スウィートホーム
すうぃーとほーむ
今は亡き著名なフレスコ画の巨匠、間宮一郎の住んでいた廃屋を訪れた5人のテレビ取材班。
取材の真っ最中、突如として巻き起こった怪奇現象に襲われ、取材仲間が殺されてしまう。手違いで我が子を死なせてしまった苦悩のあまり精神を病み、付近の村の子供たちを殺し回った末に自殺を遂げてしまった、間宮一郎の妻・間宮夫人の悪霊が蘇ったのが元凶と知ったディレクターの秋子とプロデューサーの和夫は、間宮夫人にさらわれてしまった和夫の娘のエミを奪還すべく、謎の老人山村の手助けを経て館の奥に足を踏み入れていく……。
製作総指揮:伊丹十三
監督:黒沢清
星野和夫:山城新伍
早川秋子:宮本信子
星野エミ:NOKKO
アスカ:黒田福美
田口亮:古舘伊知郎
山村健一:伊丹十三
カプコンによりファミコン向けのRPGとして制作された。最大3人、2組のパーティーを編成し、操作するパーティ及びキャラクターを切り替え、各キャラ固有の専用アイテムや屋敷内に落ちている共用アイテムを駆使して広大な館を探索し、時折襲い来る悪霊やクリーチャーと戦いながら、道を切り開いていく。映画でも触れられていた「心の力」もゲームに反映されており、敵に大ダメージを与えたりポルターガイストから身を守るだけでなく、イベントを進行させるための要素としても機能している。また、唯一の回復手段となる薬瓶の数には限りがあり、死んでしまったキャラクターを復活させる手段も無いのでプレイ中は常に緊張感が付きまとう。また、進め方によっては進行不能になる為、RPGでは珍しい「ギブアップ(ゲーム中表記ではぎぶあっぷ)」コマンドがあり強制終了させて最初からやり直す手段がある。
ゲーム性に特化した分、映画版のストーリー性はオミットされているが、後のBIO HAZARDに継承される数々のゲームシステムや恐怖演出が鋭く光る一品となっている。BGMの出来も良く、恐怖感の演出に大いに貢献している。ファンによる耳コピやアレンジがされている他、サウンドトラックにはプレミアが付くほどである。RPGというジャンルの枠組みの中でホラーゲームというジャンルを表現すると言う試みが見事に成功しており、原作つきゲームにありがちな駄作要素とは無縁である。
当時としては画期的なマルチエンディング方式を採用しており、映画と違って5人全員を生還させる事も可能。生き残った人数によってエンディングが変化する。
ホラーRPGとして秀逸な作品であるが、映画(原作)において権利関係で揉めており現在でもリメイクやバーチャルコンソールで復刻されておらず、プレイするならば中古市場で入手するしかない。現在のCERO区分では「C(15歳以上対象)」もしくは「D(17歳以上対象)」に含まれると推測される。
ファミコン版の影響を受けた商業ゲーム、同人・インディーズゲームも多い。特に商業では同メーカーのバイオハザード、同人・インディーズでは同人ホラーゲームの二大古典・コープスパーティーと囚人へのペル・エム・フルにも多大に影響した。もはやゲーム版スウィートホームは後発の全てのホラーゲームに直接・間接的に影響を与えたと言っても過言ではない。
一方でゲーム版スウィートホームにあった戦闘中の別行動している味方を呼んで参戦させる「よぶ」は他ゲームで再現するのが困難とされ、このシステムが組み込まれた作品は見当たらない。