クビワオオツノカナブン
くびわおおつのかなぶん
熱帯アフリカ地域のコンゴ民主共和国からギニアにかけて分布している。
学名は「Mecynorhina torquata」。小種名に準じてトルクアータオオツノカナブンと呼ばれることもある。
オオツノカナブン属の最大種であり、体長は大型個体で80mm以上に達する。
性的二形を有し、オスは根本がひし形状に広がる頭角が生え突起が形成される。小型個体では頭角の突起が消失する。性別に関係無く頭部の表側と前胸の裏側が白くなる。
オスの前脚は脛節が肥大化して長くなり、鋭く発達した棘が生える。
体表は表側がビロード状となり、裏側は鈍い金属光沢を帯びる。体色はカナブンらしく緑の金属色を帯びる個体が多く見られ、白い紋様が入る。表側の金属色はビロード状の体表により、艶消し風に見える。
湿度が高いと水分を含み体色が黒ずむことがある。特に白い紋様の変色が分かりやすい。
カリフォルニア大学では研究の一環として、本種に電気信号を発する小型機械を取り付け、無線制御にてドローンのように飛行させることに成功しており、災害時の調査用としての運用が期待されている。(参照)
昆虫相撲においてはカブトムシやクワガタムシと積極的に戦ってくれる。ハナムグリ亜科特有の緩急の激しい動きに対して相手の反応が追い付かないことが多々あり、アトラスオオカブトなどの大型種を打ち負かすこともある。但し、打たれ弱い部分があるらしく戦意は喪失しやすい模様。
原名亜種(ssp.torquata)
国内に生体が流通せず標本の点数が少ない上、色彩変異の影響により他の亜種との明確な違いが不明である。
亜種ポギー(ssp.poggie)
コンゴ民主共和国に生息している。
上記の原名亜種と同様の理由により、他の亜種との明確な違いは不明である。
亜種インマキュリコリス(ssp.immaculicollis)
カメルーン、コンゴ共和国、ガボン、中央アフリカに生息している。
「トルクアータインマキュリコリス」の表記で流通している。先述の通り原名亜種の生体が流通しない都合で、本亜種を小種名の「クビワオオツノカナブン」と呼び(分類上間違いではない)、原名亜種のような扱いを受けている場合がある。
体色は深い緑や赤茶色の金属色を帯び、白の紋様は胴体の縁や前胸、上翅に僅かに出現する程度である。
野外個体が唯一輸入される亜種であり、主にカメルーンから入荷される。
亜種ウガンデンシス(ssp.ugandensis)
当初は別種とされていたが、本種の亜種として分類が見直された。
亜種の中では最も知名度が高く、「ウガンデンシスオオツノカナブン」の表記で流通している。現在は野外個体の入荷が無く、繁殖個体のみが流通する。
体長90mmの個体が確認されている最大の亜種であり、ゴライアスオオツノハナムグリの種群に次ぐ大きさとなる。
体色は緑、青、赤、橙に中間色や色の濃淡、紋様の入り方や有無に加えて、前胸と上翅で色が全く異なる場合もあり、無数ともいえる色彩変異が現れ、本種で最も色彩が豊かとなる。
亜種のウガンデンシスオオツノカナブンを指して「世界最大のカナブン」とすることがあるが、ウガンダオオツノハナムグリと呼びハナムグリとして扱われる場合もあるため、定義としては定かでない。
そもそも、ハナムグリとカナブンに明確な違いは無いため、ハナムグリ亜科として最大種を定義することが望ましいと思われる。この場合、ゴライアスオオツノハナムグリが最大種となる。