人物
「スプリガン12」総長にして別名「魔導王」。
豊かな髭を蓄え襟が分かれたマントを羽織り、杖を持った老人という、如何にも大魔法使いという外見。咄嗟にラクサスの放った電撃からアジィールを庇うなど普段は仲間思いで温厚。ブランディッシュ・μとは彼女が小さい頃からの付き合いで、おじいちゃんと慕われている。
スプリガン12では話が通じる人物と目されているが、ゼレフに対する忠義は極めて厚く彼の起こす戦いの意味を理解できない者は全て敵と断じる程。また、ラーケイドに対しては少々冷たく、それは招集にも碌に応じない協調性の無さ故かと思われているが?
マカロフをして「他のスプリガン12とは別格」と言わしめる程の魔力の持ち主で、扱う魔法の種類だけならゼレフすら凌駕し、古今東西のあらゆる系統の魔法を使いこなす。単純な強さならば別次元の一言。戦闘時には肌が赤く染まり黄色い紋様が顔面に現れる。
その実力からアラキタシアでは名を冠する8月(オーガスト)は厄災が集まる「恐怖の月」と呼ばれ、皆は8月を乗り越えるために祈り、慎み、正直に暮らすという。
ネタバレ注意
その正体はゼレフとメイビスの実の息子。すなわち主人公のナツの甥にして、本来であれば「アルバレス帝国皇太子 オーガスト・ドラグニル」と呼ばれるべき人物。
蘇生用の魔水晶に封じられたメイビスの体から生命反応を感じたプレヒト・ゲイボルグによって取り上げられたが、光とも闇ともつかない強大な魔力を持って生まれたが故に彼の手で何処かへ捨てられた。桁違いの魔力故かこの生まれて間もない頃の記憶を有しており、両親の事も知っていた。
生きるために盗みを働いて周囲に疎まれ続けた中、父のゼレフと出会い、彼からメイビスに似ていることを指摘されて彼女と過ごした大切な時間である8月から「オーガスト」の名を与えられ、共に国造りをするためにゼレフの部下になった。
だが、自分がゼレフの息子であることを誰も知らないために彼は誰からも愛されることなく、前述のラーケイドへの態度は実の息子である自身を差し置いて「ゼレフの息子」と名乗っている事への嫉妬と思われる。
活躍
イシュガル侵攻時にはゴッドセレナ、ジェイコブと共にボスコを制圧し、フィオーレ東方から攻め込む。ナツ達と共に交渉に来たブランディッシュに戦いから退くよう頼まれ、その際に自分の叔父に当たるナツに「何か」を感じ取る。
だが、ブランディッシュを信用できなかったメストがブランディッシュを操って自分に傷を負わせたことに激怒。強力な熱系の魔法でナツ達を吹き飛ばし、「ユニバースワン」によって大陸の地形がシャッフルされた後はメルディとソラノを除く「魔女の罪」を全滅させた。
アイリーンの死後、カルディア大聖堂にて自分とラーケイド以外の全滅した「スプリガン12」に代わりマグノリアごとナツ達を破壊しようとするが、ギルダーツとカナの親子と対峙する。
自分が理解できない親子の愛情を知るためカナを殺すことを示唆してギルダーツを挑発するが、自分の魔法の正体と弱点を見抜かれた結果、カナのカードによる援護とギルダーツの義手の一撃を受けて、自問していた「なぜ陛下の子(自分)は愛されなかったのか」の答えが「存在に気付いてもらえなかった」からだと悟る。
満身創痍でもなお禁呪「アルス=マギア」で自分もろとも「妖精の尻尾」を滅しようとするが、母であるメイビスの姿を見て詠唱を止め、「一度でいいから母の手に抱かれたかった」という想いを抱きながら消滅した。両親には息子である自分の存在すら知られずに死別したが、その最期の声は母たるメイビスに届いた。
魔法
古今東西ありとあらゆる魔法を使いこなす。その実態は相手の魔法の瞬時にコピーする事であり、同時に目の前にいる魔導士の魔法を無効化することも出来る。
魔法のカラクリ自体は至極単純だが、この『一度コピーした魔法を無効化する』という効果がとてつもなく凶悪で、一度でも防がれたらその魔法は二度とオーガストには通用しなくなってしまう。そしてコピーした魔法は、オーガストの桁外れの魔力によってオリジナルを遥かに凌ぐ力をもって元の使用者に跳ね返ってくる。
このため、魔法が飛び交う乱戦や多勢に無勢の戦いには無類の強さを発揮する。戦えば戦うだけオーガストの手数が増えていくばかりなため、後述の弱点に気づけなければ間違いなく詰んでしまう。
唯一にして最大の弱点は、道具を介して発動する魔法だけはコピーも無効化もできないこと。具体的にはカナのカードを用いた所持(ホルダー)系魔法や、鍵を介して発動する精霊魔法など。また、義手や義足も道具の扱いなため、これらを介して発動する魔法もコピーの対象外。実際にギルダーツは義手から魔法を発動することによってオーガストにダメージを与えている。
アルス=マギア
自分の体が消滅することを代価に発動する古代魔法。範囲内の人間から呼吸を奪い、生物の血を蒸発させ一国の大地をも溶かす威力を持つ禁呪。