概要
特殊部隊「サーカス(Thou-Cus)」が運用する「サウザンド・カスタム」シリーズの1機に数えられるモビルスーツ。パイロットはアニマーレ・ベルヴァ。
地上戦仕様の開発未認可機。地上での運用を想定し、不整地であっても安定した機動力を発揮させる事をコンセプトとしており、人型形態にこだわる事を捨て、四足歩行形態「アニマルモード」への変形機構を持たせる事でそのコンセプトを完成させている。
この四足歩行形態はライオンを彷彿とさせるシルエットを成している。加えてこの形態こそが本領である事を示すように、放熱のフェイスオープンは明らかにアニマルモードを前提とした形状になっている。
ライオンの鬣(たてがみ)に相当する部位にはそれぞれビームサーベルが搭載されており、合計10基のそれを集約させた際の突破力はビームシールドを容易に突き破る出力を発揮し、加えて突進時には機体を守る盾ともなる。四肢を利用した急速な方向転換から繰り出される体当たり攻撃を防ぐ事は困難であり、その姿は「走る弾丸」に喩えられる。この『大出力・大型ビームサーベルを用いて敵機を完全撃破する』運用思想は、大気中ではMSを爆発さないで行動不能にしなければならない(=核爆発を起こしてはいけない)という、宇宙世紀0120年代以降のMS戦における絶対の基本原則を完全に無視しており、地球環境への核汚染に対する理解の無い木星共和国ならではと言える。
更に、当然ながら平地におけるスピードは車輪型のアインラッドに大きく劣るため、不整地で“のみ”運用価値の在る機体である。
加えて携行武装は電磁ムチのみと、ビームライフルのような射撃武器を装備していない。この電磁ムチは一定の延長機能を有しているが、宇宙世紀0150年代のMSは、上記のアインラッドも含めミノフスキー・エフェクトによる大気圏内での自由飛行が常識となっている事から、(劇中のような探索任務でなければ)空爆(絨毯爆撃)を受けた場合に文字通り手も足もでなくなってしまう。
このように本機は既に「時代遅れ」とすら言える設計であり、「一騎当千」というよりは、市街地へのテロ行為を想定した機体と見なすべきである。