概要
DCコミックスを代表し、日本にも大きな影響を与えたスーパーヒーロー『スーパーマン』の様々なメディアや派生作品に関する人々が次々と不幸になったり、映画やドラマで主人公クラーク・ケントを演じた俳優の不幸に対して使われる。
主にジョージ・リーヴスとクリストファー・リーヴの身の上に起こった有名な災厄によりアメリカンポップカルチャーの間で広く知られている。
実際のところは単なる偶然な点が多く、半ば都市伝説化している。
実例
- ジェリー・シーゲル、ジョー・シャスター…ジェリーが原作、ジョーが作画を担当し、1930年に『スーパーマン』は誕生したのだが、著作権自体は彼らの雇い主であるDCコミックス側にあった。1946年、ジェリー、ジョー両名はDCに対し正当な利益配分が行われていないとしてニューヨーク地方裁判所に提訴。判決では利益配分が行われることとなったが、その額は6万ドルにとどまった。一見すると多く感じるが、当時『スーパーマン』のコミックや映画、アニメ、ドラマ、関連グッズの売り上げは数百万ドルにまで上っており、それに比べれば完全に端金だった。1975年、ジェリーとジョーによって開始され、多数の著名なコミックアーティストが参加したキャンペーンを受けDCは毎年3万5千ドルの終身年金を支払い、『スーパーマン』すべてのメディアミックス作品に原著作者として二人の名前をクレジットすることを約束した。だがその後、ジェリーとジョーは『スーパーマン』以降ヒット作に恵まれることはなかった。
- マックス・フライシャー、デイブ・フライシャー兄弟…『ポパイ』をはじめとしたアメリカのアニメ制作会社「フライシャースタジオ」の創設者。『スーパーマン』のアニメ映画を製作した直後、マックス、デイブ兄弟間の関係が悪化。やがて経営難に陥ったフライシャースタジオはパラマウント映画に買収され、フライシャー兄弟を追放。フェイスマススタジオに社名変更した。デイブはユニバーサル・ピクチャーズにて特殊効果撮影アドバイザーとしてキャリアを積むも、マックスはアメリカのテレビや映画産業関係者のための養老院であるモーション・ピクチャー・アンド・テレビジョン・カントリーハウス・アンド・ホスピタルに入所し、貧困のうちに亡くなった。
- カーク・エイリン…1940年代に製作された低予算の映画『スーパーマン』でクラーク・ケントを演じたが、それ以降役が付かずに引退。一説によるとスーパーマンのイメージが強すぎて配役担当者がカークを起用するのを嫌ったためともいわれている。
- ジョージ・リーヴス…1951年に『スーパーマンと地底人間』、テレビドラマ『スーパーマンの冒険』でクラーク・ケントを演じる。しかしカーク同様スーパーマンのイメージが強すぎて役が付かなくなり、結婚を数日に控えた1959年6月16日、射殺体となって発見された。自殺説が有力だが他殺説もある。
- ジョン・F・ケネディ…1963年に来年公開予定の『スーパーマン』映画に出演することが決定したものの、暗殺事件により死亡。後任となったリンドン・ジョンソンの要請でシナリオの大幅修正を余儀なくされる。
- リチャード・プライヤー…1983年『スーパーマンⅢ/電子の要塞』にて当初はヴィランとして登場するも改心しスーパーマンの協力者となるガス・ゴーマンを演じた俳優。公開から3年後に多発性硬化症に冒されていることが公表され、2005年12月10日に心臓発作により死亡。
- リチャード・レスター…1980年『スーパーマンⅡ冒険編』、1983年『スーパーマンⅢ/電子の要塞』を監督した人物。1989年の映画『新・三銃士/華麗なる勇者の冒険』の撮影中に起きた俳優のロイ・キニアの事故死に衝撃を受け、監督業を廃業。
- マーロン・ブランド…1978年『スーパーマン』にてクラーク・ケントの父、ジョー・エルを演じた俳優。1990年に長男のクリスチャン・ブランドがビバリーヒルズにある自宅で異母妹の恋人を射殺。事故と主張するも裁判では懲役10年の実刑判決となる。ブランドの娘は恋人の死から立ち直れず1995年に後追い自殺。ブランドの悪名や波乱に満ちた家庭生活、ハリウッドからの隠遁、そして彼の肥満は後年周囲の注目を集め2004年7月1日、80歳で死亡した。弁護士によるプライバシー問題の申し立てにより死因の公表は差し控えられたが、後に肺線維症による肺疾患であることが明らかにされた。ブランドはまた、肝臓癌、慢性心不全、そして失明の原因となった糖尿病にも悩まされるなど散々な目に会わされた。
- ジョン・ヘイムズ・ニュートン、ジェラルド・クリストファー、ステイシー・ハイダック…1988年から92年にかけて放送された『スーパーボーイ』で主演とスーパーボーイのガールフレンド・ラナ・ラングを務めたが、放送終了を最後に芸能界から姿を消している。
- リー・クイグリー…1978年『スーパーマン』にて赤ん坊時代のクラーク・ケントを演じる。しかし1991年有機溶媒を吸引し14歳で死亡。
- クリストファー・リーヴ…最も有名な『スーパーマン』俳優。1978年『スーパーマン』から1987年『スーパーマンⅣ/最強の敵』までクラーク・ケントを演じていた。1995年にクロスカントリー競技中に落馬して脊髄損傷により半身不随になる。最もその後はこの事故を機に障碍者福祉に取り組み賞も獲得。ナレーターを経て車いす役の俳優として芸能界に復帰。晩年にはテレビドラマ『ヤング・スーパーマン』にて若き日のクラークを導く老博士役でシリーズに復帰した。その後2004年に健康状態に起因する心臓発作で死去。
- マーゴット・キダー…クリストファー・リーヴ版スーパーマンにて恋人のロイス・レーンを演じた女優。シリーズ終了後激しい双極性障害に陥り、1996年4月に数日間失踪した後に、偏執症の発作を起こしている状態で警察に保護された。2018年5月13日に69歳で死去したが、後に死因がアルコール及び薬物の過剰摂取による自殺であったことが公表された。
- マリエル・ヘミングウェイ…『スーパーマンⅣ/最強の敵』で準主役のレイシー・ウォーフィールドを演じた女優。姉のマーゴ・ヘミングウェイが祖父のアーネスト・ヘミングウェイが自殺した日と同日に遺体で発見された。マーゴは抗不安薬の過剰服用を行っており、その死は自殺であるとの説が有力であるが、マリエルはこの見解に反論している。
- キャノン・フィルムズ…それまでクリストファー・リーヴ版スーパーマン映画を製作してきた会社。財政上多くの問題を抱えており、社運をかけて制作した『スーパーマンⅣ/最強の敵』は製作費を回収できないほど大コケし倒産。
- レイン・スミス…1993年のテレビドラマ『新スーパーマン』にてクラーク・ケントとロイス・レーンの上司ペリー・ホワイトを演じた俳優。2005年4月に筋萎縮性側索硬化症であるとの診断を受け、2005年6月13日に病死
- 「スーパーマンの呪い」と関連付けられる事は少ないが、マン・オブ・スティールを監督した ザック・スナイダーは「身内の不幸」でDCEUのシリーズ構成から退いた。
- ジェームズ・ガンのSupermanでは、スタッフの拳銃自殺が発生した。
実際のところ
上述したジョージ・リーヴスとクリストファー・リーヴの事件がファンをはじめとした人々に衝撃を与えたことで噂に真実味が出たと考えられる。しかしそれ以外は単なるこじつけ程度のものが多く、噂自体がこのジョージ、クリストファー両名の事件から誕生した可能性もある。
そもそも『スーパーマン』ぐらいの歴史ある有名シリーズともなれば、元のコミックスはもとより映画やドラマなども展開され膨大な人物が関わるわけで、しかも不幸ということであれば様々な悪い現象が当てはまっていると採用できてしまう。
要するに無数の人物×無数のパターンがある「不幸」……という話であり、むしろその中でいくつかの悪いことが起きていないほうが不自然と言えよう。
つまり、最初に書いた通り「スーパーマンの呪い」はあくまで偶然という解釈が妥当である。
日本においても、ウルトラマンや仮面ライダー、スーパー戦隊といった長寿シリーズでも同様の理由付けができる。
実際、つるの剛士や志尊淳、竹内涼真等有名になった俳優もいれば、その後不幸な目に会っているものがいるのも事実。光あるところには必ず影があるのである。
これに関してはまだ新人の若手が起用されるケースが多く、出演作終了と同時に様々な要因でキャリアの広がりが閉ざされてしまうことも理由かもしれない。