定の場所に配置し、それ以外のものは、ランダムに再配置される(これは人だけでなく、自然も対象のようだ)。
作中ではフィオーレ王国全土を光に包み、スプリガンを「妖精の尻尾」の近く、アクノロギアを遥か彼方に配置した。
その反作用で王国中の人間の位置が滅茶苦茶に再配置されている(アイリーン自身も例外ではない)。
それだけならまだいいが、王国の縮尺を20分の1以上に縮めた。これにより、アルバレス勢との遭遇率が高まっている。
またこの魔法により王国は自然環境(一例として天狼島が陸続きになった)も建造物(一例としてガルディア大聖堂とメルクリアスが隣り合わせに)もめちゃくちゃに入り混じった配置となった。
このように一瞬にしてアルバレス帝国側が一気に有利になる状況を作り上げてしまったわけだが、アルバレス側としての誤算として(まあ、誰一人として気にも留めないが)、仕留めたはずのガジルがこの世に戻ってくる結果になった。
- 補足
ちなみに、この魔法が発動したのは本編489話で、単行本で言うと57巻に収録されているが、57巻に収録された483〜490話のタイトルにはある仕掛けが存在する。以下にタイトルを挙げていくと、
・483話『七つの星』
・484話『バケモノ6人』
・485話『五日ぶりの飯』
・486話『4人目の客』
・487話『第三の印』
・488話『ずっと二人で』
・489話『ユニバース・ワン』
・490話『フェアリーテイル ZERO』
タイトルを順に追っていくと、7から始まり0まで続いていることがわかる。そう、483話からユニバース・ワン発動へのカウントダウンが始まっていたのである。作者曰く『週刊雑誌の特性を活かしたお遊び』とのこと。
- 極限付加術(マスターエンチャント)
付加術の力を増幅させる賢竜になることで使用できる高位付加術(ハイエンチャント)の上位技。
大地や空、海などあらゆるものを超越し、天体への付加術を可能にし、宇宙空間から超巨大な隕石を引き寄せる神の星座崩し(デウス・セーマ)を放った。
関連タグ
FAIRYTAIL スプリガン12 ゼレフ アクノロギア エルザ・スカーレット
紅婦人:次作・EDENSZEROに登場する敵母。主人公の仲間側の実の娘を捨てたことも同じだが、アイリーンが実の娘への愛情が僅かながらに残っていたのに対し、紅婦人は一切なく、改心することないまま退場する真逆の結末を迎えた。