それはまるで奇跡だった。
そう、火星の歴史に刻まれることになった、「 奇跡の7分間 」。
これは、その原動力となった二人の少女の物語である。
概要
『 キャロル&チューズデイ 』とは、2019年4月から同年9月にかけてNetflixで配信されたオリジナルアニメ。フジテレビ系列の基幹局8局中5局とBSフジのアニメ放送枠・+Ultraでも放送されている。
人類が火星に移住してから約50年が経った世界では、AIが音楽を提供することが当たり前になっていた。そんな中で偶然出会った2人の少女、キャロルとチューズデイが自分達で作った音楽でミュージシャンを目指す姿が描かれる。
総監督は『カウボーイビバップ』や『サムライチャンプルー』の監督を務めた渡辺信一郎、監督は堀元宣。制作はボンズであり、ボンズ20周年×フライングドッグ10周年記念作でもある。
作中の音楽は世界中に通用する作品にしたいというコンセプトの元、歌詞は全英詞になり、メインキャラクターの歌唱についても声優ではなく外人歌手を起用する分業体制になる。楽曲制作についても多数の洋楽アーティストらが参加している。
また山高守人によるコミカライズ版がヤングエース2019年6月号から2020年8月号にかけて連載された。単行本は全3巻。
登場人物
キャロル (cv.島袋美由利 / Vo. Nai Br.XX)
火星の大都市・アルバシティでフリーターとして生計を立てながら、路上で弾き語りをしていた17歳の少女。褐色の肌で黒髪のドレッドロックスをひっつめている。地球の難民キャンプで生まれて火星へ移住し、物心つく頃には親も居らず、現在はとある物件の大家の物置に住まわせてもらっている。気さくで砕けた性格。
担当は慣れ親しんだキーボードやピアノ。誰も気に留めていなかったはずの自分の曲に足を止めたチューズデイと出会い、共にミュージシャンを目指す。
チューズデイ (cv.市ノ瀬加那 / Vo. Celeina Ann)
火星の地方都市・ハーシェルシティの裕福な家に生まれた17歳の少女。金髪のロングヘアに碧眼、そばかすがある。不自由も無く暮らしてきたが、エリート家族のプレッシャーに潰されそうになる中で音楽に救われ、音楽家になる夢を抱く。
周囲に理解されないまま、愛用のギブソンとスーツケースを抱えて家出し、アルバシティで出会ったキャロルの家に転がり込んで、共にミュージシャンを目指す。
ジギー (cv.福西勝也)
キャロルと暮らす、フクロウの姿をしたペットAI。目覚まし時計を兼ねており、アラームと共に持ち主を文字通り叩き起こす。警戒心が強い。
ガス (cv.大塚明夫)
54歳の大柄なヒゲオヤジ。今は無きテキサス出身。ロディが投稿したゲリラライブの映像からキャロルとチューズデイの才能を見出し、マネージャーとして二人のもとに押しかける。自称「敏腕」だが、売出し方法はアナログで大雑把。かつてはバンドマンで、業界の酸いも甘いも経験しており、二人のアーティストを守り育てようという思いは真剣そのもの。スタイリストの元妻がいるが、関係は良好。
ロディ (cv.入野自由)
フリーのシステムエンジニア兼AIプログラマ。17歳の赤毛の少年。オタク趣味があり、ロボットアニメや大昔のボーカロイド楽曲を愛好している。メモリアルホールの調整中にキャロルとチューズデイのゲリラライブに遭遇、二人の奏でる音楽に心を打たれ、デビューのためのサポートを買って出る。
アーティガンとはAIオペレータとして付き合いがある他、対抗心剥き出しのガスとダリアに板挟みにされたりと、気苦労が多い。
アンジェラ (cv.上坂すみれ / Vo. Alisa)
モデル兼タレントとして十二分の知名度を誇る、子役出身の16歳の少女。タオのプロデュースを受け、歌手としての転身に踏み切る。ぶっつけ本番にも対応する度胸とハングリー精神の持ち主で、タオの手荒なトレーニングの効果もあってか、歌唱力は折紙付き。親であるダリアの元を離れて一人暮らしをしている。
マーズブライテスト本選へと勝ち進んだC&Tに向けて「調子に乗った素人」と言い放つが、ガスにはライバル宣言として好意的に受け取られている。
タオ (cv.神谷浩史)
ヒットメイカーとして数々のAI歌手を世に送り出している音楽プロデューサー。徹底してAIに分析管理されたプロデュースの下、人間としては最初の作品となるアンジェラをスターダムへと導く、冷徹でビジネスライクな青年。ダリアの調べでは、マインドコントロールに造詣の深い元・脳科学研究者とのことだが……。
今日日、AIを使わずに曲を作っているC&Tのスタイルには、少なからず興味を抱いている様子。
ダリア (cv.堀内賢雄)
アンジェラの親であり、彼女を子役時代からマネージメントしてきた。現在はモデルエージェント。恰幅が良く、火星環境の影響で性別は判然としないが、アンジェラは「ママ」と呼んでいる。
ケイティ・キムラ (CV.東山奈央)
マーズブライテストを控えたアンジェラに付いた、新しいマネージャー。何かと辛辣なアンジェラを甲斐甲斐しくサポートする。
アーティガン (cv.宮野真守)
著名なDJであり音楽プロデューサー。尊大な態度の自分大好きな自信家。C&Tとは一悶着あったことを根に持っており、後にマーズブライテストで顔を合わせることになる。
ヴァレリー (cv.宮寺智子)
チューズデイとスペンサーの母親で、ハーシェル州の現職知事。二度の離婚を経験しているためか、チューズデイは父親のことをよく覚えていない。落ちこぼれの娘に手を焼いており、家出についても理解に苦しんでいる。
スペンサー (cv.櫻井孝宏)
チューズデイの兄。ハーバード大学火星校に在籍するエリート大学生。ヴァレリーの指示を受けて妹を捜し歩くが、キャロルと共に歌う彼女の姿を目にして、声もかけずにその場を立ち去る。
クリスタル (cv.坂本真綾 / Vo. Lauren Dyson)
ダンス、ヴォーカルとも高い評価を受ける、火星を代表する女性アーティスト。キャロルとチューズデイにとっても憧れの存在。サイドニアフェスでブーイングを浴びせられながらも自分たちの演奏をして見せたC&Tに、力強い称賛を贈る。
スキップ (cv.安元洋貴 / Vo. Thundercat)
サイドニアフェスでC&Tが出くわした大柄なベーシスト。二人を件の動画で見知っており、自分たちの音を見失わないようにと助言を授けていく。地声のバリトンボイスからは想像もつかない繊細な歌声を持ち、その音楽性は業界でも高い評価を受けている。
ヘフナー (cv.大塚芳忠)
ガスとは旧知のオーガナイザー。ライブへの出演交渉に訪れたガスをあしらうが、思わぬ形で立場が逆転することに。
ヨシュア (cv.梶裕貴)
カリスマバンド「オメガ」のお騒がせヴォーカリスト。ヘフナーが開催に携わるサイドニアフェスへの出演が決まっていたものの、精神的に非常に不安定で、ステージに穴が開いた際の補欠要員としてC&Tにお鉢が回ってくる。
シュバルツ (cv.菅生隆之)
ヘッジファンド「インターギャラクティック」の主で、タオの才能に目をかけている投資家。タオのプロデュース業を「遊び」と呼びながらも、彼が売り込みに来たアンジェラの価値を見込んで大金を出資する。
イデア (cv.佐武宇綺)
手足の生えた黄色い球体のような形をしたAIロボット。性格は生意気。C&TのMV撮影作戦のためディレクターとして購入されるが、周囲を散々振り回したあげく、方々から低評価を食らっている不良品であることが露見して敢え無く返品となった。
何故かマーズブライテストにも応募している。
マーズブライテスト編
20万人の応募者から選ばれた8組の出場者がトーナメント形式で競い合うオーディション番組。アンジェラは特別枠として本選からの参加となっている。
ピョートル (CV.蒼井翔太 / Vo. J R Price)
SNSでフォロワー80万人を数える有名人。「パゥ!」という挨拶と軽いノリで絡む、端正なルックスの青年。承認欲求を隠さない図太さの持ち主で、やや奇矯な振る舞いに反してパフォーマンスは正統派ど真ん中。歌もダンスも一級品に磨き上げている。
シベール (cv.佐倉綾音 / Vo. Maika Loubté)
ボーイッシュな外見をした儚げな少女。チューズデイに対して強い執着を見せ、C&Tのオーディション参加を知って自身も本選に勝ち残った。耽美的な思考を持ち、アーティストとしても可能性を感じさせるが、どこか危うい言動でC&Tを振り回す。
ファイヤー兄弟 (cv.飯塚昭三 / Vo. 竹内浩明)
エレキギターを提げたヨボヨボの老兄弟。老体に似つかわしくない激しいパフォーマンスで会場の度肝を抜いた。
OGブルドッグ (cv.白熊寛嗣 / Vo. 工藤和真)
ギャング、ドラッグディーラーなど物騒な経歴を持つ、いかつい見た目の男性。C&Tの最初の対戦相手で、攻撃的なパフォーマンスで二人を震え上がらせる。
マーメイド・シスターズ (cv.浅沼晋太郎 / Vo. クリヤマユウリ)
魔法少女のような3人と半裸の1人の、4人組コーラスグループ。美しいアカペラでGGKに挑むが……?
GGK (cv.久野美咲 / Vo. Madison McFerrin)
スレンダーでミステリアスな女性アーティスト。「宇宙と繋がっている」という独特の世界観を持ち、審査員とのやり取りでもブレのない強烈なキャラクターを示す。
カトリーヌ (cv.田村聖子)
辛口担当の女性審査員。批評も称賛も歯に衣着せずといったタイプ。
ベニート (cv.落合弘治)
柔和な態度の男性審査員。選り抜かれた出場者たちが見せるパフォーマンスに目を輝かせ、乙女チックな反応を見せる。
シャクティ (cv.吉野裕行)
犬型ロボットの姿をした、ユーモアを併せ持ったAI審査員。
スタッフ
原作 | BONES、渡辺信一郎 |
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総監督 | 渡辺信一郎 |
監督 | 堀元宣 |
キャラクター原案 | 窪之内英策 |
キャラクターデザイン | 斎藤恒徳 |
メインアニメーター | 伊藤嘉之、紺野直幸 |
世界観デザイン | ロマン・トマ、ブリュネ・スタニスラス |
美術監督 | 河野羚 |
色彩設計 | 垣田由紀子 |
撮影監督 | 池上真崇 |
3DCGディレクター | 三宅拓馬 |
編集 | 坂本久美子 |
MIXエンジニア | 藪原正史 |
音響効果 | 倉橋静男、西佐知子 |
音楽 | Mocky(英語版) |
音楽制作 | フライングドッグ |