トヨタ クイックデリバリーは、トヨタ自動車が1982年から2016年まで製造・販売していたウォークスルーバン。
概要
バスに似た背の高い車体が特徴のウォークスルーバンはそれまで日本では馴染みのない車種だったが、小口配送大手のヤマト運輸が「室内作業時に(腰痛などの怪我の心配が少ない)腰をかがめる必要がない車両を開発してほしい」という要請に基づいて開発された。
登場時はヤマト運輸専用車という位置付けだったが、後に(同社に無断で)市販が開始された。とはいえ、ヤマト運輸以外にはそれほど普及せず、実質的に終始同社専用車であった。
ヤマト運輸以外では、飲食物の移動販売車(キッチンカー)、主に輸入工具を扱う工具商社のセールスバンやキャンピングカーのベース車輌に使われたが、総生産数からすれば圧倒的な少数派である。
一般向けは2011年、ヤマト運輸向けは2016年に販売が中止されている。
機構など
元々はダイナ/トヨエース系の2トンクラスのトラックのシャーシに箱型の車体を架装したものである。
世代別には1982年~95年までの「初代」、1985~2000年までの「2代目」、1999年~2016年までの「3代目」に、積載量別では1t(1.25t/1.5t)積と2t積(1985年~)に大別される。
1t車と2t車は外観こそさほど変わらないものの、エンジンや駆動系、サスペンションなど殆どが別モノである。
通常の後輪駆動車のほかに、積雪地向けの四輪駆動車、トランスミッションもMT車とAT車が設定されていた。
エンジンはディーゼルエンジンを基本とし、低公害型のLPGエンジン車も設定された。
2t車は、2006年から全車がハイブリッド(日野製)となった。
総じて、用途がごく限られた車両ながらかなりのバリエーションが存在したことになる。
その他
- トヨタ以外からも、いすゞビギンや日産アトラスウォークスルーバン/アトラスロコといった同種の車両が登場したものの、クイックデリバリーの牙城は崩せず、短命に終わった。
- トヨタからも、その縮小版とも言えるデリボーイが登場したものの、こちらも長続きしなかった
- 開発費はヤマト運輸が負担したという。
- 航空自衛隊で採用されている。
- 鉄腕DASHのコーナーの一つ、0円食堂で使われているキッチンカーは元々工具販売車だった中古車(2002年式)を城島が改造したものである。後部に取り付けられた独特な形の煙突は城島のこだわり。
- 初代モデルが田宮模型より1/24のプラモデルとして販売された際、ヤマト運輸から宅急便カラーの許諾が下りなかったことから、ライバル会社でもある佐川急便のカラーリングで発売された(2013年の再販の際はタミヤ仕様として再販されている)。