概要
ヴェルダンにある精霊の森に住まう巫女。アルヴィスとディアドラの母で、銀の髪を持つ絶世の美女。
暗黒神ロプトウスの血を継ぎながら、ロプト帝国の体制に異を唱え、反旗を翻した「聖戦士マイラ」の末裔。その血筋はロプト神を復活させてしまう可能性があるため、外界との交わりを禁じられてきた。
作中では既に故人で名前だけの登場だが、設定資料集にイラストが掲載されており、ディアドラに似た女性である。設定集より先に刊行された大沢美月版の漫画では容姿が異なるが、娘と同じ髪の色をしている点は共通している。
外界との関わりを持たない村での暮らしに退屈し、禁を破って外に出てしまい、グランベル王国六公爵家のヴェルトマー公ヴィクトルの目に留まる。ヴェルトマー家の関係者は身分違いを理由に反対していたが、シギュンと運命の出会いを果たしたヴィクトルは、その反対を押し切って彼女を正妻に迎える。やがて夫妻の間には嫡男のアルヴィスが生まれた。
シギュンは血筋を除いて平凡なヴィクトルの事を彼女なりに愛していたが、疑い深いヴィクトルに信じてもらえず、籠の鳥に近い生活を強いられていた。しかも鬱屈とした気持ちをごまかすための彼の女遊びが次第に激しくなり、つらい毎日を送るようになる。
そんな状況を、グランベルの王子・クルトに励まされるうちに彼と惹かれ合い、遂には男女の仲になってしまう。主君と妻の不倫に気づいたヴィクトルは、二人を呪う手紙を残して自害。居た堪れなさから(大沢版では、自分がクルトのそばにいては「バーハラ王家よ 滅びよ」という夫の呪詛が成就すると恐れて)、シギュンは7歳のアルヴィスを残して公爵家を出る。このとき、掟で禁じられた第二子となるクルト王子の子を既に身ごもっていた。
やがてシギュンは、娘のディアドラを生み、故郷の精霊の森でその生涯を閉じた。
なお、夫に手をつけられて身ごもった自分の下女が追い出されそうになった際に、彼女を庇っている。下女は男児を生み、後に当主の座に就いたアルヴィスから弟と認められた。この子供がアゼルである。