ジエンマ
じえんま
cv:宮下栄治
剣咬の虎(セイバートゥース)の元マスターでミネルバ・オーランドの父。
名前の由来は恐らく閻魔大王と「ジ・エンド」かと思われる。
その手腕で剣咬の虎をフィオーレ王国一とも言われるギルドにまで成長させた反面、究極に徹底した弱肉強食主義であり、弱者は仲間であろうが一切の容赦無く平気で抹殺するエゴイストで冷酷無比な性格。差別主義者の節もあり、女性やエクシードを心身ともに虐げることに全く躊躇がない。他人に厳しく自分に甘い部分もあって余程タチが悪い。
娘のミネルバに対しても、幼い頃から全裸でジャングルに放り出すという鬼のような教育を行っていた。アニメ版に至っては、幼いミネルバとギルドメンバーを戦わせ、勝利したもののトドメをさせずにいた彼女に業を煮やし、彼女の代わりに相手を殺害するというギルドマスターとして完全にアウトな行為を平然と行なっていた。言うまでもなく、こんな拷問同然の過去を経たミネルバは性格が大きく歪んでしまった。
部外者にも配慮や容赦がなく、(殴り込みを仕掛けたナツにも非があるとはいえ)大会中でありながら、喧嘩同然の行為で沈めようとする等、事を穏便に済ませることに関してはフェアリーテイルの面々以上に無頓着。
大魔闘演武で人魚の踵(マーメイドヒール)のカグラ・ミカヅチに敗北したユキノ・アグリアをギルドの名を汚したとし、他のギルドメンバーの前で全裸土下座させた挙句紋章を消させた。
スティング・ユークリフとローグ・チェーニがナツ・ドラグニルに敗北した後、ギルドの評判を落としたと激昂し、暴行を加える。説得を試みたレクターを消した事(と存在を侮辱したの)が原因でスティングから吐血する程の激しい報復を受け、ミネルバからも切り捨てられ、失脚した。完全に因果応報である。
その後どうなったのかは未だ描かれず、行方を晦ましている。
…と思われていた矢先に冥府の門の人造悪魔として再登場を果たした。
自ら望んで冥府の門に入り悪魔として改造され、九鬼門を遥かに凌ぐ力を持つ悪魔(byマルド・ギール)に変貌を遂げた。その実力はナツと滅悪魔導士に覚醒したグレイを一撃で吹き飛ばし、ローグとスティングの二人掛の攻撃もやすやすと捌くほど。
マルドの事は何一つ信頼しておらず、妖精の尻尾と剣咬の虎を撃滅した後は冥府の門も滅ぼすことを口にしていた。
さらには、娘のことも自身の遺伝子を後世に残すためだけの存在としか考えていなかったこともこのときに判明している。それを平然と双竜の前で言ってのけるあたり、もはやギルドマスターどころか人(親)として完全失格としか言いようがない。
協力や信頼を口にする双竜を「弱者の戯言」と嘲笑うも、絆こそがギルドを育てることを確信した二人から「過去の遺物」と詰られ、最後は二人の合体魔法「白影竜の絁」の前に破れ去り、生き絶えた。
登場はたったの3話であったが、双竜コンビが半死半生でようやく勝てたあたり、マルドの発言も間違ってはいなかったと思われる。
もっとも、強さ以前に精神面に難があり、そもそも警戒や反省というものをしようとすらしない時点で、遅かれ早かれ一蹴されただろう。己の強さに拘りすぎるあまりその身も完全な悪魔に堕ちた毒親の姿は、まさに落ちるところまで落ちたという言葉がぴったりである。
なお、同じく悪魔に改造させられた娘は、皮肉にも過去の虐待がトリガーとなって己の弱さと向き合うことで改心を果たし、そして冥府の門壊滅後に涙ながらにギルドへ復帰した。おそらく彼女の流した涙には、元父親の呪縛から解き放たれたことも少なからず含まれていたことだろう。もはや剣咬の虎にジエンマの居場所など何処にもありはしないのだ。