概要
南アメリカのペルーからエクアドル、コロンビアに分布しているクワガタムシの属の一つ。
学名は「Onorelucanus」。前胸が幅広く見えるため、和名で「ムナビロクワガタ属」と呼ばれる場合もある。
体長は最大でも20mm未満とかなりの小型である。
上翅はオスメス共に点刻と縦縞が入る。
最大の特徴は上翅全体が青くなることであり、メスは前胸にも青が入るため全体が青く見える。
他に青が入る種はドウイロクワガタがいるが、脚と大顎が青くなる程度で広くは入らない。また、ニジイロクワガタ、パプアキンイロクワガタ、メタリフェルホソアカクワガタ、チリクワガタなどに青が入ることがあるが、いずれも部分的に変色で青くなるか色彩変異の場合がほとんどであり、標準的に青が広く入るのは本属のみである。
主な種
ムナビロクワガタ(O aequatorianus)
本属の基準種で、エクアドル中部のピチンチャ県やコトパクシ県に分布している。
大顎は強く湾曲し、上に反るようにして伸びる。内歯は中間に付く。体型はネブトクワガタのような外観となる。
マルジャムナビロクワガタ(O marujae)
ペルーに生息。当初ムネツノクワガタ属(Sclerostomus)として記載された。そのためマルジャムネツノクワガタという名前でも知られる。
ヒナムイムムナビロクワガタ(O heenamimae)
2023年に記載された種で、ペルーに分布している。
大顎は短い上に間隔が狭く、短歯型のツヤクワガタのような外観となり、内歯の形状は台形状となる。
ノグチムナビロクワガタ(O noguchii)
ペルー南部のアヤクーチョ県に生息。体の点刻が強く、ざらざらしたような印象を受ける。
オノレムナビロクワガタ(O onorei)
エクアドル中部のコトパクシ県に生息。体色は黒く、まっすぐに伸びた大顎を持つ。
プルベロサスムナビロクワガタ(O pulverosus)
コロンビア、エクアドルに生息。長い大顎を持ち、小型の種ばかりの本属の中では立派な印象を受ける。黒と赤の体色を持つものと薄い赤色の個体が存在する。当初、ヒョウモンクワガタ属(Scortizus)として記載された。また、 Onorelucanus ismaeli (記載自体は Scortizus ismaeli として行われた)という学名はシノニムである。
ニグロスツラリスムナビロクワガタ(O nigrosuturalis)
エクアドル東部のモロナ・サンティアゴ県に生息。当初アラスジクワガタ属(Aegognathus)として記載された。メスのみが知られている種で、体色は赤みがかっており、全身の点刻は強い。
ボワロームナビロクワガタ(O boileaui)
ペルー北西部のラ・リベルタ県に生息。現在メスのみが知られている種で、前翅の点刻は強い。当初ダルマムネツノクワガタ属(Altitatiayus)として記載された。
ルフォリネアトゥスムナビロクワガタ(O rufolineatus)
エクアドルに生息。(国内の詳しい生息地は不明)体色は黒く、前翅に2本の赤い筋のような模様があるのが特徴。当初はツヤケシクワガタ属(Metadorcus)として記載された。メスのみが知られているが、オスとされる個体が報告されたことがある。しかしどうやらそれはニセヒョウモンクワガタ( Pseudoscortizus incredibilis )という別のクワガタムシもしくはそれの近縁種であると思われるようだ。(出典。"Remarks"を参照)