概要
スーパーカセットビジョンとは、エポック社が1984年に発売した家庭用ゲーム機。略称は「SCV」「スパカセ」など。
前年に発売され話題になりつつあった任天堂のファミリーコンピュータ(ファミコン)に対抗すべく開発された。
当時の定価は14,800円。
フランスでもYenoによって「Yeno Super Cassette Vision」の製品名で発売された。
特徴
ハードウェア開発はカセットビジョンと同じくNECによるもの。
コントローラはカセットビジョンとは異なり本体からケーブルでのびる。
またカセットビジョンがカートリッジ側にCPUを搭載していたのに対して本機種では本体内部に搭載されている。
ちなみに使用されているCPUは「μCOM-87」というNEC独自のマイクロプロセッサ。
長所
- スプライト(キャラクター)表示数
単色であれば128個同時に表示することができる(数に限定すればファミコンはおろかPCエンジンやメガドライブといった次世代機をもしのぐ)。マルチカラースプライトでもファミコン以上の表示能力。
- RGB端子搭載
コンポジットビデオ端子をもつテレビがほとんどなかった背景もあり、
RF出力端子とRGB端子のみ搭載。しかしRGB出力であればファミコンよりも鮮明な発色が得られた。
- 本体にポーズボタンとテンキー搭載
テンキーは麻雀ゲームなどで使われた。
「ベーシック入門」もテンキー入力で、ファンクションラベルのページを切り換えながらテンキーで文字を選ぶというものだった。
短所
- 背景描写能力が弱い
メモリ容量の関係から、ファミコンでいうところの1BGが単色ベタ塗りの1ドットとなる。
スプライトで補完しなければカセットビジョンにすら見劣りした。
- サウンドが単音
厳密には三重和音だが実質的には1音としてしか出力できない。
- 拡張性がない
本体に拡張スロットがなく周辺機器により性能向上がはかれない。
- ジョイスティックが使いづらい
使いづらい以前にボタンがぐらぐらしていて押し心地が悪い。
おもなタイトル
終焉
アニメキャラクターを起用したゲームを(ファミコンやセガマークⅢよりも早い段階で)リリースしたり、よそからライセンスを借りたソフトをリリースしたりしたこともあり、月1本ペースで新作ソフトを発表し続けはした。
だが、いわゆるサードパーティーを積極的に受け入れたファミコンや、ゲーセン向けゲームを取り入れることが出来たマークⅢの前には歯が立たなかった、と言うのが正直な話であり、ジリ貧になってしまった感は否定出来ない。そもそもアーケード基板を縮小した作りのファミコンやマークⅢと比べてゲーム機としての性能が圧倒的に不足していた。
結局1986年のクリスマス商戦を最後に製造・販売が打ち切られ、エポック社は家庭用ゲームハードから撤退、1989年にファミコンのサードパーティとなり「ファミコン野球盤」をリリースした。
2020年現在は取扱説明書がPDF化され無料公開されている。