概要
山の中に棲む空を飛ぶ一つ目の化け物で、とても尖った嘴を持つ怪鳥であるともいわれる。
目の前にどんなに硬い樹木や岩があっても突き抜けて飛ぶことができ、その場には大穴が開くともいわれている。
元は創世神コタンコロカムイの失敗作である木の魔神カシカムイ(ドロノキ)で造った、いくらこすっても粉が出るだけで火が付かない発火棒(カッチ)が化けたものであるという。
なお対になる発火台(カルソ)のほうは、ケナシコルウナルペになったとされる。
民話によってはアイヌを埋葬する際に遺体をゴザで巻いて縄で縛ったものである「チシナオッ」に四本の足が生えたものであるとされることもある、謎多き妖怪である。
漫画『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修者である中川裕氏は、この妖怪の正体は本来はアイヌモシリにいないはずのイノシシではないかと考察している(本州から泳いで渡ることは可能であるという報告もある)。
この姿のものに白犬を連れたアイヌの少年が出会い、一頭のヒグマと三頭のオオカミの助力を得たのにもかかわらず、とても強くて適わなかったが、最後はミントゥチによって倒されたと伝わる。
別名はモシレチクチクイワエチクチクで、資料によってはイワエツゥンナイとも表記される。