概要
アリタリアとは、イタリア語で「翼」を表す「アリ」とイタリアをかけた造語である。
1947年9月16日に設立された。1962年5月には日本路線(東京線)を開設している。
チェコスロバキア航空(現チェコ航空)との共同運航便のためにツポレフTu-104をごく短期間飛ばしたことがある。
経営悪化と再建
2001年の同時多発テロ以降、経営が著しく悪化し、イタリア政府が株式の49%を保有して国有化された。しかし労働組合の反対もありリストラは進んでいない。
2007年12月21日にはアリタリア航空と同じくスカイチームに加盟するエールフランスとKLMオランダ航空の持ち株会社『エールフランス-KLM』へ28日には株を売却する交渉を決定した。
2008年3月にアリタリアが買収案を受け入れたものの、労働組合の反発により交渉が難航、イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相も「エールフランス-KLMの買収案を拒否する」と発言したものの。アリタリア航空が3月26日にエールフランス-KLMへの売却案を可決するなど、迷走状態が続いた。結局4月2日、アリタリア航空労働組合の反対によりエールフランス-KLMは買収を断念した。
その後イタリア政府が航空事業会社と清算対象会社に分割する案を定め、8月29日にアリタリア航空が同意。航空事業会社にはベネトンや大手銀行などの融資を受け入れ、ヨーロッパ域内はエアワン、長距離国際線はエールフランス-KLMやドイツのルフトハンザドイツ航空と提携する計画である。9月18日に労働組合の反発からベネトンなどが脱退した。9月26日に主な労働組合が合意したため分割救済案が実施。分割後の新会社は「イタリア航空」となった。2009年1月13日には完全に民営化、「アリタリアーイタリア航空」に改称した。
経営難が続く中、2014年2月UAE・アブダビのエティハド航空による出資話が浮上、8月にはエティハドがアリタリアの株式の49%を取得し、アリタリアはエティハド傘下になった。12月には経営を巡る対立でフェラーリの会長を辞任したルカ・ディ・モンテゼモーロがアリタリアの会長に就任した。
2015年の「ミラノ万博」には両社共同でパビリオンを出展。開催期間中には両社の旅客機には共通の特別塗装機が運航された。またこれまで長距離機を保有していなかったイタリア政府の政府専用機もエティハドからのリースという形で調達する事が可能となった。
しかし2017年に経営が悪化。3月には経営不振の責任を取りモンテゼモーロが会長を辞任。4月には社員数削減や給料カットなどの経営再建策を立てたが否決され、5月2日に特別管財人による経営管理を申請し事実上倒産した。それでも運航を続けている。
イタリア政府は10月再建スポンサーを募集し、ルフトハンザやイギリスのLCC・イージージェットなど7陣営が入札した。しかしイタリアの政局が混沌としており、何度も延期を重ねる有様であった。
だが2019年7月にイタリアの鉄道会社であり、国有企業であるイタリア国鉄と、イタリアの高速道路と空港の管理を行う民間企業のアトランティア、さらにはアメリカの航空会社デルタ航空の手によって再建されることが決まった。
終焉
ところが実際には支援を予定していた会社間での調整がまとまらず、2020年1月にイタリア国鉄が再建パートナーから離脱してしまう。
さらにはイタリア国鉄に代わる再建パートナーが見つからなかった上に新型コロナウイルスの影響で利用者が激減してしまった事もあり、2020年4月に事実上の再建断念を宣言してしまう。
そして2020年10月、その後継として国営航空会社「ITAエアウェイズ」が設立される事となった。そしてそのITAに後を託す格好で2021年10月14日、全ての便の運行を終了した。
なお日本路線に関しては新会社には引き継がれなかったが、2022年11月、ローマ-東京線を改めて開設した。
ランチア・ストラトス
ちなみに、アリタリア航空は世界ラリー選手権(WRC)で活躍したラリーカー ランチア・ストラトスのスポンサーを務めており、このストラトスはアリタリアカラーとも呼ばれている(なお、ゲーム「グランツーリスモ」では5以降では上記の関係からかアリタリアがポリフォニーデジタル(グランツーリスモの開発会社)に差し替えられている。)