概要
アイヌ民族の伝承に登場する妖怪で、名前の意味はそのまま「山の人」である。
キムンアイヌやキムンクッ(山にいる神)、キモカイクッ(山においでになる神)という名でも呼ばれ、頭が禿げていると言われることからオケン(つるっぱげ)、ロンコロオヤシ(禿頭お化け)という呼び名もある。
人に似ているとも単眼であるとも言われ、キムン・セタと呼ばれる猟犬をつれていることもある。
基本的に人の血を嫌うために攻撃的ではないが、怒らせたり禁忌を犯したために殺されるという民話や伝承も多い。
足がとても速く山中を駆け巡り、熊でさえ手づかみで殺すほどの怪力を持つが、出会ってしまったら大好きだというタバコに火をつけて渡すか、「山の神さんにあげます」と言って一掴み渡すと去っていく。
風が無いときの倒木もキムナイヌの仕業といわれ、「山の小父さん、お前さんの上に木が倒れていくよ」というと退散していくともいわれる。
樺太の伝承では「守り神さんたち、手伝っておくれ」と頼むと荷物を軽くしてくれるというが、禿げ頭であることを気にしているため、そのことに触れてしまうと山を荒し急な暴風雨や倒木、木片を飛ばしてくるという。
創作での扱い
キムナヌと呼ばれ、取り憑かれると強欲になり、人々から嫌われるという設定が加わっている。
人に化けており、ハゲ頭をバカにされると正体を現すとされる。
ぬ~べ~が除霊しようとハゲた男性をバカにしまくるが、その人物はただの人間だったためボコボコにされる。
本人はカツラを被っていたために気づかれず、ぬ~べ~の姿を見届けるとタバコを吹かしながら去っていった。
「ようかいしりとり」という楽曲でまさかの歌詞に採用されるという優遇を受ける。
…まあ、歌詞全体を見ても結構マニアックな妖怪が多いのだが。
ちなみにここでの姿は、禿げ頭のアイヌの男性のような姿である。
- 漁師の角度
北海道出身の造形作家竹谷隆之氏作の造形SFストーリー。
地形が変わるほどの環境兵器が用いられ、異形の生物が蔓延るようになった北海道に棲むキムンセタが登場。
服を着た座敷犬のような生き物で、顔には目は無く遊びで人を襲って猛毒の牙で殺す恐ろしくも歪んだ存在である。
漁師のカネヒサ爺さんのところのアイヌ犬・新田が説得に出向いたのだが...